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(3) 都道府県労働局における統計調査の実施に当たり、会計法令等に従うなどして会計経理が適正に行われるなどするよう是正改善の処置を求め、及び統計調査の実施に係る予算の執行実績を把握するなどし、その結果に応じて統計調査の適切な実施を確保するための措置について検討するなどした上で、統計調査の実施に必要と認められる経費を予算に適切に見積もる態勢を整えるよう改善の処置を要求したもの


会計名及び科目
一般会計 (組織)厚生労働本省
(項)中小企業最低賃金引上げ支援対策費
(組織)都道府県労働局
(項)都道府県労働局共通費
(項)労働条件確保・改善対策費
(項)男女均等雇用対策費
労働保険特別会計(労災勘定) (項)労働安全衛生対策費
(項)業務取扱費
(雇用勘定) (項)職業紹介事業等実施費
(項)高年齢者等雇用安定・促進費
(項)業務取扱費
(徴収勘定) (項)業務取扱費
部局等
厚生労働本省、47労働局
賃金構造基本統計調査の概要
労働者の雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数等と、賃金との関係を明らかにすることを目的として実施される調査
検査の対象とした47労働局における賃金構造基本統計調査の実施に要した金額
2億3387万余円(平成29、30両年度)
上記のうち賃金構造基本統計調査の実施に要する経費に充てることのできる歳出科目以外の歳出科目から支出するなどしていた金額
3710万円

【是正改善の処置を求め及び改善の処置を要求したものの全文】

賃金構造基本統計調査の実施に係る会計経理等について

(令和元年10月25日付け 厚生労働大臣宛て)

標記について、下記のとおり、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求め、及び同法第36条の規定により改善の処置を要求する。

1 賃金構造基本統計調査の概要等

(1) 賃金構造基本統計調査の概要

貴省は、統計法(平成19年法律第53号)等に基づき、労働者の雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数等と賃金との関係を明らかにすることを目的として、基幹統計調査である賃金構造基本統計調査(以下「賃金センサス」という。)を実施している。

統計法によれば、行政機関の長が基幹統計調査を行おうとするときは、あらかじめ、調査の名称及び目的、調査対象の範囲、報告を求める事項及びその基準となる期日又は期間、報告を求める個人又は法人その他の団体、報告を求めるために用いる方法、報告を求める期間等の必要事項を記載した申請書を総務大臣に提出し、総務大臣の承認を受けなければならないこととされている。厚生労働大臣は、賃金センサスの実施に当たり、申請書を総務大臣に提出して、総務大臣の承認を受けており、当該承認を受けた平成29年及び30年の申請書に添付された調査計画によれば、賃金センサスにおいては、無作為抽出により選定された約8万の事業所(以下「調査対象事業所」という。)から、6月30日現在の事業内容、雇用労働者の雇用形態、就業形態等別の給与額等の状況について、7月1日から同月31日までに報告を求めることとされている。また、調査については、貴省本省、貴省の地方支分部局である都道府県労働局(以下「労働局」という。)及び労働基準監督署(以下「監督署」という。)が実施し、調査の実施方法は、労働局及び監督署の職員並びに調査の事務に従事させるために労働局長が任命する統計調査員が調査対象事業所を訪問して事業主に調査票を配布し、説明して調査票の記入を依頼し、記入済みの調査票を回収する方法(以下「調査員調査」という。)によることとされている。

貴省は、毎年、賃金センサスの結果を取りまとめた報告書を発行しており、29年賃金センサスの結果報告書(30年6月発行)において、賃金センサスは、貴省政策統括官(統計・情報政策担当)(30年7月31日以降は政策統括官(統計・情報政策、政策評価担当)。以下「統計担当政策統括官」という。)の企画の下に、労働局及び監督署の職員並びに統計調査員による実地自計調査(注1)により行ったと報告している。

(注1)
実地自計調査  調査事務に当たる者が、統計調査を行う必要のある場所に実際に赴いて実施される調査

(2) 労働局における賃金センサスの実施に要する経費に係る歳出予算

貴省は、財政法(昭和22年法律第34号)第31条の規定に基づいて、内閣から、国会の議決を経た一般会計に係る歳出予算の配賦を受けており、労働局における賃金センサスの実施に要する経費については、一般会計(組織)都道府県労働局(項)都道府県労働局共通費の(目)統計調査員手当、(目)職員旅費、(目)委員等旅費及び(目)厚生労働統計調査費(以下、これらの歳出科目を「四つの(目)」という。)により歳出予算の配賦を受けている。そして、貴省本省は、労働局における賃金センサスの実施に要する経費を支払うための予算として、47労働局に対して、四つの(目)により歳出予算を示達している。

