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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
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  • 平成30年10月|

東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組状況等に関する会計検査の結果について


第1 検査の背景及び実施状況

1 検査の要請の内容

会計検査院は、平成29年6月5日、参議院から、国会法第105条の規定に基づき下記事項について会計検査を行いその結果を報告することを求める要請を受けた。これに対し同月6日検査官会議において、会計検査院法第30条の3の規定により検査を実施してその検査の結果を報告することを決定した。

一、会計検査及びその結果の報告を求める事項

(一)検査の対象

内閣、内閣府、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省、独立行政法人日本スポーツ振興センター等

(二)検査の内容

東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する次の各事項

  1. ① 大会の開催に向けた取組等の状況
  2. ② 各府省等が実施する大会の関連施策等の状況

2 東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組の概要等

(1) 大会の開催に向けた取組等の概要

ア 大会の概要

国際オリンピック委員会(以下「IOC」という。)は、25年9月に、ブエノスアイレスで開かれたIOC総会において、32年夏に開催予定の第32回オリンピック競技大会及び第16回パラリンピック競技大会の開催都市を東京とすることを決定した。

オリンピック憲章によれば、IOCは、オリンピズム(注1)を奨励し、オリンピック・ムーブメント(注2)を主導することが使命とされており、オリンピック競技大会は、IOCから参加登録申請を認められた選手が集う個人種目又は団体種目での選手間の競争であるなどとされている。また、国際パラリンピック委員会(以下「IPC」という。)が定めるIPCハンドブックによれば、IPCは、パラリンピック・ムーブメント(注3)の最終目標として、パラリンピックアスリートがスポーツにおける卓越した能力を発揮し、世界に刺激を与えて興奮させることができるようにすることをビジョンとしており、パラリンピック競技大会は、国内、地域、世界の選手権及びその他の競技会の頂点にある最終目標であるなどとされている。

IOCとIPCは、13年に合意文書を交わして、オリンピック競技大会の後、同競技大会と同一の開催地でパラリンピック競技大会を開催すること、オリンピック競技大会と同一の組織がパラリンピック競技大会の運営を担うこと、両競技大会において可能な限り同じ競技会場を使用することなどを決定している。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「大会」という。)は、「すべての人が自己ベストを目指し(全員が自己ベスト)」「一人ひとりが互いを認め合い(多様性と調和)」「そして、未来につなげよう(未来への継承)」の三つを基本コンセプトとして開催されるものであり、大会のうち第32回オリンピック競技大会については32年7月24日から8月9日までの間に33競技を実施し、第16回パラリンピック競技大会については同年8月25日から9月6日までの間に22競技を実施する予定となっている。

(注1)
オリンピズム  肉体と意志と精神の全ての資質を高めて、バランスよく結合させる生き方の哲学であり、スポーツを文化や教育と融合させ、生き方の創造を探求するもの
(注2)
オリンピック・ムーブメント  オリンピズムの価値に鼓舞された個人と団体による協調の取れた組織的、普遍的、恒久的活動であり、オリンピック競技大会に世界中の選手を集めるときに頂点に達するもの
(注3)
パラリンピック・ムーブメント  パラリンピックスポーツを通して発信される価値やその意義を通して世の中の人に気付きを与えて、より良い社会を作るための社会変革を起こそうとするあらゆる活動
イ 大会の開催に向けた取組体制の概要

25年9月に、IOC、東京都及び国内オリンピック委員会(注4)である公益財団法人日本オリンピック委員会(以下「JOC」という。)の3者により開催都市契約が締結されて、IOCから東京都及びJOCに大会の計画、組織、資金調達及び運営が委任された。そして、開催都市契約に基づき、26年1月に一般財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(27年1月1日以降は公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会。以下「大会組織委員会」という。)が東京都及びJOCの拠出により設立され、26年8月に開催都市契約の当事者に追加された。大会組織委員会は、27年2月に大会開催準備の枠組みを定めた東京2020大会開催基本計画をIOCへ提出した。

大会組織委員会はIOCが定めた条件等に基づき大会の準備及び運営を行う主体であり、東京都及びJOCは、開催都市契約の国内当事者の一員としての立場から、大会組織委員会が行う大会の準備及び運営を支援している。

国においては、大会が大規模かつ国家的に特に重要なスポーツの競技会であることに鑑み、大会の円滑な準備及び運営を支援するために、25年9月に東京オリンピック・パラリンピック担当大臣(27年6月以降は東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣。以下「オリパラ担当大臣」という。)が任命されるとともに、25年10月に内閣官房2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室(以下「オリパラ推進室」という。)が設置された。そして、27年6月には、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法(平成27年法律第33号。以下「オリパラ特措法」という。)が成立して施行され、オリパラ特措法に基づき、内閣に、東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部(以下「オリパラ推進本部」という。)が設置された。また、オリパラ特措法に基づき、大会の円滑な準備及び運営に関する施策の総合的かつ集中的な推進を図るための基本方針として、27年11月に「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針」(以下「オリパラ基本方針」という。)が閣議決定された。オリパラ基本方針は、大会の円滑な準備及び運営の推進の意義に関する事項、大会の円滑な準備及び運営の推進のために政府が実施すべき施策に関する基本的な方針、大会の円滑な準備及び運営の推進に関して政府が講ずべき措置に関する計画等を定めたものである。

オリパラ推進本部は、内閣総理大臣を本部長として、オリパラ担当大臣を始めとする全ての国務大臣により構成され、オリパラ基本方針の実施を推進すること、大会の円滑な準備及び運営に関する施策で重要なものの企画及び立案並びに総合調整に関することなどを所掌している。オリパラ推進本部に係る事務については「内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局」(以下「オリパラ事務局」という。)が処理することとされ、オリパラ事務局の設置に伴い、オリパラ推進室は廃止された。

各府省等は、大会に関連して講ずべき施策(以下「大会の関連施策」という。)について、オリパラ基本方針に基づき、立案と実行に取り組むこととなっている。

以上の内容を踏まえて、大会の開催に向けた取組体制の概要を示すと図表0-1のとおりであり、大会組織委員会が主体となって大会の準備及び運営を行い、東京都は開催都市としての大会の関連施策の立案及び実行により、JOCは国内オリンピック委員会としての取組の実施により、それぞれ大会組織委員会の取組を様々な形で支援している。国は、オリパラ推進本部が行う総合調整の下、各府省等による大会の関連施策の立案及び実行により、大会組織委員会を主体とする開催都市契約の国内当事者の取組を様々な形で支援している。また、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会(以下「JPC」という。)は国内パラリンピック委員会(注5)としての取組の実施により、東京都以外の地方自治体、民間団体等は各種取組の実施により、それぞれ開催都市契約の国内当事者の取組を様々な形で支援している。なお、大会の開催に向けた取組はセキュリティや輸送等の幅広い分野に関わるため、大会の準備及び運営の主体である大会組織委員会を中心として、各分野に関係する機関の間で情報共有を図るなどして相互に連携し、実施すべき内容等について調整を図りながら、各機関が取組内容を決定して実施することとなっている。

