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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
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  • 補助金

(2) 医療施設運営費等補助金(感染症指定医療機関運営事業に係る分)の補助対象事業費が過大に精算されていたもの[千葉県](68)


1件 不当と認める国庫補助金 15,689,000円

医療施設運営費等補助金(感染症指定医療機関運営事業に係る分)(以下「国庫補助金」という。)は、「医療施設運営費等補助金及び中毒情報基盤整備事業費補助金の国庫補助について」(平成23年厚生労働省発医政0331第31号。以下「交付要綱」という。)等に基づき、感染症患者に対する良質かつ適切な医療の提供を図ることを目的として、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)に規定する感染症指定医療機関の運営に要する経費の一部を国が補助するものである。

国庫補助金の交付額は、交付要綱に基づいて算定することとなっており、特定感染症指定医療機関(注1)の運営事業(以下「特定感染症事業」という。)については、1病床当たりの年額に病床数を乗ずるなどして算定した基準額と対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額と、総事業費から診療収入額及び寄付金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額の合計とすることなどとなっている。

(注1)
特定感染症指定医療機関  感染症法に規定する新感染症の所見がある者又はエボラ出血熱等の一類感染症、結核等の二類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者の入院を担当させる医療機関として厚生労働大臣が指定した病院

そして、厚生労働省は、対象経費の実支出額を算定するに当たり、特定感染症事業に係る分と他の事業に係る分とを明確に区分して算出できない場合は、特定感染症事業に必要な面積を病院全体の延べ面積で除した割合を用いるなどして案分計算をすることにしている。

また、交付要綱によれば、補助事業者は事業実績報告書等を都道府県に提出し、提出を受けた都道府県はこれらの内容を審査して取りまとめの上、厚生労働大臣に提出することとされている。

本院が、7府県(注2)の12事業主体において会計実地検査を行ったところ、1県に所在する1事業主体において、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。

(注2)
7府県  京都府、栃木、千葉、新潟、山梨、山口、大分各県
 
部局等
補助事業者
(事業主体)
年度
国庫補助対象事業費 左に対する国庫補助金交付額 不当と認める国庫補助対象事業費 不当と認める国庫補助金交付額
摘要
        千円 千円 千円 千円  
(68)
千葉県
日本赤十字社成田赤十字病院 26~29 61,712 60,961 16,438 15,689 対象経費の実支出額を過大に算定していたもの

日本赤十字社成田赤十字病院(以下「成田赤十字病院」という。)は、平成26年度から29年度までの各年度に実施した特定感染症事業の対象経費の実支出額の算定に当たり、病院全体の清掃業務等に係る委託料等の業務費用について、特定感染症事業に係る分と他の事業に係る分とを明確に区分して算出できないことから、案分計算によることとした。そして、特定感染症事業に必要な面積を感染症外来があるA棟1階と感染症病床があるA棟4階の面積を合わせた延べ面積計7,010.47m2で除した割合を用いて特定感染症事業の対象経費の実支出額を算定していた。しかし、案分計算は、前記のとおり病院全体の延べ面積で除した割合を用いて行うことになっていることから、病院全体の延べ面積計47,475.20m2により適切な補助対象事業費を算定すると、特定感染症事業に必要な面積に同事業に必要な共有施設の面積を含めるなどしたとしても、計16,438,000円過大に精算されていて、これに係る国庫補助金計15,689,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、成田赤十字病院において対象経費についての理解が十分でなかったこと、千葉県において成田赤十字病院から提出された事業実績報告書等の審査及び確認が十分でなかったこと、厚生労働省において同県に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。