(3) 労働保険特別会計の管理及び一般会計と特別会計との区分経理

国は、特別会計に関する法律(平成19年法律第23号。以下「特会法」という。)に基づき、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による労働者災害補償保険事業(以下「労災保険事業」という。)及び雇用保険法(昭和49年法律第116号)による雇用保険事業(以下「雇用保険事業」という。)に関する政府の経理を明確にすることを目的として労働保険特別会計(以下「労働特会」という。)を設置して、一般会計と区分して経理している。そして、労働特会は、特会法に基づき、厚生労働大臣が管理することとなっていて、事業主及び雇用保険の被保険者が負担する労働保険料が財源の大部分を占めている。

特会法によれば、労働特会は、労災勘定、雇用勘定及び徴収勘定の三つの勘定に区分され、その歳出は、労災勘定では労災保険事業の保険給付費、社会復帰促進等事業費等と、雇用勘定では雇用保険事業の失業等給付費、雇用安定事業費、能力開発事業費等と、徴収勘定では労働保険料の徴収及び労働保険事務組合に関する事務に係る業務取扱費等となっており、それぞれ限定的に規定されている。

(4) 歳出予算の流用の制度

財政法第23条及び第31条の規定によれば、歳出予算は、支出に関係のある部局等の組織の別に区分し、その部局等内においては、その目的に従って項に区分しなければならないとされ、内閣は、各省各庁の長に対して歳出予算を配賦する場合、項を目に区分しなければならないこととされている。そして、同法第32条の規定によれば、各省各庁の長は、歳出予算を各項に定める目的の外に使用することができないこととされている。また、予算執行の段階においては、予算編成後における事情の変更や予期し得ない事態の発生等によって当初予算のとおりに執行し得ない場合、又は執行することがかえって適切でない場合もあり得ることから、同法第33条第2項において、予算の流用の制度が規定されている。流用は、各「項」内における「目」の金額を相互に移して使用することであり、予算統制の観点から、同項の規定により、財務大臣の承認を経なければならないこととなっている。

(5) 労働局における会計経理

貴省は、「厚生労働省所管会計事務取扱規程」(平成13年厚生労働省訓第23号)を定めて、労働局総務部長に支出負担行為の事務を委任しており、労働局長に歳出金の支出の決定の事務を委任している。そして、労働局総務部長は支出負担行為担当官として、労働局長は官署支出官として、それぞれ貴省本省から示達される一般会計歳出予算及び労働特会歳出予算を財政法、会計法(昭和22年法律第35号)、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)等(以下、これらを合わせて「会計法令等」という。)に定められた手続に従って執行することとなっている。

会計法令等によれば、各省各庁の長は、支出負担行為を支出負担行為担当官に行わせようとするときは、内閣から配賦された歳出予算の範囲内で、当該支出負担行為担当官に歳出予算を示達することとされ、その示達は当該支出負担行為担当官ごとに「目」の区分別に金額等を定めた支出負担行為の計画(以下「支出負担行為計画」という。)によって行うこととされている。

(6) 公表された賃金センサスにおける不適切な事態

31年1月に、統計法に基づく基幹統計調査として貴省が実施している毎月勤労統計調査において、総務大臣の承認を受けた調査計画では調査方法について500人以上規模の事業所については、全数調査によるとしていたところ、一部を抽出調査で行っていたことが明らかになった。このため、国は、統計法に基づき実施している全ての基幹統計調査を対象として、総務大臣の承認を受けた調査計画どおりに実施されているかなどについて一斉に点検を行った。その結果、賃金センサスについては、総務大臣の承認を受けた調査計画では調査員調査により実施するとされていたものの、実際は、労働局がほぼ全ての調査対象事業所について、調査票を郵送で送付して調査対象事業所から記入済みの調査票を郵送で労働局に提出させる方法(以下「郵送調査」という。)により実施されていたことなどが明らかになり、貴省は同月にこれを公表している。

