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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
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  • 補助金

(6) 私立高等学校等経常費助成費補助金(幼稚園等特別支援教育経費)が過大に交付されていたもの[3県](27)―(29)


3件 不当と認める国庫補助金 14,984,000円

私立高等学校等経常費助成費補助金(幼稚園等特別支援教育経費)(以下「特別支援教育経費補助金」という。)は、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)等に基づき、私立学校の健全な発達に資することを目的として、都道府県が私立学校における教育に係る経常的経費について補助する場合に国がその一部を補助するものである。

特別支援教育経費補助金の補助対象経費は、私立高等学校等経常費助成費補助金(幼稚園等特別支援教育経費・過疎高等学校特別経費・教育改革推進特別経費・授業料減免事業等支援特別経費)交付要綱(平成11年文部大臣裁定)等によれば、都道府県が、障害のある満3歳以上の小学校就学前の子ども(以下「障害幼児」という。)が2人以上在籍している私立の幼稚園又は幼保連携型認定こども園等(以下、これらを合わせて「障害幼児認定こども園等」という。)を設置している学校法人等に対して、当該障害幼児の教育に必要な経常的経費に対する補助金を交付するのに要する経費とされている。また、特別支援教育経費補助金の交付額は、補助対象経費等を基に算定された補助単価に、補助の対象となる障害幼児の総数を乗ずるなどして算定することとされている。

そして、平成27年度から幼児教育・保育・地域の子ども・子育て支援を総合的に推進することにより待機児童の解消等の子育てをめぐる課題の解決を目指すことを目的とした子ども・子育て支援新制度が実施されることとなった。それに伴い、文部科学省が27年2月に都道府県に発出した事務連絡によれば、障害幼児認定こども園等に在籍する障害幼児のうち、市町村から保育の必要性があると認定を受けた障害幼児(以下「保育認定障害幼児」という。)について、従来保育所に在籍する保育認定障害幼児に対しては障害児保育事業として地方交付税等により財源が措置されていることなどを踏まえて、26年度末時点の幼稚園に在籍する幼児に相当する者(幼稚園又は26年度末時点に幼稚園であった施設に27年度以降に入園した者も含む。)に限り、補助の対象とするとされている。そして、27年度以降に新設された幼稚園と保育所が一体化した幼保連携型認定こども園又は26年度末時点に保育所であった施設に在籍する保育認定障害幼児は補助の対象とならないとされている。

本院が、12道県において会計実地検査を行ったところ、3県において、補助対象経費の算定に当たり、補助の対象とならない27年度以降に新設された幼保連携型認定こども園等に在籍する保育認定障害幼児を含めていたり、当該保育認定障害幼児を除くと2人以上の障害幼児が在籍していることとされる補助の要件を満たしていない認定こども園に在籍する障害幼児を含めていたりしたため、国庫補助金計14,984,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、3県において、補助の対象となる障害幼児の要件の確認が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

栃木県は、県内にある障害幼児認定こども園等の数及び障害幼児認定こども園等に在籍する障害幼児の数を平成27年度99校537人、28年度104校596人、29年度99校586人、計302校1,719人として、これらに係る補助対象経費を27年度415,912,000円、28年度462,560,000円、29年度455,504,000円、計1,333,976,000円とする実績報告書を各年度に提出し、27年度207,541,000円、28年度231,248,000円、29年度227,368,000円、計666,157,000円の特別支援教育経費補助金の交付を受けていた。

しかし、同県が補助の対象とした障害幼児の中には補助の対象とならない27年度以降に新設された幼保連携型認定こども園等に在籍する保育認定障害幼児が27年度3人、28年度9人、29年度8人、計20人含まれていた。

したがって、補助の対象とならない保育認定障害幼児を除いて各年度の適正な補助対象経費を算定すると、計1,318,296,000円となり、これに対する特別支援教育経費補助金の交付額を算定すると、計658,091,000円となることから、前記特別支援教育経費補助金の交付額666,157,000円との差額8,066,000円が過大に交付されていた。

以上を部局等別に示すと次のとおりである。

 
部局等
補助事業者
(事業主体)
補助事業
年度
補助対象経費 左に対する国庫補助金交付額 不当と認める補助対象経費 不当と認める国庫補助金
摘要
          千円 千円 千円 千円  
(27)
栃木県
栃木県
私立高等学校等経常費助成費補助
(幼稚園等特別支援教育経費)
27~29 1,333,976 666,157 15,680 8,066 補助の対象とならない保育認定障害幼児を補助対象経費の算定に含めていたもの
(28)
愛知県
愛知県
28、29 1,517,040 758,520 3,920 1,960
(29)
兵庫県
兵庫県
27~29 666,400 333,062 10,192 4,958 補助の対象とならない障害幼児を補助対象経費の算定に含めていたもの
(27)―(29)の計 3,517,416 1,757,739 29,792 14,984