【意見を表示したものの全文】
国民健康保険団体連合会におけるコンピュータチェックを活用したレセプト審査の実施について
(平成31年3月19日付け 厚生労働大臣宛て)
標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり意見を表示する。
記
貴省は、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)、健康保険法(大正11年法律第70号)等に基づく医療保険制度及び高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号。以下「高齢者医療確保法」という。)に基づく後期高齢者医療制度を所管している。このうち、国民健康保険法及び高齢者医療確保法に基づく医療保険制度等においては、市町村(特別区を含む。以下同じ。)及び国民健康保険組合(以下、市町村と合わせて「国保保険者」という。)又は後期高齢者医療広域連合(以下、国保保険者と合わせて「国保保険者等」という。)が、被保険者に対して療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費等(以下、これらを合わせて「療養の給付等」という。)の保険給付(後期高齢者医療給付を含む。以下同じ。)を行っている。
そして、貴省は、療養の給付等の保険給付に要した費用等について、国保保険者に対して療養給付費負担金等を交付するとともに、後期高齢者医療広域連合に対して後期高齢者医療給付費負担金等を交付している(以下、療養給付費負担金等と後期高齢者医療給付費負担金等を合わせて「国庫負担金等」という。)。
また、貴省は、国民健康保険法及び高齢者医療確保法に基づき、国民健康保険事業及び後期高齢者医療制度等の運営が健全に行われるよう必要な措置を講ずることとなっている。
療養の給付等の保険給付においては、被保険者が保険医療機関(以下「医療機関」という。)で診察、治療等の診療を受けた場合に、当該医療機関は、貴省が定める「診療報酬の算定方法」(平成20年厚生労働省告示第59号)等(以下「算定基準等」という。)により診療報酬の額を算定し、診療報酬のうち、患者負担分を患者に請求して、残りの診療報酬(以下「医療費」という。)については、国保保険者等に請求することとなっている。
国民健康保険法及び高齢者医療確保法によれば、医療費の請求を受けた国保保険者等は、算定基準等に照らして医療費の額を審査した上で支払うこととされている。そして、当該審査及び支払に係る事務については、国民健康保険法に基づき、国保保険者に共通する事務を一元的に処理する事業等を行うことを目的として設立された国民健康保険団体連合会(以下「国保連合会」という。)に委託することができることとされており、国保保険者等が国保連合会に委託した場合の審査及び支払の手続は、次のとおりとなっている。
① 医療機関は、診療報酬請求書に1か月分の診療行為を集約した診療報酬明細書(以下「レセプト」という。)を添付して、これらを医療機関が診療を行った日の属する月の翌月の10日までに国保連合会に送付する。
② 国保連合会は、レセプトの内容の審査(以下「レセプト審査」という。)を行った後、医療機関ごと、国保保険者等ごとの請求額を算定して、その後、請求額を記載した書類、診療報酬請求書及びレセプトを医療機関が診療を行った日の属する月の翌月末日までに各国保保険者等に送付する。
③ 請求を受けた国保保険者等は、金額等を確認した上で、国保連合会を通じて、医療機関が診療を行った日の属する月の翌々月末までに医療機関に医療費を支払う。
貴省は、医療保険事務の効率化等を推進するために、平成21年11月以降、医療費の請求を原則としてオンライン又は電子媒体により行うこととしている。そして、医療機関は、「診療報酬請求書等の記載要領等について」(昭和51年保険発第82号)等(以下「記載要領等」という。)に基づき、国保連合会に対して、傷病名コード、診療行為コード、コメントコード等(以下「傷病名コード等」という。)を用いてレセプト情報を電子的に記録したもの(以下「電子レセプト」という。)を送信し、又は提出して医療費の請求を行うこととなっている。
都道府県知事は、国民健康保険法に基づき、国保連合会の指導等を行うこととなっており、各国保連合会には、レセプト審査を行うために、都道府県知事から委嘱された医師等の審査委員で構成される国民健康保険診療報酬審査委員会及び後期高齢者医療診療報酬審査委員会(以下、これらを合わせて「審査委員会」という。)を置くこととなっている。