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

上記のとおり、賃金センサスが総務大臣の承認を受けた調査計画と異なる調査方法で実施されていたことなどが明らかになったことから、本院は、合規性等の観点から、労働局における賃金センサスの実施に要する経費に係る予算執行は会計法令等に従って適正に行われているかなどに着眼して、29、30両年度の賃金センサスの実施に当たって47労働局が支出した計233,872,249円(29年度117,806,327円及び30年度116,065,922円)を対象として検査した。

検査に当たっては、貴省本省において、労働局において実施される賃金センサスに係る歳出予算の各目の積算の内訳及び根拠、47労働局に対する歳出予算の示達額の決定方法等について聴取したり、47労働局のうち10労働局(注2)において賃金センサスの実施に係る予算執行の実態について確認したりするなどして会計実地検査を行うとともに、上記の10労働局を含む47労働局について賃金センサスの実施に係る予算執行の実態についての調書等の提出を受けるなどして検査した。

(注2)
10労働局  北海道、群馬、千葉、東京、神奈川、長野、静岡、愛知、広島、福岡各労働局

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1) 47労働局における賃金センサスの実施方法等の状況

賃金センサスの実施に当たり、47労働局の全てが統計調査員を雇用していた。しかし、47労働局全てにおいて、貴省が公表したとおり、賃金センサスをほぼ全ての調査対象事業所について郵送調査により実施していた。そして、47労働局は、統計調査員を労働局に常駐させて、調査員調査ではなく、調査対象事業所から提出された記入済みの調査票の審査や、調査票が未提出となっている調査対象事業所への電話等による督促等の郵送調査に関する業務に従事させていた。

(2) 労働局において実施される賃金センサスに係る歳出予算の積算の状況

貴省本省は、29、30両年度の歳出予算要求額明細書において、労働局において実施される賃金センサスに係る歳出予算について、賃金センサスを統計法に基づき総務大臣の承認を受けた調査計画に基づく調査の方法である調査員調査により実施することとして作成していた。すなわち、貴省本省は、47労働局全てにおいて統計調査員を雇用し、全国325監督署全てに統計調査員を配置し、労働局及び監督署の職員並びに統計調査員が調査員調査により実施することを前提として歳出予算の各目の金額を積算していた。このため、労働局における賃金センサスが実際は郵送調査により実施されているのに、郵送調査を行う場合に必要となる労働局と調査対象事業所との間における調査票等の郵送に係る郵送費が全く積算されていなかった。

(3) 賃金センサスに係る歳出予算の示達等の状況

貴省本省は、47労働局の支出負担行為担当官に対して、労働局において実施される賃金センサスに係る歳出予算として、四つの(目)により、29年度計101,655,000円、30年度計102,923,000円、合計204,578,000円を示達していた。

四つの(目)のうち、(目)統計調査員手当及び(目)厚生労働統計調査費の二つについては、歳出予算の全額が賃金センサスの実施に係るものであることから、これらの示達額の全額は賃金センサスの実施に要する経費に充てることのできる金額である一方、(目)職員旅費及び(目)委員等旅費の二つについては、賃金センサスの実施に要する旅費だけでなく、他の事業に要する旅費も含まれている。このようなことから、統計担当政策統括官は、47労働局に対して事務連絡を発して、四つの(目)の示達額のうち、賃金センサスの実施に要する経費に充てることができる金額を伝達していた。

また、30年度においては、統計担当政策統括官が賃金センサスとは別に行っている労働災害動向調査等の実施に要する経費として労働局分の歳出予算が内閣から貴省に配賦されていたことなどから、統計担当政策統括官は、予算が不足するとして申出があった23労働局に対して、上記四つの(目)の示達に加えて、賃金センサスの実施に要する経費に充てることができる予算として、その歳出科目である労働特会労災勘定(項)業務取扱費の(目)庁費から計1,800,000円を追加で示達する旨を伝達した。そして、統計担当政策統括官から予算の追加の示達の依頼を受け、貴省本省は、支出負担行為計画として、上記の(目)により、当該23労働局に対して同額を示達していた。

(4) 労働局における四つの(目)に係る予算の支出済歳出額の状況

統計担当政策統括官から47労働局に対して伝達された四つの(目)に係る予算の支出済歳出額の状況をみると、労働局が雇用する統計調査員に賃金を支払うための予算である(目)統計調査員手当の支出済歳出額は、(1)のとおり47労働局全てにおいて賃金センサスの実施のために統計調査員を雇用していたことから、29年度は伝達された金額の98.6%に当たる計87,231,557円、30年度は同95.6%に当たる計85,822,872円、両年度で合計173,054,429円となっていた。