(注4)
国内オリンピック委員会  オリンピック憲章によれば、自国においてオリンピック・ムーブメントを発展させ、推進し、保護することを使命として、自国において、特にスポーツと教育の分野でオリンピズムの根本原則とその価値を向上させることなどの役割を有し、オリンピック競技大会等の総合競技大会において、自国を代表する独占的な権限を持つ組織とされている。
(注5)
国内パラリンピック委員会  IPCハンドブックによれば、当該国又は領域におけるIPCに対する唯一のパラリンピック・ムーブメントの代表としてIPCが認め、各国の競技評議会又は国内で同様に高い権限を持つ競技機関に認められた国内組織であり、各国又は領域内の調整を行い、IPCとの関係及び連絡に責任を持つとされている。

図表0-1 大会の開催に向けた主な取組体制の概要

図表0-1 大会の開催に向けた主な取組体制の概要 画像

ウ 開催決定に至った経緯の概要

東京都は、23年7月に大会の招致を表明し、同年9月に特定非営利活動法人東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会(以下「招致委員会」という。26年3月解散)を設立した。国においては、大会の招致について、「平成32年(2020年)第32回オリンピック競技大会・第16回パラリンピック競技大会の東京招致について」(平成23年12月閣議了解)により、国際親善、スポーツの振興等に大きな意義を有するものであり、また、東日本大震災からの復興を示すものともなるとして東京都が招請することを了解するとともに、内閣総理大臣、衆議院議長及び参議院議長が最高顧問として、各国務大臣が特別顧問として、それぞれ招致委員会の評議会に参画するなど、国の機関を挙げて支援する体制を構築した。

24年5月には、立候補都市としてIOCから東京、イスタンブール及びマドリードの3都市が選定されて、東京都及び招致委員会は、25年1月に、詳細な大会計画である立候補ファイルをIOCへ提出した。立候補ファイルは、ビジョン、財政等の14のテーマについて、IOCからの質問状に回答する形で作成されるものであり、東京都及び招致委員会が各府省等の関係機関と調整し、提出したものである。立候補ファイルの提出に当たっては、IOCの要請として財政、政府関連業務等に係る政府保証書の提出を求められ、各府省等はこれらについて内閣総理大臣名又は各国務大臣名で招致委員会を経由してIOCへ提出した。

立候補ファイルによれば、財政及び政府関連業務に関して政府が保証した主な内容は次のとおりとされている。

  • ① 万が一、大会組織委員会が資金不足に陥った場合は、東京都が補填し、東京都が補填しきれなかった場合には、最終的に、政府が国内の関係法令に従い補填すること
  • ② 政府及び東京都は、パラリンピック競技大会の運営費用の50%を支援すること
  • ③ 政府及び東京都は、大会組織委員会の費用負担なしに、大会に関係するセキュリティ、医療、通関、出入国管理その他の政府関連業務を提供すること
    そして、25年9月のIOC総会による最終プレゼンテーションを経て、東京が開催都市に決定した。

なお、①については、第31回オリンピック競技大会の招致時に同じ内容の政府保証書をIOCへ提出している。政府は、当該政府保証書の性格を問う質問主意書への回答として、「当該文書は政府としての政治的な意思の表明として発出されたものである」と説明している。

開催都市の決定までの招致活動は、東京都及び招致委員会が中心となり、国、JOC等が支援して、国内各地のイベント開催等の国内招致機運醸成活動や、立候補ファイル提出後の国際会議におけるプロモーション等の国際招致活動等を行っていた。

エ 大会の開催に要する経費の試算等の概要

大会の開催に要する経費(以下「大会経費」という。)の29年度末時点での最新の試算は、29年12月に大会組織委員会が公表した大会経費V2(バージョン2。以下「V2予算」という。)であり、図表0-2のとおり、大会経費の総額は1兆3500億円となっている。そして、大会組織委員会がIOCからの負担金やスポンサーからの協賛金、チケットの売上金等を原資として6000億円を負担し、東京都及び国がそれぞれの役割に応じて計7500億円を負担すると試算している。また、大会組織委員会は、今後もV3(バージョン3)及びV4(バージョン4)の試算に向けて、コスト縮減と収入増に努めていくとしている。

上記の1兆3500億円の内訳をみると、恒久施設等の大会に必要な施設(以下「大会施設」という。)に係る経費として計8100億円、大会開催時の輸送対策、セキュリティ対策等の大会の運営に係る経費として計5400億円となっている。このうち、国の負担となっているのは、新国立競技場の整備に係る経費のうち1200億円と、パラリンピック競技大会の施設及び運営に必要な経費(以下「パラリンピック経費」という。)1200億円のうち300億円の計1500億円である。

図表0-2 大会組織委員会が試算したV2予算の概要

図表0-2 大会組織委員会が試算したV2予算の概要 画像

大会経費の試算は、まず、立候補ファイルの提出時に東京都及び招致委員会により行われた。この試算は、IOCが示した基準に基づき、東京都及び招致委員会がIOCや専門家等にヒアリングをした上で行われたものであり、対象とする経費が他の立候補都市と比較可能となるように設定されているなど、V2予算における試算対象とは異なっている。

その後、大会組織委員会は、一定の仮定を置き、大会開催に必要な支出項目を分野ごとに分けて、立候補ファイルに計上していない経費も含めた全体像を明らかにするために、IOC等の助言の下、28年12月に大会経費V1(バージョン1。以下「V1予算」という。)を公表した。ただし、公表時点では当該経費の分担が決定していなかったため、その後、東京都を中心として、国、東京都外の競技会場が所在する地方自治体(以下「都外自治体」という。)等の関係者が協議を進めていくこととなった。そして、東京都、大会組織委員会、国及び11都外自治体(注6)は、29年5月に「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の役割(経費)分担に関する基本的な方向について」(以下「大枠の合意」という。)により、東京都、大会組織委員会、国及び都外自治体の役割分担及び経費分担に関して、基本的な方向性を定めた。その概要は図表0-3のとおりであり、国は、オリパラ基本方針等に基づき大会の関連施策を実施することを基本的な役割として、新国立競技場の整備の実施及びパラリンピック経費の4分の1相当額の負担のほか、国として担うべきセキュリティ対策やドーピング対策等を実施することとなっている。なお、大会組織委員会は、29年12月に大枠の合意等に基づきV1予算における試算内容を精査して改めて大会経費の試算を行い、V2予算として公表している。