そして、電子レセプトの処理のために、全ての国保連合会を会員とする公益社団法人国民健康保険中央会(以下「国保中央会」という。)が国保総合システムを開発して国保連合会に提供することにより、国保保険者等や国保連合会の業務を支援している。
国保総合システムには、電子レセプトの内容についてコンピュータを利用したチェック(以下「コンピュータチェック」という。)を行うことができる機能があり、コンピュータチェックは、算定基準等に照らして診療行為が適切であるかについてチェックするための各種の項目(以下「チェック項目」という。)に基づき行われている。チェック項目には、医学的判断を要しない内容に係るものと医学的判断を要する内容に係るものとがあり、それぞれ電子レセプトに入力された診療行為が算定基準等に適合していないおそれがあるなどの場合、当該チェック項目に電子的な付箋(以下「電子付箋」という。)が付されることになる。
国保総合システムのコンピュータチェックを活用して行われるレセプト審査の流れは、次のとおりとなっている(図参照)。
① 医療機関から国保連合会に送付された電子レセプトについて、同システムにより自動的にコンピュータチェックが行われる。
② 国保連合会の職員は、随時、入力誤り、入力不備等の事務的な点検を行うとともに、審査委員会による審査のために、電子付箋が付されたチェック項目について、算定されている診療行為が傷病名に対応していないのではないかなどの疑義内容を補足するなどした電子的な付箋(以下「疑義付箋」という。)を付したり、医学的判断を要しない内容について算定基準等に適合していると認められる場合には電子付箋を外したりなどする作業や、電子付箋が付されていないチェック項目について目視で確認して必要に応じて疑義付箋を付す作業を行う(以下、これらの点検や作業を「事務点検等」という。)。
③ 審査委員会は、医学的判断を要する内容を中心に疑義付箋等の内容についてレセプト審査を行い、審査委員会による審査の結果、誤りがある場合には、請求額の減額等(以下「査定」という。)を行う。
図 コンピュータチェックを活用したレセプト審査の流れ
そして、電子付箋や疑義付箋が付されていない場合に審査委員会が審査することは困難であるため、レセプト審査に当たっては、コンピュータチェック及び事務点検等が適切かつ効率的、効果的に実施されることが重要となっている。
貴省は、医療費の適正な審査と迅速な支払を行うことなどを目的として、国保連合会及び国保中央会に対して、毎年度、国民健康保険法に基づき国民健康保険団体連合会等補助金を交付しており、29年度は、47国保連合会に対して審査の充実改善に係る経費等を対象に計4億2354万余円を、国保中央会に対してレセプト電算処理システム推進事業として国保総合システムの運用に係る経費等を対象に5億2738万円をそれぞれ交付している。
(検査の観点、着眼点、対象及び方法)
我が国の国民医療費は高齢化の進行等に伴ってほぼ毎年増大しており、高齢の被保険者の割合が高い国保保険者等に交付する国庫負担金等は、今後も多額に上ることが予想される。このような状況の中、国民の高齢期における適切な医療の確保を図る観点からも医療費の支払の適正化を図る必要がある。
そして、そのためには、コンピュータチェックを活用して、レセプト審査を適切かつ効率的、効果的に実施することが重要となっている。
そこで、本院は、合規性、効率性、有効性等の観点から、国保連合会においてコンピュータチェックを活用したレセプト審査が適切かつ効率的、効果的に実施されているかなどに着眼して、貴省本省、25都道府県(注1)、25国保連合会及び国保中央会において会計実地検査を行った。検査に当たっては、25都道府県に所在する1,184国保保険者等が30年4月に国保連合会に審査を委託した電子レセプト34,117,870件に係る診療報酬の額計1兆2734億0572万余円(国庫負担金等相当額計3437億2957万余円)を対象として、上記の25国保連合会におけるレセプト審査の実施状況等を確認するなどして検査するなどした。
(検査の結果)
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
国保中央会は、医学的判断を要しない内容についてコンピュータチェックを行うために、30年4月の審査時点で5,136項目を国保総合システムにおいて提供しているが、どのチェック項目を採用してコンピュータチェックを行うかは各国保連合会が決定することになっている。
一方、25国保連合会は、29年度に、年間471万件から1億1476万件のレセプトを受け付けており、レセプト1件当たりの事務点検等に費やすことのできる時間は限られているため、コンピュータチェックを十分に活用して、レセプト審査を適切かつ効率的、効果的に実施することが不可欠となっている。