一方、47労働局全てにおいて、賃金センサスをほぼ全ての調査対象事業所について郵送調査により行っていたことから、労働局及び監督署の職員の旅費を支払うための予算である(目)職員旅費の支出済歳出額は、29年度は伝達された金額の7.2%に当たる計115,110円、30年度は同8.2%に当たる計127,877円、両年度で合計242,987円にとどまっていた。そして、統計調査員の旅費を支払うための予算である(目)委員等旅費は両年度とも全く支出されておらず、これら二つの(目)の予算はほとんど使用されていない状況となっていた。また、貴省本省、労働局及び監督署の間における調査票の郵送に係る郵送料、調査対象事業所に対する疑義照会、督促に係る電話料、補助業務を行う非常勤職員の賃金等の経費を支払うための予算である(目)厚生労働統計調査費の支出済歳出額は、29年度は伝達された金額の92.1%に当たる計10,515,039円、30年度は同91.4%に当たる計10,463,241円、両年度で合計20,978,280円となっていた(表1参照)。

表1 四つの(目)に係る支出済歳出額の状況

(目)の名称 平成29年度 30年度
伝達された額
(A)
(円)
支出済歳出額
(B)
(円)
(B)/(A)
(%)
伝達された額
(C)
(円)
支出済歳出額
(D)
(円)
(D)/(C)
(%)
伝達された額
(E)=(A)+(C)
(円)
支出済歳出額
(F)=(B)+(D)
(円)
(目)統計調査員手当(注) 88,422,000 87,231,557 98.6 89,710,000 85,822,872 95.6 178,132,000 173,054,429
(目)職員旅費 1,587,000 115,110 7.2 1,555,000 127,877 8.2 3,142,000 242,987
(目)委員等旅費 235,000 0 0.0 222,000 0 0.0 457,000 0
(目)厚生労働統計調査費 11,411,000 10,515,039 92.1 11,436,000 10,463,241 91.4 22,847,000 20,978,280
101,655,000 97,861,706   102,923,000 96,413,990   204,578,000 194,275,696

(注) 平成29年度の支出済歳出額には、後述の(5)のとおり、(目)厚生労働統計調査費から支出することとされている賃金センサスの補助業務を行わせるために雇用した非常勤職員に対する賃金654,115円が含まれている。

(5) 労働局において賃金センサスの実施に要した経費に係る実支出額が示達された歳出予算の額を超えていて、その超過額を目的が異なる歳出科目から支出していた事態

47労働局において賃金センサスの実施に要した経費に係る実際に支出された額(以下「実支出額」という。)についてみたところ、(目)厚生労働統計調査費の予算から支出することとされている郵送料、電話料、補助業務を行う非常勤職員の賃金等に係る実支出額は、表2のとおり29、30両年度の合計が60,093,378円となっており、前記の(目)厚生労働統計調査費の支出済歳出額に係る両年度の合計20,978,280円を大きく上回っていた。

表2 (目)厚生労働統計調査費の予算から支出することとされている郵送料等に係る実支出額の内訳

(単位:円)
内訳
平成29年度 30年度
労働局と調査対象事業所との間の調査票の送付、督促等の郵送料 26,120,318 26,147,131 52,267,449
調査対象事業所に対する疑義照会、督促等の電話料(電話回線設置のための工事費を含む。) 1,701,705 1,820,506 3,522,211
非常勤職員の賃金等 2,813,761 1,489,957 4,303,718
30,635,784 29,457,594 60,093,378

このような状況になっているのは、(1)のとおり実際の賃金センサスの実施方法が調査員調査ではなく郵送調査となっていたため、想定されていなかった労働局と調査対象事業所との間における調査票等の郵送料が生じていたことによると認められる。