(注6)
11都外自治体  北海道、宮城、福島、埼玉、千葉、神奈川、静岡各県、札幌、さいたま、千葉、横浜各市

図表0-3 大枠の合意の概要

項目 各主体の役割
大会組織委員会 東京都 国 都外自治体
基本的な役割 大会運営の主体としての役割 大会の開催都市としての責任を果たす オリパラ基本方針等に基づく大会の関連施策の実施 大会開催に向け円滑な準備及び運営に協力する
① 会場関係
恒久施設 - <実施>必要な新規恒久施設の整備、東京都が所有する既存施設の改修 <実施>
新国立競技場の整備
<実施>
所有する会場施設の必要な恒久的改修
仮設等、エネルギー及びテクノロジーのインフラ並びに賃借料等 <実施>全ての整備
<経費負担>民間及び国(JSCを含む。)所有施設の整備
<経費負担>
東京都及び都外自治体所有施設の整備
- -
オーバーレイ <実施及び経費負担>
全ての整備
- - -
② 大会関係 <実施及び経費負担>
輸送、セキュリティ及びオペレーション等
<経費負担>
都内会場周辺に関わる輸送及びセキュリティ
- -
①②のうちパラリンピック経費 <経費負担>2分の1相当額 <経費負担>4分の1相当額 <経費負担>4分の1相当額 -
③ その他 - - <実施>
  • ○国として担うべきセキュリティ対策、ドーピング対策等
  • ○その他必要な協力・支援
<実施>
  • ○大会が開催される自治体として担う輸送、セキュリティ等の業務
  • ○大会後も地域や住民に使用される設備等の改修
注(1)
大枠の合意を基に会計検査院が作成した。
注(2)
「-」は大枠の合意に記載がないことを示している。
注(3)
大枠の合意によると、「パラリンピック経費の対象範囲については、今後、整理・精査を行う」こととなっており、国、東京都及び大会組織委員会が共同で原則として年度末に確認することとなっている(a01リンク参照)。

大枠の合意に基づき国が資金の一部を負担することとなっているパラリンピック経費は、大会組織委員会が大会の準備のために東京都、国等と分担して経費を負担して実施する事業(以下「共同実施事業」という。)に要する経費の一部である。

国は、大枠の合意に基づくパラリンピック経費の4分の1相当額の負担のために、平成29年度一般会計補正予算において障害者スポーツ行政を所掌する文部科学省所管の予算として「東京パラリンピック競技大会開催準備交付金」(以下「パラリンピック交付金」という。)を300億円計上して、30年3月に東京都へ同額を交付している。「東京パラリンピック競技大会開催準備交付金交付要綱」(平成30年3月文部科学大臣決定)によれば、パラリンピック交付金が共同実施事業に係る負担金の一部として大会組織委員会へ交付されるまでの流れは図表0-4のとおりであり、文部科学省は、東京都からの交付申請書を審査して、交付決定した上で基金の造成に要する経費を交付することとされ、交付を受けた東京都は、新たに基金を設置造成するか、又は既存の基金に積み立てて区分経理し、その後、速やかに文部科学省に実績報告書を提出することとされている。また、大会の終了後に、当該基金の残余がある場合には、国庫に返納することとされている。

東京都は、東京都補助金等交付規則及び大会組織委員会と締結した共同実施事業の経費負担に係る協定書に基づき、大会組織委員会から共同実施事業に係る負担金の交付申請書の提出を受けて交付決定を行い、各年度の終了後に大会組織委員会から実績報告書の提出を受けて額の確定を行い、大会組織委員会から請求書の提出を受けて負担金を交付することとなっている。なお、パラリンピック経費に係る国と東京都の負担金は、29年度分は全ての共同実施事業に係る負担金の一部として交付されることとなっている。

そして、東京都から大会組織委員会への負担金の交付に当たっては、負担金の対象となる経費のうち、大会組織委員会がパラリンピック経費として当該年度に執行した経費について、あらかじめ文部科学省、オリパラ事務局、東京都及び大会組織委員会の関係者で構成する共同実施事業管理委員会が、原則として当該年度末に確認することとなっている。

東京都は、30年3月に、文部科学省からパラリンピック交付金300億円の交付を受けて、既に設置造成している東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金に積み立てて自らの資金と区分して経理している。そして、東京都は、同月に大会組織委員会から交付申請書等の提出を受けるとともに、共同実施事業管理委員会による確認を受けて、同年5月に、パラリンピック交付金相当額1億8253万余円を含む29年度の全ての共同実施事業に係る負担金として49億3412万余円(うちパラリンピック経費に係る国と東京都の負担金3億6506万余円)を大会組織委員会へ交付している。

図表0-4 パラリンピック交付金が共同実施事業に係る負担金の一部として大会組織委員会へ交付されるまでの流れ

図表0-4 パラリンピック交付金が共同実施事業に係る負担金の一部として大会組織委員会へ交付されるまでの流れ 画像

オ 大会施設の概要

IOCから設置を求められている大会施設は、立候補ファイル、開催都市契約等によると、競技会場のほか、選手村、国際放送センター等となっている。

競技会場等として予定している主な大会施設は、図表0-5のとおり、29年度末時点で45か所であり、所在する地方自治体は9都道県(注7)の24市区町(注8)と広域にわたっている。立候補ファイルによると、競技会場の大部分を選手の移動を効率的に行うために選手村(中央区晴海)から半径8km圏内とするなどの方針から、東京都外に所在する大会施設は39か所のうち6か所であったが、26年及び28年の二度にわたる東京都による競技会場の見直しや対象競技の追加により、東京都外に所在するのは45か所のうち18か所となっている。

(注7)
9都道県  東京都、北海道、宮城、福島、茨城、埼玉、千葉、神奈川、静岡各県
(注8)
24市区町  札幌、福島、鹿嶋、さいたま、川越、新座、千葉、調布、横浜、藤沢、伊豆各市、千代田、中央、港、新宿、墨田、江東、品川、世田谷、渋谷、江戸川各区、宮城郡利府、長生郡一宮、駿東郡小山各町

図表0-5 主な大会施設(平成29年度末現在)

