2件 不当と認める国庫補助金 7,947,000円
私立学校施設整備費補助金(私立幼稚園施設整備費)は、幼稚園教育の振興に資することを目的として、幼稚園の危険な状態にある園舎の改築、エコ改修事業等を行う学校法人等に対して、改築等に要する経費の一部を国が補助するものである。
この補助金の交付額は、私立学校施設整備費補助金(私立幼稚園施設整備費)交付要綱(平成11年文部大臣裁定)等によれば、園舎の改築、エコ改修事業等に係る経費を補助対象経費として、これに補助率(原則として3分の1以内)を乗じて算定することなどとされている。
そして、園舎の改築を行う場合の補助対象経費は、補助単価に補助資格面積を乗じて得た額とすることとされている。この補助資格面積は、改築後の建築面積等を用いて算定することとされていて、建築面積は、建物ごとに、壁や建具等により風雨を防ぐことができる部分の床面積の合計とすることとされている。
また、エコ改修事業は、新エネルギー活用型(太陽光発電型、太陽熱利用型等)、省エネルギー・省資源型等の事業に区分されており、このうちの新エネルギー活用型(太陽光発電型)は、屋根等に太陽光パネルを設置し、これにより発電した電力を学校で通常使用する電力に活用するためのシステムの整備を行うものとされている。そして、エコ改修事業は、1園当たり200万円以上の事業を補助対象とし、エコ改修事業を行う場合の補助対象経費は、システムを構成する設備等の本体を設置するための機器設備等工事費、システムを整備するために必要な配線等に係る電気設備工事費等とされている。
本院が、4道県の6学校法人において会計実地検査を行ったところ、2県の2学校法人において、壁や建具等により風雨を防ぐことができない部分の面積を補助資格面積に含めたり、太陽光パネルにより発電した電力を幼稚園で通常使用する電力に活用するためのシステムではなく、発電した電力の全量を電力会社に売電するためのシステムの整備に係る経費を補助対象経費に含めたりするなどしていたため、国庫補助金計7,947,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2学校法人において補助対象経費の算定方法についての理解が十分でなかったこと、2県において実績報告書等に対する審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、部局等別に示すと次のとおりである。
部局等 |
補助事業者 (事業主体) |
補助事業 |
年度 |
補助対象経費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(30) | 愛知県 |
学校法人大杉学園 | 久国幼稚園改築(耐震) | 28 | 164,624 | 58,665 | 18,759 | 6,253 | 補助の対象とならない面積を補助資格面積に含めていたもの(久国幼稚園) |
学校法人大杉学園は、平成28年度に、同法人が設置する久国幼稚園の園舎の改築事業等を実施し、補助対象経費164,624,000円に補助率を乗じて国庫補助金58,665,000円の交付を受けていた。
しかし、同法人は、壁や建具等により風雨を防ぐことができない広場部分等の面積を補助資格面積に含めて補助対象経費を算定していた。
したがって、適正な補助資格面積により算定した補助対象経費145,865,000円に対する国庫補助金は52,412,000円となり、国庫補助金6,253,000円が過大に交付されていた。
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学校法人しらゆり学園は、平成25年度に、同法人が設置するしらゆり幼稚園のエコ改修事業として、太陽光パネル、パワーコンディショナ等により構成されるシステムの整備等を実施し、補助対象経費5,082,000円に補助率を乗じて国庫補助金1,694,000円の交付を受けていた。
しかし、同法人は、上記のシステムを太陽光パネルにより発電した電力を同園で通常使用する電力に活用するためのシステムではなく、発電した電力の全量を電力会社に売電するためのシステムとして整備しており、これに係る経費4,330,000円を含めるなどして補助対象経費を算定していた。
したがって、前記システムの整備に係る経費は補助の対象とは認められず、その他の経費752,000円のみでは補助対象経費の下限額を満たさないことから、補助対象経費5,082,000円は全額が補助の対象とならず、これに係る国庫補助金1,694,000円が過大に交付されていた。
(30)(31)の計 | 169,706 | 60,359 | 23,841 | 7,947 |
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