そこで、25国保連合会における前記5,136項目の採用状況をみたところ、各国保連合会における採用数は、1,920項目(5,136項目の37.3%)から4,741項目(同92.3%)、平均3,940項目(同76.7%)となっていて、全てのチェック項目を採用している国保連合会はなかった。
そして、前記の5,136項目について、30年4月の審査時点において、チェック項目ごとに、採用している国保連合会の数と、電子付箋が付された件数に対する査定された件数の割合(以下「査定割合」という。)との関係をみると、25国保連合会のうち2割以下の国保連合会のみが採用しているチェック項目は289項目あり、その査定割合の平均は8.7%となっているのに対して、8割を超える国保連合会が採用しているチェック項目は3,079項目あり、その査定割合の平均は80.1%となっているなど、多くの国保連合会が採用しているチェック項目の査定割合が高い状況となっていた。
一方、算定基準等の内容をチェックするために5,136項目が提供されているにもかかわらず、25国保連合会の全てが採用しているチェック項目は770項目(5,136項目の14.9%)にとどまっており、残りの4,366項目(同85.0%)については、採用していない国保連合会があるなど、国保総合システムによるコンピュータチェックが統一的に行われておらず、提供されたチェック項目がレセプト審査に十分に活用されていない状況となっていた。
前記のとおり、各国保連合会が任意にチェック項目の採否を決定しており、5,136項目のうち4,366項目(85.0%)については採用していない国保連合会がある状況になっていた。しかし、貴省は、これまで、国保中央会における国保総合システムのチェック項目の設定状況等及び国保連合会におけるチェック項目の採用状況について把握しておらず、各国保連合会がどのチェック項目を採用すべきかについても関与していないとしている。
そこで、チェック項目の採否はどのように決定されているか、及び採用されなかったチェック項目に係るレセプト審査において査定される可能性があるのにその機会を逸していないかを確認するために、50項目を選定(注2)して(以下、国保連合会ごとの各チェック項目を「項目単位」という。)、これらに係る25国保連合会における30年4月のレセプト審査の実施状況等をみたところ、25国保連合会全体の1,250項目単位のうち、採用されているチェック項目は562項目単位となっていた。そして、審査の対象となった34,117,870件の電子レセプトについて、コンピュータチェックにより電子付箋が付された計22,372件のうち計8,494件が査定されていた(査定割合37.9%)。
一方、上記1,250項目単位のうち国保総合システムによるコンピュータチェックを行っていない688項目単位について、採用していない理由及び当該チェック項目について査定される可能性があるにもかかわらず疑義付箋が付されていない電子レセプト(以下「疑義付箋漏れレセプト」という。)の発生状況を国保連合会に確認したところ、次のとおりとなっていた。
24国保連合会 266項目単位
24国保連合会は、266項目単位について、チェック項目の内容が類似している他のチェック項目(以下「類似項目」という。)に当該チェック項目の内容が包含されているとしたり、医療機関が医療費の請求内容を誤ることは想定していないとしたりするなどして、当該チェック項目のコンピュータチェックを省略していた。
しかし、上記266項目単位の中には類似項目が当該チェック項目の内容を完全には包含していないものや医療機関が医療費の請求内容を誤っているものが見受けられるなどした。
そして、疑義付箋漏れレセプトの有無を24国保連合会に確認したところ、15国保連合会において、58項目単位について、疑義付箋漏れレセプトが発生していた。
上記について、事例を示すと次のとおりである。
<事例1>
算定基準等によれば、薬剤管理指導料1は、抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤等の特に安全管理が必要な医薬品が投薬等されている患者に対して、薬学的管理指導を行った場合に算定することができるとされている。
項目Aは、対象薬剤が入力されていないにもかかわらず同指導料が算定されている場合に電子付箋が付されることになっている。
しかし、7国保連合会は、医療機関が対象薬剤を入力しなかったり、対象とならない薬剤を入力したりして同指導料を算定するような誤りをすることは想定していないなどとして、項目Aのコンピュータチェックを省略していた。
