(1件 不当と認める国庫補助金 19,685,000円)
部局等 |
補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 |
事業費 |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(166) | 農林水産本省 |
青森県
(事業主体) |
― | 地域自主戦略交付金等2事業 | 24、25 | 39,370 | 19,685 | 39,370 | 19,685 |
この交付金事業は、青森県が、つがる市木造吹原畠元地内において、海岸における、飛砂、潮風、波浪、高潮等による被害を防止又は軽減することを目的とする防災林を造成するために、静砂工及び植栽工を行ったものである。このうち、静砂工は、植栽木が砂で埋没するなどの被害を防止し、植栽木の生育環境を整えるために、植栽予定地を垣によって正方形又は長方形に区画して砂の移動を防止する静砂垣工と、風が植栽木に直接当たらないように設ける衝立工を行ったものである。
同県は、静砂垣工の設計に当たり、「治山技術基準解説」(林野庁監修)に基づき植栽予定地の風速、地形等を踏まえた上で、本件事業の現地は冬期に強い季節風が吹き込む非常に厳しい気象条件の場所であるとし、近接地域における施工実績を勘案して、その設置間隔、幅及び位置(以下「間隔等」という。)を決定することにしていた。そして、同県は、本件事業における静砂垣工について、丸太の木柵を海岸に面した前線部では5m×10mの格子状に、内陸中央部では10m×10mの格子状に、内陸後方部では15m間隔の列状にそれぞれ配置することとして設計し、これにより施工していた。
一方、平成19年度から24年度までの間に実施された近接地域における静砂垣工の施工実績をみると、非常に厳しい気象条件であることを踏まえて、丸太の木柵の間隔等については、同県内における長年の試行錯誤から経験的に決定されており、全て、海岸に面した前線部では3m×3m又は4m×8mの格子状に、内陸中央部では3m×6m、4m×8m又は5m×10mの格子状に配置するよう設計され、施工されていた。
しかし、同県は、本件事業の静砂垣工の設計に当たり、現地の気象条件を踏まえた近接地域における施工実績を考慮する必要があったのに、これを行うことなく、近接地域の施工実績における間隔等より広い間隔等で設計し、施工していた(参考図参照)。その結果、植栽後5年が経過した植栽木の生育状況は、飛砂や寒風等により、植栽全体の約8割が枯損して生育していない状況となっていた。
したがって、本件静砂工等(工事費39,370,800円)は、静砂工の設計が適切でなかったため、植栽木が十分に生育しておらず、飛砂や潮風等の被害を防備するなどの効果が期待できないものとなっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫交付金19,685,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、静砂工の設計についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
静砂垣工の概念図