整備主体又は所有者の分類 主な整備 番号 大会施設の名称 主な所在地(所有者) 予定競技等 立候補ファイルからの会場変更・追加
オリンピック競技大会 パラリンピック競技大会
国又は国が出資した法人
新規 1 新国立競技場(オリンピックスタジアム) 東京都新宿区(JSC) 開会式/閉会式、陸上競技、サッカー 開会式/閉会式、陸上競技  
改修 2 国立代々木競技場 東京都渋谷区(JSC) ハンドボール バドミントン、ウィルチェアーラグビー  
改修 3 馬事公苑 東京都世田谷区(JRA) 馬術(馬場馬術、総合馬術(クロスカントリーを除く。)、障害馬術) 馬術 変更
東京都
改修 4 東京体育館 東京都渋谷区(東京都) 卓球 卓球  
- 5 東京国際フォーラム 東京都千代田区(東京都) ウエイトリフティング パラパワーリフティング  
新規 6 有明アリーナ 東京都江東区(東京都) バレーボール(バレーボール) 車いすバスケットボール  
改修 7 有明テニスの森 東京都江東区(東京都) テニス 車いすテニス  
新規 8 大井ホッケー競技場 東京都品川区(東京都) ホッケー -  
新規 9 海の森水上競技場 東京都江東区(東京都) カヌー(スプリント)、ボート カヌー、ボート  
新規 10 カヌー・スラローム会場 東京都江戸川区(東京都) カヌー(スラローム) - 変更
新規 11 アーチェリー会場(夢の島公園) 東京都江東区(東京都) アーチェリー アーチェリー  
新規 12 オリンピックアクアティクスセンター 東京都江東区(東京都) 水泳(競泳、飛込、アーティスティックスイミング) パラ水泳  
改修 13 東京辰巳国際水泳場 東京都江東区(東京都) 水泳(水球) - 変更
新規 14 武蔵野の森総合スポーツプラザ 東京都調布市(東京都) バドミントン、近代五種(フェンシングランキングラウンド(エペ)) 車いすバスケットボール  
改修 15 東京スタジアム 東京都調布市(東京都) サッカー、ラグビー、近代五種(水泳、フェンシングボーナスラウンド(エペ)、馬術、レーザーラン) -  
新規(基盤整備) 16 選手村 東京都中央区(民間団体) -  
- 17 東京ビッグサイト 東京都江東区(東京都) 国際放送センター/メインプレスセンター  
大会組織委員会
仮設 18 陸上自衛隊朝霞訓練場 埼玉県新座市(防衛省) 射撃 パラ射撃  
仮設 19 釣ヶ崎海岸サーフィン会場 千葉県長生郡一宮町(国土交通省、千葉県、一宮町) サーフィン - 追加
仮設 20 皇居外苑 東京都千代田区(環境省) 陸上競技(競歩) -  
仮設 21 有明体操競技場 東京都江東区(東京都) 体操 ボッチャ  
仮設 22 有明BMXコース 東京都江東区(東京都) 自転車競技(BMXフリースタイル、BMXレーシング)、スケートボード -  
仮設 23 お台場海浜公園 東京都港区(東京都) 水泳(マラソンスイミング)、トライアスロン トライアスロン  
仮設 24 潮風公園 東京都品川区(東京都) バレーボール(ビーチバレーボール) -  
仮設 25 海の森クロスカントリーコース 東京都江東区(東京都) 馬術(総合馬術(クロスカントリー)) -  
仮設 26 青海アーバンスポーツ会場 東京都江東区(東京都) バスケットボール(3×3)、スポーツクライミング 5人制サッカー 追加
仮設 27 武蔵野の森公園 東京都調布市(東京都) 自転車競技(ロード(スタート)) - 変更
都外自治体又は民間団体
改修 28 日本武道館 東京都千代田区(民間団体) 柔道、空手 柔道  
- 29 富士スピードウェイ 静岡県駿東郡小山町(民間団体) 自転車競技(ロード(ゴール)、個人タイムトライアル) 自転車競技(ロード(スタート・ゴール)) 変更
- 30 国技館 東京都墨田区(民間団体) ボクシング -  
- 31 さいたまスーパーアリーナ 埼玉県さいたま市(埼玉県) バスケットボール(バスケットボール) - 変更
- 32 霞ヶ関カンツリー倶楽部 埼玉県川越市(民間団体) ゴルフ -  
改修 33 幕張メッセAホール 千葉県千葉市(千葉県) レスリング、テコンドー シッティングバレーボール 変更
改修 34 幕張メッセBホール フェンシング 車いすフェンシング、テコンドー 変更
- 35 幕張メッセCホール 千葉県千葉市(民間団体) - ゴールボール 変更
改修 36 横浜スタジアム 神奈川県横浜市(横浜市) 野球・ソフトボール - 追加
改修 37 江の島ヨットハーバー 神奈川県藤沢市(神奈川県) セーリング - 変更
- 38 伊豆ベロドローム 静岡県伊豆市(民間団体) 自転車競技(トラック) 自転車競技(トラック) 変更
- 39 伊豆マウンテンバイクコース 自転車競技(マウンテンバイク) - 変更
改修 40 福島あづま球場 福島県福島市(福島県) 野球・ソフトボール - 追加
改修 41 札幌ドーム 北海道札幌市(札幌市) サッカー -  
改修 42 宮城スタジアム 宮城県宮城郡利府町(宮城県) サッカー -  
改修 43 埼玉スタジアム2○○2 埼玉県さいたま市(埼玉県) サッカー -  
改修 44 横浜国際総合競技場 神奈川県横浜市(横浜市) サッカー -  
改修 45 茨城カシマスタジアム 茨城県鹿嶋市(茨城県) サッカー - 追加
注(1)
東京都の公表資料、立候補ファイル等の記載内容及び会計検査院が会計実地検査の際に各府省等、都外自治体等から聴取した内容を基に作成した。
注(2)
JSCは独立行政法人日本スポーツ振興センターを示し、JRAは日本中央競馬会を示す(a02リンク参照)。
注(3)
「主な整備」は、当該施設について平成29年度末現在で予定されている整備工事のうちの主な内容を示している。「-」は整備主体による整備予定がない、又は不明であることを示している。また、「仮設」については、「所有者」は敷地の所有者を示している。
注(4)
「主な所在地」は、平成29年度末時点で大会開催時に使用が見込まれるなどの主な所在地を記載している。また、「所有者」は、所有者が民間団体である場合は全て「民間団体」と記載している。
注(5)
選手村の宿泊施設等として使用する建物の新規整備は、特定建築者制度により民間事業者が自らの資金で行っているが、東京都が道路等の基盤整備を行っている(3024_2_1_3_3リンク参照)ため、便宜的に「東京都」の欄に記載している。
注(6)
サッカーについては、平成29年度末時点でIOC理事会において会場承認に至っておらず、30年5月に承認された。
注(7)
立候補ファイルからの会場変更・追加については、競技のみの追加や変更は含んでいない。
注(8)
公道で行う競技については、平成29年度末時点でスタート・ゴールの場所のみ決定しており、コースは決定していない。なお、オリンピック競技大会における陸上競技のマラソン及び競歩のコースについては30年5月に、オリンピック競技大会におけるトライアスロン、自転車競技のロード及びパラリンピック競技大会におけるトライアスロンのコースについては同年8月に決定した。