そして、このうち3国保連合会においては、疑義付箋漏れレセプトが発生していた。
19国保連合会 127項目単位
19国保連合会は、127項目単位について、次のような電子レセプトの入力方法に起因する事情により、効率的、効果的にレセプト審査を実施することができないなどとして、当該チェック項目のコンピュータチェックを省略していた。
記載要領等によれば、電子レセプトには、手術や検査等の診療行為、点数等の必ず入力することとされている基本的事項のほかに、退院日、患者に対する指導等を行った理由等の医療費を請求する根拠となる情報(以下「根拠情報」という。)を摘要欄に入力することとされている。しかし、根拠情報は必ず入力する情報とはされていないため、医療機関が根拠情報を摘要欄に入力しない場合には、電子付箋が付されても査定すべきか否かの判断をすることが困難となっている。
記載要領等によれば、①傷病名等がコード化されている場合は、原則として、傷病名コード等を用いること、②診療行為や根拠情報等のコメントは摘要欄に入力することとされている。しかし、診断した傷病に対する傷病名コードが定められているにもかかわらず、医療機関が傷病名コードにない名称を用いて病名や症状を入力したり、根拠情報を摘要欄以外の箇所に入力したりした場合や、コード化されていない医療機関ごとに入力される多種多様な情報についてチェック項目が対応していない場合は、コンピュータチェックにおいて入力された情報の意義を正しく判別できず、査定につながらないと見込まれる電子付箋が大量に付されることになる。
貴省は、電子レセプトに傷病名を入力する場合に、定められた傷病名コードにない名称が使われていることが多い状況にあったことから、「傷病名コードの統一の推進について」(平成22年3月厚生労働省保険局事務連絡)等において、原則として傷病名コードに記載されたものを用いるよう関係者に周知を図っているものの、依然として傷病名コードを用いないものが見受けられている。
そして、前記の127項目単位について、疑義付箋漏れレセプトの有無を19国保連合会に確認したところ、18国保連合会において、82項目単位について、疑義付箋漏れレセプトが発生していた。
上記について、事例を示すと次のとおりである。
<事例2>
算定基準等によれば、造影剤使用加算は、画像診断の一種であるMRI撮影を行う際に造影剤を使用した場合に算定することができるが、脳血管に対する造影の場合には算定することができないとされている。
項目Bは、電子レセプトの摘要欄等に「頭」「脳」等の文字列が入力されている場合に電子付箋が付されることになっており、電子付箋に基づいて、その後、国保連合会の職員や審査委員が目視で脳血管に対する造影であるかを判断することになっている。
しかし、電子レセプトに入力されている「頭」や「脳」といった文字に逐一反応して大量の電子付箋が付される結果となること、また、記載要領等においては、撮影部位として「脳」と入力した場合でも脳血管に対する造影であるか脳の他の器官に対する造影であるかの情報は必ず入力することとされていないため、電子付箋が付されても電子レセプトの情報だけでは脳血管の造影であるとして査定すべきかの判断が難しいことなどを理由として、8国保連合会は項目Bのコンピュータチェックを省略していた。
そして、このうち4国保連合会においては、疑義付箋漏れレセプトが発生していた。
16国保連合会 170項目単位
16国保連合会は、170項目単位について、コンピュータチェックを国保総合システムではなく、独自に導入したシステム(以下「独自システム」という。)により行っていた。
国保総合システムではなく独自システムによりコンピュータチェックを行っている理由について、16国保連合会に確認したところ、国保総合システムの一部のチェック項目については、査定につながらないと見込まれる大量の電子付箋が付されるものとなっており、これを回避するため、診療行為に対応する多種多様な傷病名等を独自システムに登録することにしているなどとしていた。
このように、国保総合システムの一部のチェック項目については、チェック項目の内容の精緻化が十分に図られていないと認められる。
上記について、事例を示すと次のとおりである。
<事例3>
算定基準等によれば、血液化学検査のヒアルロン酸は、慢性肝炎の患者に対して、慢性肝炎の経過観察等を行う場合に算定することができるとされている。
国保総合システムにおいて提供されている項目Cは、国保中央会により慢性肝炎として登録された確定病名が傷病名欄に入力されていない場合に電子付箋が付されることになっている。