そして、47労働局は、貴省本省から(目)厚生労働統計調査費として示達された歳出予算の金額(47労働局で29年度計11,411,000円、30年度計11,436,000円、合計22,847,000円)では郵送料等に係る実支出額を賄えないことなどから、表3のとおり、一般会計と区分経理されている労働特会の歳出科目から支出したり、賃金センサス以外の他の業務を実施するために貴省本省から示達された一般会計の歳出科目である(組織)厚生労働本省(項)中小企業最低賃金引上げ支援対策費等から支出したりしていた。また、1労働局は、賃金センサスの補助業務を行わせるために雇用した非常勤職員に対する賃金(29年度654,115円)を(項)都道府県労働局共通費(目)厚生労働統計調査費ではなく、(目)統計調査員手当から支出していた。そして、これらの目的が異なる歳出科目から支出されていた金額は、47労働局合計で29年度計18,726,146円、30年度計18,378,878円、合計37,105,024円に上っていた。

表3 賃金センサスの実施に要した経費に係る実支出額が示達された歳出予算の額を超えていて、その超過額を目的が異なる歳出科目から支出していた事態の内訳

平成29年度
態様 会計(勘定名) 組織 支出額(円) 労働局数
一般会計と区分経理されている労働特会の歳出科目から支出したり、賃金センサス以外の他の業務を実施するために貴省本省から示達された一般会計の歳出科目から支出したりしていたもの 労働保険特別会計
(労災勘定)
労働安全衛生対策費 庁費 495,458 3
業務取扱費 庁費 9,481,944 30
労働保険特別会計
(雇用勘定)
高年齢者等雇用安定・促進費 庁費 365,307 1
業務取扱費 庁費 1,180,904 7
労働保険特別会計
(徴収勘定)
業務取扱費 庁費 3,213,226 19
一般会計 厚生労働本省 中小企業最低賃金引上げ支援対策費 庁費 1,504,003 6
都道府県労働局 労働条件確保・改善対策費 庁費 1,766,142 16
男女均等雇用対策費 庁費 65,047 5
18,072,031 47
(項)都道府県労働局共通費(目)厚生労働統計調査費の予算から支出することとされている経費を同項の別の(目)である統計調査員手当から支出していたもの 一般会計 都道府県労働局 都道府県労働局共通費 統計調査員手当 654,115 1
654,115 1
合計 18,726,146 47
平成30年度
態様 会計(勘定名) 組織 支出額(円) 労働局数
一般会計と区分経理されている労働特会の歳出科目から支出したり、賃金センサス以外の他の業務を実施するために貴省本省から示達された一般会計の歳出科目から支出したりしていたもの 労働保険特別会計
(労災勘定)
労働安全衛生対策費 庁費 353,894 3
業務取扱費 庁費 10,092,188 34
労働保険特別会計
(雇用勘定)
職業紹介事業等実施費 庁費 1,820 1
業務取扱費 庁費 1,288,730 8
労働保険特別会計
(徴収勘定)
業務取扱費 庁費 3,463,539 18
一般会計 厚生労働本省 中小企業最低賃金引上げ支援対策費 庁費 1,316,506 7
都道府県労働局 労働条件確保・改善対策費 庁費 1,825,071 18
男女均等雇用対策費 庁費 37,130 2
18,378,878 47

しかし、前記の目的が異なる歳出科目から支出されていた金額計37,105,024円のうち、一般会計と区分経理されている労働特会の歳出科目から支出したり、賃金センサス以外の他の業務を実施するために示達された一般会計の歳出科目である(組織)厚生労働本省(項)中小企業最低賃金引上げ支援対策費等から支出したりしていた事態(29年度18,072,031円、30年度18,378,878円、計36,450,909円)については、一般会計と区分して経理を行うために特別会計を設置することとしている特会法の目的に反し、又は、歳出予算は各項に定める目的の外に使用することができないとされている財政法第32条の規定に違反しており、適切とは認められない。また、1労働局において(項)都道府県労働局共通費(目)厚生労働統計調査費が支出されることとなる経費について、同項の別の(目)である(目)統計調査員手当から支出していた事態(29年度654,115円)については、同法第33条第2項に定める「目」の間の流用に係る財務大臣の承認を受けておらず、適切とは認められない。