大会施設の整備には、主に、新規の恒久施設の建設(以下「新規整備」という。)、既存の恒久施設の改修(以下「改修整備」という。)、IOCが求める施設水準に必要な建物、外構、セキュリティフェンス、電源等の設備を仮設施設として使用して大会終了後は撤去するものの整備(以下「仮設整備」という。)及び運営上必要となるプレハブ、テント、放送用の照明等(以下「オーバーレイ」という。)で大会終了後は撤去するものの整備(以下「オーバーレイ整備」という。)があり、これらを組み合わせて行うこととなっている。

主な大会施設45か所のうち、29年度末時点で国又は国が出資した法人が所有し、かつ整備を行う大会施設は、独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「JSC」という。)が所有する新国立競技場(主に新規整備)及び国立代々木競技場(主に改修整備)並びに日本中央競馬会(以下「JRA」という。)が所有する馬事公苑(えん)(主に改修整備)の3か所である。東京都等の施設の所有者は、各機関が単独で負担する費用(以下「単独費用」という。)や、国からの交付金等を財源として大会施設の新規整備又は改修整備を実施している。大会組織委員会は、自らの収入及び東京都から交付された負担金を財源として大会施設の仮設整備を実施し、また、自らの収入を財源としてオーバーレイ整備を実施している。

そして、大会開催時は、大会組織委員会が各施設の所有者と利用条件等を協議の上、会場使用協定を締結するなどして利用することとなっている。

また、オリパラ特措法等によれば、国は、大会組織委員会又は当該施設を設置する者に対して、大会組織委員会が大会の準備又は運営のために使用する競技施設、競技練習施設、駐車施設、事務所等の施設又はその附属施設の用に供される国有財産を無償で使用させることができることとされており、大会組織委員会又は当該施設の設置者からの申請に基づき、国有財産を無償で使用させることとしている。

(2) 各府省等が実施する大会の関連施策等の概要

ア 各府省等が実施する大会の関連施策の概要

各府省等が実施する大会の関連施策は、(1)イのとおり、オリパラ基本方針に基づき実施する大会の円滑な準備及び運営に関する施策であり、オリパラ基本方針によれば、主に「大会の円滑な準備及び運営」に資する大会の関連施策と「大会を通じた新しい日本の創造」に資する大会の関連施策の2種類に区分されている。オリパラ基本方針に示された大会の関連施策の主な分野と大会組織委員会が主体となって行う大会の準備及び運営との関係を示すと図表0-6のとおりであり、15分野の多岐にわたる施策を行うこととなっている。「大会の円滑な準備及び運営」に資する大会の関連施策は、セキュリティの万全と安全安心の確保等の8分野に係るものとなっており、大会の円滑な準備及び運営に資するセキュリティ対策、輸送対策等の国が担うべき施策を実施することで、大会組織委員会が主体となって行う大会の準備及び運営を支援するものである。また、「大会を通じた新しい日本の創造」に資する大会の関連施策は、被災地の復興・地域活性化等の7分野に係るものとなっており、直接大会の準備及び運営に資するものではないが、大会の開催を契機として、大会終了後に残すべきレガシー(注9)の創出を意識して国として取り組むものである。各府省等は、大会の関連施策について、自ら行ったり、国庫補助金等を地方自治体や各法人等に交付したりなどして実施している。

(注9)
レガシー  オリンピック憲章により開催国と開催都市が引き継ぐよう奨励されている大会の有益な遺産。長期にわたる特にポジティブな影響であり、スポーツ、社会、環境、都市及び経済の5分野によるものをいう。

図表0-6 各府省等が実施する大会の関連施策の主な分野と大会の準備及び運営との関係

図表0-6 各府省等が実施する大会の関連施策の主な分野と大会の準備及び運営との関係 画像

オリパラ推進本部は、オリパラ特措法に基づき、大会の関連施策の取組状況について、29年5月及び30年5月に「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営の推進に関する政府の取組の状況に関する報告」(以下「政府の取組状況報告」という。)として取りまとめて、国会へ報告し、公表している。政府の取組状況報告は、大会が終了するまでの間、おおむね1年に1回、国会へ報告するとともに公表することとなっており、オリパラ推進本部が上記の15分野を更に大会の関連施策の実施内容により整理した区分ごとに、前年度までの主な取組内容、当該年度の主な取組内容、今後の主な取組内容等が記載されている。なお、政府の取組状況報告の国会への報告及び公表は28年6月のオリパラ特措法の改正により行うこととなったものであるが、オリパラ基本方針において大会の関連施策とその進捗状況について定期的に公表することとなっていることから、27年11月及び28年10月にもオリパラ事務局が大会の関連施策について区分ごとの進捗状況を公表していた。このオリパラ基本方針に基づく進捗状況の公表文書は、大会の開催に当たり、東京都、JOC、JPC等の関係団体からの要望事項を踏まえて、26年度にオリパラ推進室が作成したセキュリティ・安全安心、輸送、外国人旅行者の受入れ、バリアフリー、復興・地域活性化、スポーツ、文化・環境等の分野に係る国の対応が期待される事項を記載した文書を基として、オリパラ事務局がオリパラ基本方針に基づく分野等に合致するように再構成したものを原案としており、各府省等と調整の上で作成したものである。

各府省等が実施する事業内容が大会の関連施策として整理されて、政府の取組状況報告に記載されるまでの流れを示すと図表0-7のとおりであり、オリパラ事務局が政府の取組状況報告の原案を各府省等へ示して、各府省等は、原案の内容を確認するとともに大会の関連施策に合致すると判断した事業をオリパラ事務局に追加で示して、分野や取組内容等を各府省等とオリパラ事務局の双方で確認することにより、大会の関連施策が政府の取組状況報告に記載されている。なお、大会の関連施策は原則として各府省等が実施するものであるが、例外として、各府省等の判断により、独立行政法人が運営費交付金、政府出資金及び自己収入を財源として実施する事業が含まれている。

図表0-7 各府省等が実施する事業内容が大会の関連施策として整理されて政府の取組状況報告に記載されるまでの具体的な流れ

図表0-7 各府省等が実施する事業内容が大会の関連施策として整理されて政府の取組状況報告に記載されるまでの具体的な流れ 画像

29年5月に公表された政府の取組状況報告によれば、図表0-8のとおり、各府省等が実施す る大会の関連施策は、その取組内容により15分野の70施策に整理されており、「大会の円滑な準備及び運営」に資するものとして8分野の45施策と、「大会を通じた新しい日本の創造」に資するものとして7分野の25施策とされている。また、29年度までに14府省等(注10)が70施策に係る事業(14府省等が大会の関連施策として整理した事業を運営費交付金、政府出資金及び自己収入を財源として10独立行政法人(注11)が実施する事業を含む。)を実施している。

