(1件 不当と認める国庫補助金 25,944,500円)
部局等 |
補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 |
事業費 |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(157) | 水産庁 |
一般財団法人日韓・日中協定対策漁業振興財団 | 日本遠洋旋網漁業協同組合 (事業主体) |
外国漁船操業等調査・監視 | 28、29 | 1,109,230 | 1,109,230 | 25,944 | 25,944 |
漁業経営安定対策事業費補助金(外国漁船操業等調査・監視事業に係る分)は、水産物の安定供給の確保及び水産業の健全な発展の実現を図ることを目的として、水産関係民間団体事業実施要領(平成10年10水漁第944号農林水産事務次官依命通知)等に基づき、水産庁が、一般財団法人日韓・日中協定対策漁業振興財団(以下「財団」という。)に対して基金を造成させるために交付するものである。そして、基金を造成した財団は、我が国の漁業者の安全と操業秩序の維持及び操業機会の回復・拡大を支援することを目的に、外国漁船操業等調査・監視事業(以下「調査・監視事業」という。)を行う漁業協同組合等の事業主体に対して、この基金を取り崩して助成金を交付している。
財団が定めた外国漁船操業等調査・監視事業実施指導要領(平成25年5月策定。以下「指導要領」という。)等によれば、調査・監視事業の助成金交付の対象となる経費(以下「助成対象経費」という。)は、外国漁船の操業により影響を受ける水域における外国漁船の操業状況調査・監視、外国取締船の行動調査・監視、漁場調査(以下、これらを合わせて「調査・監視」という。)等に要する経費とされている。
指導要領等には、調査・監視に要する経費として、調査・監視の作業を行う作業員に係る賃金及び調査船に係る用船料の1日当たりの単価等が定められている。そして、指導要領等によれば、作業時間について、原則として1日当たり8時間とされており、作業時間が4時間に短縮されることになった場合は、賃金及び用船料の1日当たりの単価はそれぞれ半額とすることなどとされている。
事業主体である日本遠洋旋網漁業協同組合(福岡県福岡市所在。以下「組合」という。)は、平成28、29両年度において、調査・監視事業を事業費計1,109,230,722円で実施したとして、財団に対して事業実績報告書を提出し、助成金計1,109,230,722円(国庫補助金相当額同額)の交付を受けていた。
しかし、組合は、助成対象経費の算定に当たり、調査・監視を全く行っていない日に係る賃金及び用船料を含めていたり、調査・監視に係る作業時間が4時間となっていたのに1日当たりの単価をそのまま使用していたりなどしていたため、助成対象経費が過大に算定されていた。
上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
組合は、組合所属の調査船Aが平成29年4月16日に調査・監視を8時間行ったとして、同日に係る作業員3人分の賃金計75,600円及び用船料173,000円、計248,600円を助成対象経費として算定していた。
しかし、同日はエンジン修理のため、調査船Aは、調査・監視事業の対象ではない水域の港に終日入港していて、調査・監視を全く行っておらず、上記の賃金及び用船料は助成対象経費として算定できないものであった。
したがって、適正な事業費を算定すると、計1,083,286,222円となり、これに対する適正な助成金額は同額となることから、前記の助成金1,109,230,722円との差額25,944,500円が過大に交付されており、取り崩された基金25,944,500円(国庫補助金相当額同額)の使用が適切ではなく、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、組合において助成対象経費の算定についての理解が十分でなかったこと、財団において事業実績報告書の審査及び組合に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。