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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第3 総務省|
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  • 補助金

(1) 地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)等が過大に交付されていたなどのもの[総務本省、2府県](13)―(17)


5件 不当と認める国庫補助金 605,768,312円

地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)(以下「元気交付金」という。)は、地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)制度要綱(平成25年府地活第125号、総行応第50号等。以下「元気交付金制度要綱」という。)、地域の元気臨時交付金交付要綱(平成25年総行応第252号。以下「元気交付金交付要綱」という。)等に基づき、地域経済の活性化と雇用の創出を図ることを目的として、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(平成25年1月閣議決定。以下「25年1月閣議決定」という。)の迅速かつ円滑な実施ができるよう、地方公共団体が作成した地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)実施計画(以下「元気交付金実施計画」という。)に基づき実施する事業に要する費用のうち、元気交付金実施計画を作成した地方公共団体が負担する経費に充てるために、国が交付するものである。

元気交付金制度要綱によれば、元気交付金の交付対象事業は、既存の国の補助事業の対象とはならない地方単独事業については、25年1月閣議決定の後に地方公共団体の平成24年度予算又は25年度予算に計上され、実施される事業であって、「建設地方債の発行対象経費であるもの」などに限ることとされている。元気交付金の交付に関しては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号。以下「補助金適正化法」という。)のほか元気交付金交付要綱等に定めるところによるとされている。補助金適正化法等によれば、補助事業者等は、補助事業等が完了したときは補助事業等の成果を記載した実績報告書を各省各庁の長に提出しなければならないこととされている。そして、総務省は、元気交付金事業が工事に係るものにあっては、その交付金事業の成果は当該工事の25年度末の工事の出来高であるとしている。

がんばる地域交付金(地域活性化・効果実感臨時交付金)(以下「がんばる交付金」といい、元気交付金と合わせて「両交付金」という。)は、がんばる地域交付金(地域活性化・効果実感臨時交付金)制度要綱(平成26年府地活第212号、総行応第120号等。以下「がんばる交付金制度要綱」という。)等に基づき、地域の活性化を図ることを目的として、「好循環実現のための経済対策」(平成25年12月閣議決定)の円滑な実施ができるよう、地方公共団体が作成したがんばる地域交付金(地域活性化・効果実感臨時交付金)実施計画(以下「がんばる交付金実施計画」という。)に基づき実施する事業に要する費用のうち、がんばる交付金実施計画を作成した地方公共団体が負担する経費に充てるために、国が交付するものである。

がんばる交付金制度要綱によれば、がんばる交付金の交付対象事業は、地方単独事業については、「建設地方債発行対象事業等を実施する事業」に限ることとされている。

また、地方財政法(昭和23年法律第109号)によれば、同法第5条に掲げる公共施設又は公用施設の建設事業費等については、地方債をもってその財源とすることができることとされている。そして、総務省は、両交付金の交付対象事業について、建設事業と一体とは認められない施設等の賃借料については、同法において地方債をもってその財源とすることができることとなっていないため、上記地方債の発行対象とならないとしている。

本院が22都府県及び325市区町村において会計実地検査を行ったところ、3府県及び2市において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

 
部局等
交付金事業者
(事業主体)
交付金事業
年度
交付対象事業費 左に対する交付金交付額 不当と認める交付対象事業費 不当と認める交付金交付額
摘要
          千円 千円 千円 千円  
(13)
総務本省
茨城県
地域の元気臨時交付金
(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)
〈老朽校舎改築等〉
25 4,240,216 3,429,308 413,394 358,847 過大交付
(14)
大阪府
〈中学校給食導入促進等〉
25 4,500,952 4,500,952 22,414 22,414
(15)
大阪府
大阪市
〈区役所庁舎等建替・耐震化対策〉
25 686,267 683,962 113,663 113,663
(13)―(15)の計 9,427,435 8,614,222 549,472 494,926  

これらの元気交付金事業は、3事業主体が、地方単独事業として、施設整備の工事等を実施したものであり、元気交付金事業の交付対象事業費を計9,427,435,819円であるとして総務本省及び大阪府に実績報告書を提出し、総務省から計8,614,222,000円の元気交付金の交付を受けていた。

しかし、元気交付金事業の成果である平成25年度末の工事の出来高を超えて元気交付金が交付されているなどしていたため、元気交付金計494,926,312円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、3事業主体において元気交付金事業が完了したときに提出する実績報告書に記載すべき元気交付金事業の成果についての理解が十分でなかったこと、総務本省及び大阪府において元気交付金の額の確定の際の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1>

茨城県は、平成25年度に、地方単独事業として、老朽校舎改築事業等11事業を事業費計4,240,216,607円(元気交付金交付対象事業費同額、元気交付金交付額3,429,308,000円)で実施していた。そして、同県は、同事業において実施した工事のうち下館第二高校普通教室棟改築工事等44工事について、工事の各契約相手方に対して25年度に支払った前払金等の額計484,231,500円を元気交付金交付対象事業費であるとして、総務本省に実績報告書を提出して計429,685,000円の元気交付金の交付を受けていた。

しかし、この元気交付金事業の成果である工事の25年度末における出来高は計70,837,333円であった。

したがって、前記44工事の適正な元気交付金交付対象事業費は上記出来高の70,837,333円となることから、前記の元気交付金交付対象事業費484,231,500円は413,394,167円過大となっており、これに係る元気交付金358,847,667円が過大に交付されていた。

(16)
総務本省
神奈川県
地域の元気臨時交付金
(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)
〈横浜立野高校耐震化〉
25 2,288,091 1,070,000 55,164 55,164 補助の対象外
(17)
佐賀県
鹿島市
同、がんばる地域交付金(地域活性化・効果実感臨時交付金)
〈東部中学校改築等〉
25、26 137,381 114,600 67,294 55,678
(16)(17)の計 2,425,473 1,184,600 122,458 110,842  

これらの元気交付金事業又はがんばる交付金事業は、2事業主体が、地方単独事業として、施設整備の工事を実施したものであり、元気交付金事業又はがんばる交付金事業の交付対象事業費を計2,425,473,055円であるとして総務本省及び佐賀県に実績報告書を提出し、総務省から計1,184,600,000円の両交付金の交付を受けていた。

しかし、両交付金交付対象事業費に25年1月閣議決定の前に予算計上されて実施されたものや施設等の賃借料の交付の対象とならない経費を含めていたため、両交付金計110,842,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、2事業主体において元気交付金又は両交付金の制度に対する理解が十分でなかったこと、佐賀県において両交付金の額の確定の際の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例2>

鹿島市は、平成25、26両年度に、地方単独事業として、東部中学校改築事業等を事業費計137,381,935円(両交付金交付対象事業費同額、両交付金交付額114,600,000円)で実施したとして、佐賀県に実績報告書を提出して、総務省から計114,600,000円の両交付金の交付を受けていた。そして、同市は、上記の事業費に、25年9月から26年12月までの間の中学校仮設校舎の賃借料計67,294,500円を含めていた。

しかし、上記の賃借料は、元気交付金制度要綱において元気交付金の交付対象とされている「建設地方債の発行対象経費であるもの」などに該当しないものであった。

したがって、前記の賃借料67,294,500円は両交付金の交付対象とは認められず、これに係る両交付金計55,678,000円が過大に交付されていた。

(13)―(17)の計 11,852,909 9,798,822 671,931 605,768