しかし、慢性肝炎の原因や症状は多種多様であることから、医療機関は確定病名ではなく原因や症状を入力する場合があるため、コンピュータチェックを行うと、ヒアルロン酸を算定することのできる慢性肝炎であっても、項目Cに登録された確定病名が入力されていない場合、電子付箋が付されてしまうことになる。このため、11国保連合会は、地域内の医療機関による入力の傾向等を考慮して、項目Cに登録された確定病名のほかに、慢性肝炎の多種多様な症状等を登録するなどした独自システムによりコンピュータチェックを行っていた。
24国保連合会 125項目単位
24国保連合会は、125項目単位について、そもそも当該チェック項目に係る疑義を提示しない取扱いとしていた。
このような取扱いとしている理由について、24国保連合会に確認したところ、当該国保連合会の算定基準等の解釈に比べて当該チェック項目の内容が過度に限定的であると判断した場合に、それぞれの国保連合会の解釈を優先して、レセプト審査において審査委員会に疑義を提示しない取扱いとしているなどとしていた。
しかし、医療費は、前記のとおり、国民健康保険法及び高齢者医療確保法により、算定基準等に照らして審査した上で支払うこととされているものであることから、国保連合会の算定基準等の解釈と合致していないと判断したチェック項目について当該国保連合会の独自の審査方針として疑義を提示しない取扱いとしている事態は適切とは認められない。
上記について、事例を示すと次のとおりである。
<事例4>
算定基準等によれば、外来迅速検体検査加算は、当日当該医療機関で行われた検体検査について、当日中に結果を説明した上で文書により情報を提供し、結果に基づく診療が行われた場合に、検体検査実施料の各項目の所定点数に加算するとされている。
項目Dは、結果に基づく診療が検査当日に行われている場合には、再診料等が同一日に算定されることから、再診料等が算定されていないのに加算している場合に電子付箋が付されることになっている。
しかし、11国保連合会は、同加算の要件は検査当日中に文書により情報を提供していることのみであるとして、診療は後日に行われた場合であってもよいと解釈したり、算定基準等における初・再診料の取扱いに照らし再診料等が算定されていない場合でも診療を行っている可能性を否定できないと解釈したりして、当該チェック項目については一律に疑義を提示しない取扱いとしていて、項目Dのコンピュータチェックを省略していた。
25国保連合会における50項目のレセプト審査の実施状況を示すと、表のとおりとなっている。
表 25国保連合会における50項目のレセプト審査の実施状況
区分 | 採用されているチェック項目 | 採用されていないチェック項目 | 計 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
ア 国保連合会の誤認等によるもの |
イ 電子レセプトの入力方法に起因する事情によるもの |
ウ チェック項目の内容に起因する事情によるもの |
エ 国保連合会の独自の審査方針によるもの |
||||
(24国保連合会) | (19国保連合会) | (16国保連合会) | (24国保連合会) | ||||
項目単位数 | 562 | 688 | 266 | 127 | 170 | 125 | 1,250 |
(改善を必要とする事態)
国保連合会の誤認等や電子レセプトの入力方法及びチェック項目の内容に起因する事情によりコンピュータチェックが省略されていて、査定される可能性がある電子レセプトについて十分なレセプト審査が実施されていないこと、独自の審査方針により特定のチェック項目について疑義を提示しない取扱いとしていることなどにより、国保総合システムにおけるコンピュータチェックを活用したレセプト審査が適切かつ効率的、効果的に実施されていない事態は適切ではなく、改善の要があると認められる。
(発生原因)
このような事態が生じているのは、貴省において、次のことなどによると認められる。
国民健康保険事業及び後期高齢者医療制度は我が国の医療保障制度において根幹的な役割を果たしており、毎年度、国保保険者等に多額の国庫負担金等が交付されている。また、国保保険者等から委託を受けて国保連合会が行うレセプト審査は、医療費の支払の適正化を図り、医療保険制度等の適正な運営を担保し、制度を持続可能なものとして維持する上で、重要な機能を担っている。
ついては、貴省において、国保総合システムのコンピュータチェックを十分に活用したレセプト審査が適切かつ効率的、効果的に実施されることにより、医療費の支払の適正化が図られるよう、次のとおり意見を表示する。