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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 文部科学省|
  • 不当事項|
  • 補助金

(1) 学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金が過大に交付されていたもの[文部科学本省](21)(22)


2件 不当と認める国庫補助金 62,398,000円

学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金(以下「補助金」という。)は、学校、家庭及び地域住民相互の連携・協働を推進するため、学校を核として地域住民等の参画や地域の特色を生かした事業を展開し、もって、まち全体で地域の将来を担う子供たちを育成するとともに地域のコミュニティの活性化を図ることなどを目的として、都道府県、政令指定都市、中核市又は市町村が行う地域学校協働活動推進事業(平成28年度以前は学校・家庭・地域の連携協力推進事業)等について、その事業に要する費用の一部を都道府県、政令指定都市及び中核市に対しては直接、市町村に対しては直接又は都道府県を経由して、それぞれ国が補助するものである。

地域学校協働活動推進事業は、幅広い地域住民等の参画により、子供たちの成長を支え、地域を創生する地域学校協働活動を推進する事業とされている。地域学校協働活動の実施に当たっては、域内の地域学校協働活動等の総合的な調整役を担う者として、地域学校協働活動推進員又は地域コーディネーター(以下「地域学校協働活動推進員等」という。)を、また、放課後子供教室において教育支援活動を中心的に行う者として教育活動推進員等を、それぞれ配置することとされている。

学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金交付要綱(平成21年文部科学大臣決定)等によれば、地域学校協働活動推進事業に係る補助金の交付額は、地域学校協働活動推進員等又は教育活動推進員等に対する謝金等に係る経費を補助対象経費として、これに補助率(3分の1以内)を乗じて算定することとされている。補助対象経費のうち謝金については、実際に補助事業に従事した時間数に謝金単価を乗ずる方法により算出することとされている。さらに、教育活動推進員等に対する謝金のうち、補助対象経費となるのは、学校の課業日数や家庭との役割分担等も勘案し、原則として年間250日未満、1日当たり4時間以内(休業日等で特に必要な場合には8時間以内)を補助対象の上限として算出された額とされている。

本院が、20都道県の64市区町村において、会計実地検査を行ったところ、2市において、地域学校協働活動推進員等又は教育活動推進員等が補助事業に従事した時間数に、これらの者が休暇を取得するなどしていた時間数を含めたり、放課後子供教室について、補助対象の上限を超えた時間数及び教育活動推進員等が他の業務に従事していた時間数を含めたりなどしていたため、補助金計62,398,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、2市において補助対象経費の算定方法についての理解及び補助対象経費の確認が十分でなかったこと、文部科学省において2市への指導が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

秋田県秋田市は、平成28年度に地域学校協働活動推進事業である放課後子供教室を秋田市内の児童館等で実施し、補助対象経費123,420,191円に補助率を乗じて、国庫補助金41,140,000円の交付を受けていた。そして、補助対象経費のうち謝金の算定に当たり、補助事業に従事する者の大部分を占める教育活動推進員の従事時間数を102,192時間とするなどしていた。

しかし、同市は、上記の従事時間数に、教育活動推進員が実際には休暇を取得するなどしていた時間数、補助対象の上限を超えた時間数及び教育活動推進員が他の業務に従事していた時間数を含めるなどしていた。

したがって、教育活動推進員の適正な従事時間数58,603.5時間等により算定した適正な補助対象経費86,799,830円に対する国庫補助金は28,933,000円となり、国庫補助金12,207,000円が過大に交付されていた。

また、25、26、27、29各年度においても同様の事態が見受けられた。

以上を事業主体別に示すと次のとおりである。

 
部局等
補助事業者
(事業主体)
年度
補助対象経費 左に対する国庫補助金交付額 不当と認める補助対象経費 不当と認める国庫補助金交付額
摘要
        千円 千円 千円 千円  
(21) 文部科学本省 秋田県秋田市 25~29 604,753 201,580 147,981 49,327 休暇を取得するなどしていた時間数を含めて補助対象経費を算出していたものなど
(22) さいたま市 26~29 1,213,158 404,377 39,211 13,071 休暇を取得していた時間数を含めて補助対象経費を算出していたもの
(21)(22)の計 1,817,911 605,957 187,193 62,398