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  • 平成30年度|
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  • (4) 補助の対象とならないもの

都市農村共生・対流総合対策交付金事業等の実施に当たり、交付金の交付決定前に事業を実施するなどしていて交付の対象とならないもの[東北農政局](159)


(1件 不当と認める国庫補助金  5,392,896円)

 
部局等
補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等
年度
事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(159)
東北農政局
気仙沼市モーランド本吉活性化推進協議会
(事業主体)
都市農村共生・対流総合対策交付金等2事業 27~29 22,885 22,885 5,392 5,392

この交付金事業は、気仙沼市の市営牧場であるモーランド本吉及びその周辺地域の活性化を図ることを目的として、同市を事務局とし、地域住民、酪農家等を構成員として発足した気仙沼市モーランド本吉活性化推進協議会(以下「協議会」という。)が、地場の農産物やその加工品等の山村の魅力ある地域資源の賦存状況・利用形態等の調査(以下「地域資源調査」という。)や地域資源等を地域ぐるみで活用するための合意形成、組織づくり、人材育成等を実施したものである。

都市農村共生・対流総合対策交付金実施要領(平成25年25農振第394号農林水産省農村振興局長通知)等によれば、交付金事業は、原則として、交付決定の通知を受けて行うこととされており、やむを得ない事情により事業実施主体があらかじめ地方農政局長等に交付決定前実施届を提出した場合を除き、交付決定前に開始した事業に要した経費は交付対象経費として認められないこととされている。

協議会は、交付金事業において、協議会の構成員となっている会社(以下「業者」という。)に地域資源調査に係る業務を委託費4,989,600円で委託して実施したとして、この委託費等を交付対象経費として実績報告書に計上して交付金の交付を受けていた。

しかし、実際には、協議会が業者に委託して実施したとしている地域資源調査に係る業務については、本件交付金事業の交付決定日である平成28年1月25日よりも前の27年10月に、協議会の設立準備に係る事務局であった気仙沼市が入札等の手続を行うことなく業者に着手させていた。

このほか、組織づくりなどに要した経費として27年度から29年度までの実績報告書に計上されていた協議会の幹事会に係る宿泊料等には、宿泊実績がなく宿泊料の支給を要しない協議会の構成員に支払った宿泊料等403,296円が含まれていた。

したがって、本件委託費4,989,600円及び宿泊料等403,296円の計5,392,896円(交付対象事業費同額)は交付の対象とは認められず、これに係る交付金相当額計5,392,896円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、協議会において交付金事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、東北農政局において実績報告書等の審査及び確認並びに協議会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。