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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • (1) 補助金の交付額の算定が適切でなかったなどのもの

畜産競争力強化対策緊急整備事業の実施に当たり、補助金の算定が適切でなかったなどのもの[九州農政局](146)


(1件 不当と認める国庫補助金 8,989,000円)

 
部局等
補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等
年度
事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(146)
九州農政局
宮崎県
宮崎県鶏卵生産クラスター協議会アミューズ株式会社
(事業主体)
畜産競争力強化対策緊急整備 26、27 875,711 413,763 17,977 8,989

この補助事業は、宮崎県鶏卵生産クラスター協議会(注)(以下「協議会」という。)の構成員であるアミューズ株式会社(以下「会社」という。)が、地域の畜産の収益性の向上を図ることを目的として、孵(ふ)卵設等の整備を行ったものである。

畜産競争力強化対策緊急整備事業実施要領(平成27年26生畜第1743号農林水産省生産局長通知)によれば、整備する施設等については、適切な能力及び規模のものを選定することとされており、補助の対象となるのは、家畜飼養管理施設等及び当該施設と一体的に整備する設備の整備に要する経費とされている。そして、将来的な消耗、破損等に備えるための予備部品は、上記の施設と一体的に整備する設備には該当せず、補助の対象とならないことになっている。

会社は、事業費計875,711,726円(補助対象事業費計827,528,438円)で孵卵施設及び孵卵施設と一体的に整備する設備の整備を実施したとして協議会に報告し、協議会は、会社が報告した事業費に基づいて補助対象事業費を算定した上で、宮崎県に対して実績報告書を提出し、同県から国庫補助金413,763,000円の交付を受けて、同額を会社に交付していた。そして、上記の補助対象事業費には、ひなの運搬等に用いる台車500台及び空気循環機の交換用のフィルター等の購入経費が含まれていた。

しかし、協議会は、台車の必要数量を会社が孵卵施設におけるひなの予定最大出荷羽数に基づいて算定した120台としており、残りの380台の台車は会社が誤って必要数量を超過して購入したものであった。また、空気循環機の交換用のフィルター等は、将来的な消耗、破損等に備えるための予備部品であり、施設と一体的に整備する設備には該当しないことから、空気循環機の交換用のフィルター等に係る購入経費は、補助の対象とならないものであった。

したがって、適正な台車の数量に基づくなどして、適正な補助対象事業費を算定すると計809,550,459円となり、前記の補助対象事業費827,528,438円との差額17,977,979円が過大に算定されていて、これに係る国庫補助金相当額8,989,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、協議会及び会社において補助対象事業費の算定についての理解が十分でなかったこと、宮崎県において実績報告書の内容についての確認及び協議会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

(注)
宮崎県鶏卵生産クラスター協議会  地域ぐるみで採卵鶏経営の収益性の向上を図ることを目的とした、宮崎県、孵卵施設を運営する会社、採卵鶏農家、農業協同組合等が参画する協議会