5件 不当と認める国庫補助金 193,286,000円
私立大学等教育研究活性化設備整備費補助金(以下「補助金」という。)は、我が国の高等教育の活性化や教育の質の向上に資することを目的として、学校法人が設置する私立大学等が大学改革に組織的及び体系的に取り組むのに必要な経費を国が当該学校法人に対して補助するものである。
私立大学等教育研究活性化設備整備費補助金交付要綱(平成24年文部科学大臣決定)等によれば、補助金は、経常費・設備費・施設費を一体として重点的に支援する私立大学等改革総合支援事業(以下「総合支援事業」という。)において、総合支援事業の支援対象校に選定された私立大学等を対象として、大学改革の取組の実施に必要な設備費を予算の範囲内で交付することとされている。
総合支援事業の実施に当たり、文部科学省は、各学校法人が大学改革の取組状況を記載して日本私立学校振興・共済事業団(以下「事業団」という。)に提出した私立大学等改革総合支援事業調査票(以下「総合支援事業調査票」という。)に基づき事業団が算定した点数の報告を受けて、支援対象校を選定している。支援対象校の選定に当たっては、総合支援事業調査票の点数の基準が定められており、その基準となる点数を下回った場合は支援対象校にならず、補助金の交付対象とはならない。また、同省は、平成26、27両年度において、補助金の交付決定額の総額を予算の範囲内に収めるために、補助対象経費に総合支援事業の点数に応じた圧縮率等を乗ずるなどして補助金の交付決定額を算定している。そして、総合支援事業調査票の記載内容に係る各学校法人の取組の実施状況については、支援対象校の選定後に一定数の私立大学等を抽出し、同省又は事業団が現地調査を行うこととしている。
本院が、21学校法人において会計実地検査を行ったところ、5学校法人において、総合支援事業調査票に実態と異なる大学改革の取組状況を記載していたのに、同省は、これらの総合支援事業調査票に基づいて、総合支援事業の支援対象校にならない学校法人を支援対象校に選定するなどしていた。
これらの結果、国庫補助金計193,286,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、5学校法人において総合支援事業の制度の理解が十分でなかったこと、同省において事業団を通じた学校法人に対する指導及び調査が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
学校法人帝京大学は、平成26、27両年度の総合支援事業において、帝京大学に係る総合支援事業調査票の提出に当たり、IRを担当する部署(注)を設置し、専任の教職員を配置する取組については、専門の担当部署を設置して専従する専任教職員を配置している旨を、学生の学修成果を記名式の調査により把握する取組については、全学部等かつ複数の学年について行っている旨を、それぞれ記載していた。そして、同大学が総合支援事業の支援対象校に選定されたことから、26年度に「マシニングセンタとCAD/CAMによる高度自動化レベル機械加工設備の整備」を、27年度に「主体的学修のためのシミュレーションシステム等の整備」を実施して、国庫補助金26年度12,333,000円、27年度152,243,000円、計164,576,000円の交付を受けていた。
しかし、IRを担当する部署を設置し、専任の教職員を配置する取組については、実際に同大学はIR業務に年間を通じて専従する専門の担当部署を設置していなかったり、学生の学修成果を記名式の調査により把握する取組については、一部の学部等において学生に対して記名式の調査を実施していなかったりしていたことから、総合支援事業調査票の点数が過大となっていた。
したがって、適正な総合支援事業調査票の点数を算定すると、選定の基準となる点数を下回り、同大学は総合支援事業の支援対象校にならず、補助金の交付対象とはならないことから、国庫補助金26年度12,333,000円、27年度152,243,000円、計164,576,000円が過大に交付されていた。
以上を事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 |
補助事業者 (事業主体) |
補助事業 |
年度 |
国庫補助金交付額 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 |
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千円 | 千円 | ||||||
(37) | 文部科学本省 | 学校法人明海大学 | eラーニングのための講義収録システム等の整備 | 27 | 17,417 | 2,291 | 総合支援事業において総合支援事業調査票に実態と異なる大学改革の取組状況を記載していたため誤った点数に応じた圧縮率が乗じられていたもの(明海大学) |
(38) | 同 | 学校法人上智学院 | アクティブラーニングのためのプロジェクタ等の整備 | 27 | 18,154 | 4,007 | 同
(上智大学) |
(39) | 同 | 学校法人帝京大学 | 主体的学修のためのシミュレーションシステム等の整備等 | 26、27 | 164,576 | 164,576 | 総合支援事業において総合支援事業調査票に実態と異なる大学改革の取組状況を記載していたため支援対象校にならず補助金の交付対象とならないもの(帝京大学) |
(40) | 同 | 学校法人京都産業大学 | 遠隔講義システムの整備 | 26 | 14,353 | 2,583 | 総合支援事業において総合支援事業調査票に実態と異なる大学改革の取組状況を記載していたため誤った点数に応じた圧縮率が乗じられていたもの(京都産業大学) |
(41) | 同 | 学校法人関西医科大学 | 学生の能動的学修促進のための実習録画システム等の整備 | 25 | 19,829 | 19,829 | 総合支援事業において総合支援事業調査票に実態と異なる大学改革の取組状況を記載していたため支援対象校にならず補助金の交付対象とならないもの(関西医科大学) |
(37)―(41)の計 | 234,329 | 193,286 |