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  • 平成30年度|
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  • (1) 補助金の交付額の算定が適切でなかったなどのもの

経営体育成支援事業(被災農業者向け経営体育成支援事業)の実施に当たり、補助金の算定が適切でなかったもの[2農政局](140)―(143)


(4件 不当と認める国庫補助金  7,966,784円)

 
部局等
補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等
年度
事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(140)
関東農政局
栃木県
大田原市
(事業主体)
経営体育成支援(被災農業者向け経営体育成支援)
26、27 121,929 76,052 2,271 1,419
(141)
埼玉県
比企郡滑川町
(事業主体)
26、27 260,933 143,426 8,205 4,433
(142)
千葉県
君津市
(事業主体)
26 209,287 112,912 1,995 1,108
(143)
九州農政局
鹿児島県
鹿屋市
(事業主体)
28、29 140,329 86,852 1,339 1,004
(140)―(143)の計 732,479 419,243 13,812 7,966

これらの補助事業は、4事業主体が、平成25年度の大雪又は28年の台風第16号により被災した農産物の生産に必要な施設(以下「生産施設」という。)等の復旧等を実施した農業者等に対して、これに要する経費の一部を助成したものである。

経営体育成支援事業実施要綱(平成23年22経営第7296号農林水産事務次官依命通知)等によれば、市町村は、気象災害等による農業被害を受けた農業者等を助成対象者とし、これらの者が行う生産施設の復旧、気象災害等による被災前の当該生産施設と同程度の生産施設の取得、被災した生産施設の撤去等に要する経費を対象として助成を行うことができる(以下、助成の対象となる経費を「助成対象経費」という。)こととされている。そして、被災前と同程度の生産施設とは、被災前と同種、同規模、同機能のものとされており、生産施設の機能強化や規模拡大を行うなど、被災前と同程度を超えて再建する場合には、その超える部分を自己負担すれば実施可能であるとされている。また、被災した生産施設の規模を縮小して再建する場合には、被災した生産施設と同種、同機能のものを縮小した規模で再建するのに要する経費を助成対象経費とすることとされている。

4事業主体は、本件補助事業について、助成対象者202者に対する助成として計732,479,946円を交付し、4県に実績報告書を提出して、国庫補助金計419,243,724円の交付を受けていた。

しかし、4事業主体の4者に対する助成(助成額計106,875,379円)について検査したところ、3事業主体(大田原市、滑川町及び鹿屋市)は、3者に対する助成(同計99,702,946円)について、被災した生産施設の面積(以下「被災面積」という。)の算定を誤って撤去及び再建に係る助成の対象となる面積(以下「助成対象面積」という。)を過大に認定していたり、1事業主体(君津市)は、1者に対する助成(同7,172,433円)について、助成対象者が生産施設の規模を縮小して再建していたにもかかわらず、これを考慮せずに被災前と同程度の生産施設を再建するのに要する経費を助成対象経費としていたりしていて、助成対象経費が過大に算定されていた。

したがって、上記の4者に対する助成について、適正な助成対象面積や縮小した規模で再建するのに要する経費に基づいて適正な助成対象経費を算定した上で、適正な助成額を算定すると計93,063,363円となり、上記の助成額計106,875,379円との差額13,812,016円が過大に交付されており、これに係る国庫補助金相当額計7,966,784円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、4事業主体において本件助成に対する審査及び確認並びに助成対象者に対する指導が十分でなかったこと、4県において4事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

滑川町は、平成26、27両年度に、助成対象者15者に対する助成として計260,933,814円を交付し、国庫補助金計143,426,617円の交付を受けていた。

このうち1者に対する助成は、助成対象者が、被災した鶏舎を撤去して新たな鶏舎を再建したものであり、同町は、助成対象者が作成した被災した鶏舎の図面を基に被災面積を1,837.1m2と算定し、これを撤去に係る助成対象面積と認定していた。また、助成対象者が再建した新たな鶏舎の面積1,415m2が、被災面積よりも小さいとして、これを再建に係る助成対象面積と認定していた。そして、鶏舎の撤去及び再建に要した費用99,723,286円を助成対象経費として助成額90,538,286円を助成対象者に交付していた。

しかし、被災面積1,837.1m2の中には並列した鶏舎の間のスペースで鶏舎の面積には含まれない面積524.1m2が含まれていたことから、適正な被災面積は1,313.0m2となり、撤去及び再建に係る助成対象面積は、いずれも1,313.0m2となる。

したがって、これにより算定した適正な助成対象経費により助成額を算定すると82,333,259円となることから、前記の助成額90,538,286円との差額8,205,027円が過大に交付されており、これに係る国庫補助金相当額4,433,563円が過大に交付されていた。