環境省は、各都道府県及び政令指定都市(以下「都道府県等」という。)に地域環境保全対策費補助金等を交付して、再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金等を造成させるなどしており、都道府県等は、同基金を活用して、災害時の避難所等の防災拠点となる施設等(以下「防災拠点施設」という。)に再生可能エネルギーを利用した設備を整備する事業(以下「整備事業」という。)を自ら実施するほか、市町村等が実施する整備事業に対して補助金を交付している。また、環境省は、一般財団法人環境イノベーション情報機構(以下「機構」という。)に二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金を交付しており、機構は、地方公共団体が実施する整備事業に対して補助金を交付している。整備事業により整備する設備は、災害等により電力会社から供給される商用電力が遮断された際(以下「災害等による停電時」という。)に防災拠点施設において必要とされる最低限の機能を維持することを目的とすることとされており、整備事業で太陽光発電設備を整備する際には、夜間等の発電できないなどの場合に電力を補完するために、蓄電池設備の整備等が必要となっている。しかし、6県等における12県市町村等が整備した太陽光発電設備等において、電力を供給する系統のうち一部の系統について、蓄電池設備及び専用回路(以下「蓄電池設備等」という。)を設ける設計とせずに整備したため、災害等による停電時に、発電した電力を供給することができない事態が見受けられた。
したがって、環境大臣に対して平成29年10月に、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。
本院は、環境本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、環境省は、本院指摘の趣旨に沿い、29年11月に都道府県等及び機構に対して通知を発して、次のような処置を講じていた。
ア 6県等に対して、12県市町村等における太陽光発電設備等のうち、災害等による停電時に、発電した電力を供給することができない太陽光発電設備36設備について、当該電力を供給するための必要な措置を講じさせることとし、30年9月までに蓄電池設備等を整備するなどの手直し工事を実施させるなどした。
イ 災害等による停電時に発電した電力を安定的に供給することができるよう、各系統に蓄電池設備等を整備する必要があることなどの太陽光発電設備等の設計に必要な留意点等について、県及び県を通じて管内の市町村等に対して周知徹底を図った。