(1件 不当と認める国庫補助金 1,072,486円)
部局等 |
補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 |
事業費 |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(163) | 九州農政局 |
福岡県 |
三潴郡大木町
上八院農
地・水・環境保全委員会(事業主体) |
多面的機能支払交付金 | 27~29 | 7,091 | 3,545 | 2,144 | 1,072 |
この交付金事業は、「多面的機能支払交付金実施要綱」(平成26年25農振第2254号農林水産事務次官依命通知。以下「要綱」という。)等に基づき、農林水産省が、農業・農村の有する国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成等の多面的機能の維持・発揮を図ることを目的として、市町村が地域の共同活動を行う組織(以下「対象組織」という。)に対して交付する交付金の一部を都道府県を通じて助成するものである。
そして、対象組織に対する交付金の交付額は、田、畑及び草地の地目ごとに定められた交付単価を対象農用地の面積に乗じて得た額等の合計額とされており、国の助成(以下「国庫交付金」という。)の額はその2分の1とされている。
要綱等によれば、都道府県知事は、国が定める活動指針等を基礎として、対象組織が取り組むべき活動の具体的な内容を定めた地域活動指針等を策定することとされており、交付金の交付の対象となる活動は、地域活動指針等を満たすこととされている。そして、対象組織は、毎年度、実施状況報告書に金銭出納簿等を添えて市町村長に提出し、使用しなかった交付金等の残額(以下「未使用額」という。)を市町村長に返還することとされている。ただし、未使用額のうち、翌年度以降の活動に必要とされる金額については、実施状況報告書に記入した上で、翌年度以降へ持ち越して使用することができることとされている。
また、市町村長は、交付金が地域活動指針に位置付けられた活動の実施以外の目的に支出されていると認められた場合、対象組織に対して当該交付金に相当する金額の返還を求めることとされている。
対象組織である上八院農地・水・環境保全委員会(以下「委員会」という。)は、平成27年度から29年度までの各年度に、26年度からの持ち越し分を含めた交付金等計7,091,882円(交付対象事業費同額、国庫交付金相当額3,545,940円)で交付金事業を実施したとして、大木町に実施状況報告書等を提出していた。そして、29年度については、未使用額が2,537,114円であるとして、その全額を30年度へ持ち越して使用するとしていた。
しかし、交付金の出納を行っている預金口座の29年度末残高は400,334円となっていたことから、上記の未使用額との差額が生じていた理由について確認したところ、委員会の会計担当者は27年度から29年度までの間に交付金を私的に流用していたことなどが判明した。そして、この間、委員会は、預金口座の残高について十分に確認していなかった。
したがって、領収書等の証拠書類により収入及び支出の金額を確認したところ、上記の会計担当者が私的に流用していた額から同人が発覚前に補塡するなどしていた額を除いた2,144,973円は、地域活動指針に位置付けられた活動の実施以外の目的に使用されていることから交付金の交付の対象とは認められず、これに係る国庫交付金相当額1,072,486円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、委員会において要綱等に基づく交付金事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、同町において実施状況報告書等の確認及び委員会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。