(注10)
14府省等  内閣、内閣府、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省
(注11)
10独立行政法人  国立研究開発法人情報通信研究機構、独立行政法人国際協力機構、同国際交流基金、国立研究開発法人科学技術振興機構、JSC、独立行政法人日本芸術文化振興会、同高齢・障害・求職者雇用支援機構、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、独立行政法人日本貿易振興機構、同国際観光振興機構

図表0-8 各府省等が実施する大会の関連施策の概要

「大会の円滑な準備及び運営」に資する大会の関連施策 「大会を通じた新しい日本の創造」に資する大会の関連施策
分野 施策の名称 分野 施策の名称
①セキュリティの万全と安全安心の確保
1.セキュリティ対策検討・推進体制の整備
大会を通じた日本の再生 ⑨被災地の復興・地域活性化
46.被災地と連携した取組の検討
2.未然防止のための水際対策及び情報収集・分析機能の強化
47.ホストタウンの推進
3.大会運営に係るセキュリティの確保
48.対日直接投資の拡大に向けた我が国ビジネス環境の発信
4.警戒監視、被害拡大防止対策等
5.NBC(核・生物・化学物質)テロ対策の強化
49.東京都と連携した大会開催を契機とした全国の中小企業のビジネス機会拡大
6.サイバーセキュリティ確保のための取組の推進
7.首都直下地震対策の強化
⑩日本の技術力の発信
50.社会全体のICT化の推進
8.避難誘導対策の強化
51.大会における最新の科学技術活用の具体化
9.感染症対策の推進
52.自動走行技術を活用した次世代都市交通システム
10.食中毒予防策の推進
53.先端ロボット技術によるユニバーサル未来社会の実現
②アスリート、観客等の円滑な輸送及び外国人受入れのための対策
11.出入国審査の円滑化
54.高精度衛星測位技術を活用した新サービス
12.CIQ体制の強化等
55.義肢装具等の先端技術の発信
13.首都圏空港の機能強化
56.都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクトの推進
14.空港アクセス等の改善
⑪外国人旅行者の訪日促進
57.「2020年オリンピック・パラリンピック」後も見据えた観光振興
15.道路輸送インフラの整備
16.大会開催時の輸送
58.水辺環境の改善
17.多言語対応の強化
⑫日本文化の魅力の発信
59.文化を通じた機運醸成
18.無料公衆無線LAN
60.文化プログラムの推進
19.宿泊施設の供給確保に向けた対策
61.クールジャパンの効果的なPRの実施
20.医療機関における外国人患者受入れ環境整備
62.和食・和の文化の発信強化
21.外国人来訪者等への救急・防災対応
⑬スポーツ基本法が目指すスポーツ立国の実現
63.スポーツ基本計画の策定
22.国際都市にふさわしい景観創出等のための無電柱化の推進
64.スポーツを「する」「みる」「ささえる」スポーツ参画人口の拡大と、そのための人材育成・場の充実、スポーツを通じた活力があり絆の強い社会の実現、障害者スポーツの普及促進
23.外国人を含む全ての大会来訪者がストレスなく楽しめる環境整備
③暑さ対策・環境問題への配慮
24.環境配慮の推進
25.分散型エネルギー資源の活用によるエネルギー・環境課題の解決
健康長寿・ユニバーサルデザインによる共生社会の実現 ⑭大会を弾みとした健康増進・受動喫煙防止
65.受動喫煙防止対策の推進
26.アスリート・観客の暑さ対策の推進
④メダル獲得へ向けた競技力の強化
27.競技力の向上
⑮ユニバーサルデザイン・心のバリアフリー
66.大会に向けたアクセシビリティの実現
28.強化・研究拠点の在り方
67.大会を契機としたユニバーサルデザイン・心のバリアフリーの推進
29.自衛官アスリートの育成及び競技力向上
30.射撃競技における競技技術の向上
68.バリアフリー対策の強化
⑤アンチ・ドーピング対策の体制整備
31.国内アンチ・ドーピング活動体制の整備
69.ICT化を活用した行動支援の普及・活用
⑥新国立競技場の整備
32.新国立競技場の整備等
70.大会を弾みとした働き方改革等ワーク・ライフ・バランスの推進
⑦教育・国際貢献等によるオリンピック・パラリンピックムーブメントの普及、ボランティア等の機運醸成
33.Sport for Tomorrowプログラムの実施
34.国内のオリンピック・パラリンピック・ムーブメントの普及
 
35.スポーツ・文化・ワールド・フォーラムの開催
36.Specialプロジェクト2020の実施
⑧その他
37.記念貨幣の発行検討
38.大会協賛宝くじ・記念切手の発行検討等
39.記念自動車ナンバープレートの発行
40.知的財産保護の在り方検討
41.式典等大会運営への協力検討
42.建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置
43.大会に向けた各種建設工事における安全確保
44.大会期間中に使用される無線局の円滑な運用の実現
45.東京パラリンピック競技大会開催準備
(注)
平成29年5月に公表された政府の取組状況報告の記載内容を基に会計検査院が整理したものであり、30年5月に公表された政府の取組状況報告における施策の名称とは一致しないものがある。
イ 「大会の円滑な準備及び運営」に資する大会の関連施策

 「大会の円滑な準備及び運営」に資する大会の関連施策は、アのとおり、大会に向けて国として取り組むべき大会の円滑な準備及び運営に資する施策であり、図表0-9のとおり、オリパラ基本方針に沿って「セキュリティの万全と安全安心の確保」等の8分野の45施策に整理され、29年度までに復興庁を除く13府省等が事業を実施している。その主な内容は、「未然防止のための水際対策及び情報収集・分析機能の強化」「出入国審査の円滑化」「アスリート・観客の暑さ対策の推進」「競技力の向上」等となっている。オリパラ基本方針によれば、これらの施策の実施により、大会の確実な成功に向けて、大会に参加する全てのアスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるようにするとともに、日本人アスリートの活躍を通じて国民を感動の渦に巻き込めるようにすることとされている。また、V2予算において国が負担するものとして含まれている新国立競技場の整備及びパラリンピック交付金は、「大会の円滑な準備及び運営」に資する大会の関連施策として各府省等が実施する施策に含まれている。

図表0-9 「大会の円滑な準備及び運営」に資する大会の関連施策の実施状況(平成29年度末現在)

(単位:府省等)
分野及び施策の内容
①
セキュリティの万全と安全安心の確保
(10施策)
②
アスリート、観客等の円滑な輸送及び外国人受入れのための対策
(13施策)
③
暑さ対策・環境問題への配慮
(3施策)
④
メダル獲得へ向けた競技力の強化(4施策)
⑤
アンチ・ドーピング対策の体制整備
(1施策)
⑥
新国立競技場の整備
(1施策)
⑦
教育・国際貢献等によるオリンピック・パラリンピックムーブメントの普及、ボランティア等の機運醸成
(4施策)
⑧
その他
(9施策)
 