上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

東京労働局は、平成29、30両年度の賃金センサス(調査対象事業所は29年度5,229事業所、30年度5,311事業所)の実施に当たり、(項)都道府県労働局共通費(目)厚生労働統計調査費として貴省本省から29年度662,000円、30年度635,000円の歳出予算の示達等を受けていた。そして、東京労働局では、調査票記入要領、調査票、返信用封筒等を封入した郵便物を調査対象事業所宛てに郵送して、調査対象事業所に対し、調査票を記入して記入済みの調査票を同封の返信用封筒にて東京労働局宛てに提出するよう依頼した。そして、東京労働局職員及び賃金センサスのために雇用した統計調査員が、調査対象事業所から提出された記入済みの調査票の審査や調査票未提出事業所への督促の業務を電話により実施するなどしていた。このため、東京労働局では、29、30両年度の賃金センサスに係る経費の実支出額が、郵送料1,935,826円及び1,794,465円、電話料275,214円及び271,442円、その他の費用473,821円及び31,932円、計2,684,861円及び2,097,839円となっていて、上記の東京労働局が示達等を受けた歳出予算の額を上回り、2,022,861円及び1,462,839円が不足している状況となっていた。

そして、東京労働局では、上記の不足する予算に充てるために、29年度は一般会計(組織)都道府県労働局(項)労働条件確保・改善対策費(目)庁費から275,214円及び労働特会労災勘定(項)業務取扱費(目)庁費から1,935,826円の計2,211,040円を支出し、また、30年度は一般会計(組織)都道府県労働局(項)労働条件確保・改善対策費(目)庁費から271,442円及び労働特会労災勘定(項)業務取扱費(目)庁費等から計1,794,465円の計2,065,907円を支出しており、両年度で合計4,276,947円を賃金センサスの実施のための歳出科目以外の科目から支出していた。

上記のほか、23労働局においては、賃金センサスの実施に要した郵送料が他の業務の実施に要した郵送料と合わせて支出されており、また、36労働局においては、賃金センサスの実施に要した電話料が他の業務の実施に要した電話料と合わせて支出されていた。このように、賃金センサスの実施に要した郵送料又は電話料が明確に区分されていなかったため、これらの労働局において、賃金センサスの実施に要した郵送料及び電話料の実支出額を特定することができない状況となっていた。

そして、これらの実支出額を特定することができなかった郵送料及び電話料は、一般会計と区分経理されている労働特会の歳出科目である労災勘定(項)業務取扱費(目)庁費等から支出されていた。

(是正改善及び改善を必要とする事態)

労働局において、賃金センサスの実施に要する経費を、貴省本省から示達されるなどした一般会計の歳出科目ではなく、一般会計と区分経理されている労働特会の歳出科目から支出したり、賃金センサス以外の他の業務を実施するために貴省本省から示達された一般会計の歳出科目から支出したりなどしている事態は適切ではなく、是正改善及び改善を図る要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、貴省において、次のことなどによると認められる。

  • ア 貴省本省及び労働局において、賃金センサスの実施に要する経費の予算執行に当たり、一般会計で負担する経費と労働特会で負担する経費を区分して経理すること、予算に定める「項」の目的に従って会計経理を行うこと、必要な手続をとって「項」内の「目」間で流用することなど、会計法令等を遵守して適正に執行すべきであることについての認識が欠けていること
  • イ 貴省本省において、労働局における賃金センサスの実施に係る予算の執行実績を適切に把握し、当該予算の積算との間にかい離が生じていないかなどについて検証していないこと

3 本院が求める是正改善の処置及び要求する改善の処置

賃金センサスは、労働者の雇用形態等別の賃金の実態を明らかにするための基幹統計調査として、引き続き、実施されることとなっている。また、貴省は、労働局において、賃金センサス以外の統計調査も実施しており、これらの統計調査も含めて、その実施に要する経費を支出するに当たっては会計法令等に従うなどして適切に実施する必要がある。

ついては、貴省において、労働局における統計調査の実施に当たり、統計調査の適切な実施の確保が図られるとともに、会計法令等に従うなどして会計経理が適正に行われるよう、次のとおり、是正改善の処置を求め及び改善の処置を要求する。

  • ア 貴省本省及び労働局において、統計調査の実施に係る予算の示達や会計経理が会計法令等に従うなどして適正に行われるよう、研修等により関係職員に対して会計法令等の遵守を周知徹底すること(会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めるもの)
  • イ 貴省本省において、労働局における統計調査の実施に係る予算の執行実績を把握して当該予算の積算との間にかい離が生じていないかなどについて検証し、かい離が生じている場合はその原因を分析し、その結果に応じて統計調査の適切な実施を確保するための措置について検討するなどした上で、統計調査の実施に必要と認められる経費を予算に適切に見積もる態勢を整えること(同法第36条の規定により改善の処置を要求するもの)