防災基本計画が定める防災業務のうち、災害応急対策は、前記のとおり、発災直後に行うことから迅速かつ円滑な実施が必要とされる業務である。このため、国は、災害応急対策に用いる情報(以下「災害関連情報」という。)を可能な限り迅速かつ的確に収集し、また、地方公共団体、公共機関等と共有するなどする必要がある。
そして、各指定府省庁は、上記の収集や共有を円滑に実施するなどのために、それぞれが必要とする災害関連情報等の収集等を行う情報システムを整備していることから、これらの情報システムの運用継続性を適切に確保し、効率的、効果的に整備し、運用等することが重要である(以下、総防システムと各指定府省庁が整備した総防システム以外の災害関連情報を収集等する情報システムを合わせて「災害関連情報システム」という。)。
そこで、会計検査院は、災害関連情報システムの整備、運用等の状況について、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、次の点に着眼して検査した。
ア 災害関連情報システムの整備状況等はどのようになっているか。
イ 災害関連情報システムを整備等している各指定府省庁は、災害応急対策を効率的、効果的に行えるよう、各災害関連情報システム等により収集した災害関連情報を他府省庁、地方公共団体、公共機関等との間で適切に共有しているか。
ウ 災害関連情報システムを整備等している各指定府省庁は、災害時に、災害関連情報を迅速かつ的確に収集し、伝達できるよう、各災害関連情報システムの運用継続性を確保するために十分な措置を講じているか。
検査に当たっては、災害関連情報システムの整備、運用等に係る費用を対象として、指定行政機関24府省庁のうち災害関連情報システムを整備している12府省庁(注4)から、各災害関連情報システムの整備状況、災害関連情報のうち災害関連情報システムが取り扱うもの(以下「システム取扱情報」という。)の情報連携等の状況、各災害関連情報システムの運用継続性を確保するための対策の状況等について、提出を受けた調書の内容を分析するとともに、関係資料を確認するなどして会計実地検査を行った。
また、上記24府省庁のうち災害関連情報システムを整備していない12省庁(注5)及び東日本大震災の発生以降に非常本部等が設置されるなど災害によって大きな被害を受けた14道県(注6)から災害関連情報システムとの情報共有の状況等について、関係書類の提出を受けるなどして調査した。