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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書
  • 平成30年10月

株式会社商工組合中央金庫における危機対応業務の実施状況等について


2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

危機対応円滑化業務の主務省において危機事案の認定、継続及び解除が適切に行われなかったり、指定金融機関が危機対応業務の要件を満たしていない事業者に対して危機対応貸付けを行ったりした場合は、危機によって事業者が受けた被害に対処するために行う危機対応業務の制度の趣旨を逸脱することになる。また、日本公庫が危機対応円滑化業務において指定金融機関である商工中金へ損害担保契約に基づく補償金の支払、利子補給金の支給等を行うために、国が日本公庫に多額の出資等の財政措置等を行っており、危機対応業務においては、指定金融機関による多数の危機対応貸付けが行われていることから、上記の場合は国の財政負担を増加させるおそれがある。

そこで、会計検査院は、合規性、経済性、有効性等の観点から、危機対応円滑化業務の主務省は危機事案の認定、継続及び解除並びに危機対応業務の制度運営を適切に行っているか、商工中金による危機対応業務における不正等の要因は何か、商工中金は危機対応貸付けの審査を適切に行ってきたかなどに着眼して検査した。

(2) 検査の対象及び方法

会計検査院は、商工中金本店及び15支店(注4)、金融庁、財務省、農林水産省、中小企業庁、日本公庫本店並びに政投銀本店及び6支店(注5)において、20年度から29年度までの間に国が行った危機対応業務に係る財政措置等、日本公庫が行った危機対応円滑化業務、指定金融機関が行った危機対応貸付け等を対象に会計実地検査を行った。このうち、商工中金本店及び10支店(注6)からは、雇用維持利子補給に関する調書の提出を受けて、その内容を分析するなどして検査した。また、政投銀本店及び6支店においては、商工中金が行った危機対応貸付けとの相違点について分析するなどして検査した。

さらに、533金融機関(銀行120行、信用金庫264金庫、信用組合149組合)に対して、商工中金における危機対応業務等に関するアンケート調査を実施した。

(注4)
15支店  札幌、新宿、東京、池袋、横浜、長野、熱田、津、大阪、堺、神戸、岡山、高松、福岡、鹿児島各支店
(注5)
6支店  北海道、東北、東海、関西、中国、四国各支店
(注6)
10支店  東京、長野、熱田、津、大阪、堺、神戸、岡山、福岡、鹿児島各支店