我が国では、自然災害により古くから多くの人的、財産的被害が生じてきており、自然災害から国土並びに国民の生命、身体及び財産を保護するための災害対策は重要な課題である。
我が国の災害対策は、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)、防災基本計画(昭和38年6月策定)等により定められており、国、地方公共団体、公共機関等はこれに基づいて、災害予防、災害応急、災害復旧復興の各段階において災害対策を講じている。
東日本大震災を契機とした災害対策基本法の改正では、災害に関する情報を共有し相互に連携して災害応急対策の実施に努めること、都道府県が被害状況の把握等を行うことができなくなったときは、国は災害に関する情報の収集に特に意を用いなければならないことが定められた。
災害対策のうち、災害応急対策は、発災直後に行うことから迅速かつ円滑な実施が必要とされる業務である。災害対策を円滑に進めるためには、この段階において、災害に関する情報が的確かつ迅速に収集、伝達等されることが重要である。
このため、各機関は、それぞれの所掌事務等について災害に関する情報の収集、伝達等に使用するための情報システムを整備し、内閣府は、各機関が当該情報システムにより収集した災害関連情報を集約し、共有するなどのため、総合防災情報システムを整備している。
本報告書は、以上のような経緯等を踏まえて、災害関連情報システムの整備、運用等の状況について検査を行い、その状況について取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
平成30年4月
会計検査院
・本文及び図表中の数値は、表示単位未満を切り捨てている。
・上記のため、図表中の数値を集計しても計が一致しないものがある。