\ 未然防止のための水際対策及び情報収集・分析機能の強化、大会運営に係るセキュリティの確保、NBC(核・生物・化学物質)テロ対策の強化、サイバーセキュリティ確保のための取組の推進 等 出入国審査の円滑化、CIQ体制の強化等、首都圏空港の機能強化、道路輸送インフラの整備、無料公衆無線LAN、医療機関における外国人患者受入れ環境整備 等 アスリート・観客の暑さ対策の推進、環境配慮の推進、分散型エネルギー資源の活用によるエネルギー・環境課題の解決 競技力の向上、強化・研究拠点の在り方、自衛官アスリートの育成及び競技力向上 等 Sport for Tomorrowプログラムの実施、国内のオリンピック・パラリンピック・ムーブメントの普及、スポーツ・文化・ワールド・フォーラムの開催 等 式典等大会運営への協力検討、大会協賛宝くじ・記念切手の発行検討、東京パラリンピック競技大会開催準備 等
府省等名
内閣 ○ ○ ○     ○   ○
内閣府 ○ ○   ○        
復興庁                
総務省 ○ ○ ○         ○
法務省 ○ ○            
外務省 ○ ○         ○  
財務省 ○ ○           ○
文部科学省       ○ ○ ○ ○ ○
厚生労働省 ○ ○           ○
農林水産省 ○ ○            
経済産業省   ○ ○         ○
国土交通省 ○ ○ ○         ○
環境省     ○          
防衛省 ○     ○     ○ ○
分野別の計 10 10 5 3 1 2 3 8
注(1)
平成29年5月に公表された政府の取組状況報告の記載内容を基に会計検査院が整理したものである。
注(2)
「○」は、支出の有無にかかわらず、取組を行っていることを示す。
ウ 「大会を通じた新しい日本の創造」に資する大会の関連施策

 「大会を通じた新しい日本の創造」に資する大会の関連施策は、アのとおり、大会開催を契機に、大会終了後に残すべきレガシーの創出を意識して国として取り組む施策であり、図表0-10のとおり、オリパラ基本方針に沿って「被災地の復興・地域活性化」等の7分野の25施策に整理され、29年度までに財務省及び防衛省を除く12府省等が事業を実施している。その主な内容は、「被災地と連携した取組の検討」「大会における最新の科学技術活用の具体化」「「2020年オリンピック・パラリンピック」後も見据えた観光振興」「文化プログラムの推進」等となっている。オリパラ基本方針によれば、これらの施策の実施により、大会の開催を契機として復興を成し遂げつつある東日本大震災の被災地の姿、地域の伝統芸能等の日本文化、全国各地の魅力、日本の科学技術等を世界にアピールするとともに、大会終了後のレガシーとして、スポーツを通じて全ての人々が幸福で豊かな生活を営むことができる社会の実現、障害者・高齢者にとどまらず誰もが安全で快適に移動できる公共施設等のユニバーサルデザイン化、障害者等への理解による共生社会の実現等を目指すこととされている。

図表0-10 「大会を通じた新しい日本の創造」に資する大会の関連施策の実施状況(平成29年度末現在)

(単位:府省等)
分野及び施策の内容 大会を通じた日本の再生
④
日本文化の魅力の発信
(4施策)
⑤
スポーツ基本法が目指すスポーツ立国の実現
(2施策)
健康長寿・ユニバーサルデザインによる共生社会の実現
 
①
被災地の復興・地域活性化
(4施策)
②
日本の技術力の発信
(7施策)
③
外国人旅行者の訪日促進
(2施策)
⑥
大会を弾みとした健康増進・受動喫煙防止
(1施策)
⑦
ユニバーサルデザイン・心のバリアフリー
(5施策)
\ 被災地と連携した取組の検討、ホストタウンの推進、対日直接投資の拡大に向けた我が国ビジネス環境の発信 等 大会における最新の科学技術活用の具体化、先端ロボット技術によるユニバーサル未来社会の実現 等 「2020年オリンピック・パラリンピック」後も見据えた観光振興、水辺環境の改善 文化プログラムの推進、クールジャパンの効果的なPRの実施、和食・和の文化の発信強化 等 スポーツを「する」「みる」「ささえる」スポーツ参画人口の拡大と、そのための人材育成・場の充実、障害者スポーツの普及促進等 大会を契機としたユニバーサルデザイン・心のバリアフリーの推進、バリアフリー対策の強化 等
府省等名
内閣 ○   ○ ○   ○ ○
内閣府   ○ ○ ○     ○
復興庁 ○            
総務省 ○ ○ ○       ○
法務省             ○
外務省 ○     ○      
財務省              
文部科学省 ○ ○ ○ ○ ○   ○
厚生労働省   ○ ○ ○   ○ ○
農林水産省       ○     ○
経済産業省 ○ ○   ○     ○
国土交通省   ○ ○ ○     ○
環境省   ○ ○ ○     ○
防衛省              
分野別の計 6 7 7 9 1 2 10
注(1)
平成29年5月に公表された政府の取組状況報告の記載内容を基に会計検査院が整理したものである。
注(2)
「○」は、支出の有無にかかわらず、取組を行っていることを示す。
エ 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会関係予算

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会関係予算(以下「オリパラ関係予算」という。)は、各府省等が実施する大会の関連施策のうち、特に大会の運営及び準備に関係する内容について、オリパラ基本方針が作成された後の平成28年度当初予算から、事業の効果や費用の管理等について他の施策と区分することで各府省等においてオリパラ基本方針に基づく施策の実効性を担保して、その進行管理に資するよう、オリパラ事務局が取りまとめているものである。オリパラ関係予算として整理する際の要件は次の二点であり、各府省等はいずれの要件も満たしている大会の関連施策をオリパラ関係予算として整理している。

  • ① 大会の運営又は大会の開催機運の醸成や成功に直接資すること
  • ② 大会招致を前提に、新たに又は追加的に講ずる施策であること(実質的な施策の変更・追加を伴うものであり、単なる看板の掛け替えは認めない。)

