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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第2 内閣府(内閣府本府)|
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  • 補助金|
  • (2) 補助対象事業費を過大に精算するなどしていたもの

特定有人国境離島地域社会維持推進交付金により実施した事業の交付対象事業費を過大に精算していたもの[内閣府本府](9)


(1件 不当と認める国庫補助金 4,866,667円)

 
部局等
補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等
年度
事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(9) 内閣府本府
島根県
隠岐郡西ノ島町
有限会社アグリおき
(事業主体)
特定有人国境離島地域社会維持推進交付金 29 13,900 6,950 9,733 4,866

この交付金事業は、「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法」(平成28年法律第33号)に基づき、特定有人国境離島地域の地域社会の維持を図るために、都道県が定める計画に基づき都道県等が実施する事業の経費の一部について、内閣府本府が特定有人国境離島地域社会維持推進交付金(以下「交付金」という。)を交付するものである。

交付金の交付対象事業のうち、雇用機会拡充事業は、特定有人国境離島地域社会維持推進交付金交付要綱(平成29年府海事第7号)等によれば、特定有人国境離島地域における雇用増に直接寄与する民間事業者等による創業又は事業拡大に要する事業資金を補助し、特定有人国境離島地域の雇用機会の拡充を行うものとされている。そして、雇用機会拡充事業の交付対象経費は、設備費、改修費、人件費等とされており、交付対象経費の2分の1以内等の額の交付金を都道県等を通じて民間事業者等に交付することとされている。

有限会社アグリおき(以下「会社」という。)は、平成29年度に雇用機会拡充事業として、飲食店を開設し郷土料理を提供したり、ゲストハウスとして宿泊客の受入れを行ったりするなどのために、古民家の改修工事費を15,012,000円とする契約を施工業者と締結した上で工事を実施したとしていた。そして、上記の工事費から消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)相当額を控除した13,900,000円を交付対象経費とする実績報告書を西ノ島町に提出し、同町がこれを審査するなどして、同町から10,425,000円(交付金相当額6,950,000円)の交付を受けていた。

しかし、実際に会社が施工業者に支払っていた工事費は4,500,000円であり、会社は事実と相違した工事費に基づく虚偽の実績報告書を作成して西ノ島町に提出していた。

したがって、実際の工事費4,500,000円から消費税相当額を控除して適正な交付対象経費を算定すると4,166,667円となり、前記の交付対象経費13,900,000円との差額9,733,333円が過大に精算されていて、これに係る交付金相当額4,866,667円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、会社において交付金事業の適正な実施に対する認識が著しく欠けていたこと、西ノ島町において会社から提出された実績報告書等に対する審査及び確認が十分でなかったこと、島根県において西ノ島町に対する指導等が十分でなかったこと、内閣府本府において島根県及び西ノ島町に対する指導等が十分でなかったことなどによると認められる。