ページトップ
  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 文部科学省|
  • 不当事項|
  • 補助金

(3) 災害共済給付補助金(要保護・準要保護児童生徒共済掛金保護者支出分充当補助)が過大に交付されていたもの[文部科学本省](24)


1件 不当と認める国庫補助金 8,966,282円

災害共済給付は、独立行政法人日本スポーツ振興センター法(平成14年法律第162号。以下「法」という。)等の規定に基づき、独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「センター」という。)が学校の管理下における児童生徒等の災害(負傷、疾病、障害又は死亡をいう。)について、当該児童生徒等の保護者等に対して医療費、障害見舞金又は死亡見舞金の支給を行うものである。その運営に要する経費は、国、学校の設置者及び保護者の三者で負担することとなっており、センターと災害共済給付契約を締結した学校の設置者は、保護者が負担する額として学校の設置者が設定した額(以下「保護者負担額」という。)と自らの負担額とを合わせた額をセンターに対して支払わなければならないこととなっている。

また、法によれば、学校の設置者は、保護者から保護者負担額を徴収することとされているが、保護者が経済的理由によって保護者負担額を納付することが困難であると認められるときは、これを徴収しないことができることとされている。

災害共済給付補助金(要保護・準要保護児童生徒共済掛金保護者支出分充当補助)(以下「補助金」という。)は、法等の規定に基づき、学校教育の円滑な実施に資することを目的として、公立の義務教育諸学校(小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部をいう。)の設置者(以下「公立学校設置者」という。)が、経済的理由によって保護者負担額を納付することが困難であると認められる要保護者(注1)又は準要保護者(注2)から保護者負担額を徴収しないこととした場合に、当該徴収しないこととした額(以下「免除額」という。)を補助対象経費として、国がセンターに対して補助するものである。そして、センターが補助金の交付を受けた場合には、公立学校設置者がセンターに対して支払う額は、保護者負担額と設置者自らの負担額とを合わせた額から免除額に係る補助金相当額を控除した額とすることとなっている。

(注1)
要保護者  生活保護法(昭和25年法律第144号)第6条第2項に規定する要保護者
(注2)
準要保護者  学校の設置者が要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者

センターが免除額を補助対象経費に計上するためには、公立学校設置者が徴収することとなっている保護者負担額を設定している必要があり、保護者負担額を設定していない場合は、免除額が生じないことから、補助対象経費に計上できないこととなる。また、公立学校設置者が保護者負担額の全部又は一部を要保護者等から徴収している場合には、当該徴収している額を補助対象経費に含めることはできないこととなっている。

本院が、センターにおいて会計実地検査を行ったところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

 
部局等
事業主体
補助事業
年度
国庫補助金交付額 不当と認める国庫補助金交付額
摘要
          千円 千円  
(24) 文部科学本省 独立行政法人日本スポーツ振興センター 災害共済給付補助金(要保護・準要保護児童生徒共済掛金保護者支出分充当補助) 28、29 172,444 8,966 補助対象とならない経費を含めていたもの

センターは、補助金の額を平成28年度86,421,985円、29年度86,022,950円、計172,444,935円とする実績報告書を提出して、同額の補助金の交付を受けていた。

しかし、センターは、各公立学校設置者における実際の保護者負担額の設定状況等を把握していなかったため、実際には、公立学校設置者が保護者負担額を設定しておらず免除額が生じていないのに、補助対象経費に計上していたり、公立学校設置者が保護者負担額の全部又は一部を要保護者等から徴収していたのに、当該徴収していた額を補助対象経費に含めていたりするなどしていた。

したがって、補助の対象とならない経費を除いて、適正な補助金の額を算定すると、28年度81,938,049円、29年度81,540,604円となることから、前記の補助金交付額86,421,985円、86,022,950円との差額4,483,936円、4,482,346円、計8,966,282円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、センターにおいて補助対象経費についての理解が十分でなかったこと、文部科学省において補助事業の審査及び確認並びにセンターに対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。