28年度から30年度までのオリパラ関係予算は、図表0-11のとおり、8府省等が計41事業に係る計1127億4100万円と整理しており、28年度の予算額は329億3700万円(当初予算166億7800万円、補正予算162億5900万円)、29年度の予算額は517億5100万円(当初予算201億2800万円、補正予算316億2300万円)、30年度の当初予算額は280億5300万円となっている。このうち、全体の大部分を占めるのは文部科学省であり、パラリンピック交付金(平成29年度一般会計補正予算300億円)、大会に向けて各競技団体が行う日常的・継続的な選手強化活動を支援するなどの競技力向上事業(28年度から30年度までの予算計274億5000万円)、JSCが行う新国立競技場の新規整備の財源のうち国の負担分の一部に充てる独立行政法人日本スポーツ振興センター出資金(平成28年度一般会計補正予算125億円)等の計999億3400万円となっている。

図表0-11 平成28年度から30年度までのオリパラ関係予算の状況

(単位:百万円)
府省等名 事業数 平成28年度 29年度 30年度 計
当初 補正 計 当初 補正 計 当初   (合計に占める割合)
内閣 1 576 299 875 576 - 576 576 2,027 (1.7%)
内閣府(警察庁) 9 13 - 13 - - - 8,346 8,359 (7.4%)
総務省 3 - - - 240 199 439 374 813 (0.7%)
文部科学省 16 15,748 15,960 31,708 18,333 31,424 49,757 18,469 99,934 (88.6%)
厚生労働省 4 75 - 75 85 - 85 235 395 (0.3%)
農林水産省 1 17 - 17 15 - 15 11 43 (0.0%)
国土交通省 1 162 - 162 809 - 809 - 971 (0.8%)
環境省 6 87 - 87 70 - 70 42 199 (0.1%)
合計 41 16,678 16,259 32,937 20,128 31,623 51,751 28,053 112,741 (100.0%)
(注)
事業数はオリパラ関係予算として整理された事業の数を示す。

そして、オリパラ関係予算は、図表0-12のとおり、各府省等における予算案の作成段階において、オリパラ事務局が各府省等へオリパラ関係予算の要件を満たす事業の調査を依頼し、各府省等が必要に応じて財務省に相談するなどしてオリパラ事務局へ回答している。その後、オリパラ事務局は予算案の閣議決定後に各府省等に対して再度調査を依頼し、その回答を踏まえて取りまとめている。

図表0-12 オリパラ関係予算の取りまとめの流れ

図表0-12 オリパラ関係予算の取りまとめの流れ 画像

オ 東京都等が実施する大会の関連施策の概要

開催都市である東京都(大会施設が所在する11市区を含む。)、都外自治体である8道県及び13市町の中には、29年度までに各地方自治体の総合計画等に基づき、大会施設の整備やインフラ整備等の大会の運営及び準備に資する施策や、観光振興等の大会の開催を契機とした施策について、自らが取り組むべき大会の関連施策として設定して実施している地方自治体もある。

そして、東京都(同11市区を含む。)及び都外自治体が実施する大会の関連施策の財源は、各地方自治体の自己財源や国庫補助金等となっている。なお、立候補ファイルによれば、当せん金付証票法(昭和23年法律第144号)に基づき、全国の都道府県及び政令指定都市において大会協賛宝くじを発売することとされており、その収益金の一部を各地方自治体へ配分して大会施設の整備等の費用に充当することとされている。この収益金により充当される費用は、立候補ファイルによれば、当初100億円を見込んでおり、東京都からの要望を受けて全国自治宝くじ事務協議会において支援を決定して、大会協賛宝くじの発売を開始した28年度に約10億円が東京都へ配分され、大会施設の整備の財源に充てられた。その後、29年9月に東京都及び都外自治体から全国自治宝くじ事務協議会に対して追加の支援要望が行われたことを受けて、29年度から32年度までに、大会組織委員会が行う大会の準備及び運営、都外自治体が行う大会の関連施策及び聖火リレーに関係する地方自治体が行う業務の財源として、計340億円が各地方自治体へ配分されることとなっている。

3 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

大会は、大規模かつ国家的に特に重要なスポーツの競技会であり、その確実な成功のためには、各府省等、東京都、都外自治体等が連携して大会の関連施策を実施するなどして、大会組織委員会が主体となって行う大会の準備及び運営に資するように取り組んでいく必要がある。

そこで、会計検査院は、大会に向けた取組状況等に関する各事項について、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、次の点に着眼して検査を行った。

ア 大会の開催に向けた取組等の状況

(ア) 国は、大会の開催に向けて、大会の準備及び運営を行う主体である大会組織委員会、開催都市である東京都等とどのように情報共有を図るなどして相互に連携して、取組内容等の調整を図っているか。

(イ) 国が既にその一部を負担している経費や今後負担することとなる経費が含まれている大会経費の試算の内容はどのようになっているか。

(ウ) 新国立競技場等の大会施設の整備状況等はどのようになっているか。特に、新国立競技場の整備に係る財源の確保、大会終了後の活用方法の検討等は適切に行われているか。

イ 各府省等が実施する大会の関連施策等の状況

(ア) 各府省等が実施する大会の関連施策の実施体制及び実施状況はどのようになっているか。また、実施内容は大会の円滑な準備及び運営並びに大会終了後に残すべきレガシーの創出に資するものとなっているか。

(イ) 各府省等が実施する大会の関連施策以外に、東京都等が実施する大会の関連施策等に対する各府省等の支援状況はどのようになっているか。

(2) 検査の対象及び方法

大会の開催に向けた取組等の状況として、25年度から29年度までに各府省等、JSC及びJRAが実施した大会施設の整備状況等について検査するとともに、東京都、大会組織委員会及び都外自治体が国庫補助金等を活用するなどして実施した大会施設の整備状況等について検査した。

また、各府省等が実施する大会の関連施策等の状況として、25年度から29年度までに14府省等が実施した大会の関連施策等に係る事業の実施状況等について検査した。

検査に当たっては、14府省等の本省、外局及び地方支分部局、9独立行政法人(注12)、JRA、18都道府県(注13)、同都道府県の92市区町村、大会組織委員会及び14府省等の国庫補助金等交付先又は委託先である23法人において、大会施設の整備状況、各府省等の大会の関連施策の実施状況等について、650人日を要して会計実地検査を行い、調書及び関係資料を徴したり、担当者等から説明を聴取したりなどした。また、公表されている資料等を基に調査分析を行った。

なお、国庫補助金等の交付を受けずに実施されているなどの会計検査院の検査権限が及ばない都道府県等が行う取組等については、協力が得られた範囲で説明を受けるなどして調査を行った。

(注12)
9独立行政法人  国立研究開発法人情報通信研究機構、独立行政法人国際協力機構、同国際交流基金、同造幣局、JSC、独立行政法人日本芸術文化振興会、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、独立行政法人日本貿易振興機構、同国際観光振興機構
(注13)
18都道府県  東京都、北海道、京都府、宮城、福島、茨城、群馬、埼玉、千葉、神奈川、新潟、石川、山梨、長野、静岡、兵庫、福岡、大分各県