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  • (6) 補助対象事業費を過大に精算していたもの

アジアにおける貧困削減と持続的農業の推進のための技術指導事業の補助対象事業費を過大に精算していたもの[農林水産本省](171)


(1件 不当と認める国庫補助金 4,920,370円)

 
部局等
補助事業者等
間接補助事業者等 補助事業等
年度
事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(171)
農林水産本省
アイ・シー・ネット株式
会社
(事業主体)
アジアにおける貧困削減と持続的農業の推進のための技術指導 26、27 15,317 13,460 4,920 4,920

この補助事業は、アイ・シー・ネット株式会社(さいたま市所在。以下「会社」という。)が、ベトナム社会主義共和国に調査員を派遣して農家の営農実態を調査、分析した上で、専門家を派遣して農業生産等について農民及び農業関係者への技術指導等を行ったものである。

上記の補助事業に係る補助金の交付決定通知によれば、国庫補助金の確定額については、補助事業に要した配分経費ごとの実支出額と国庫補助金の交付決定額のいずれか低い額の合計額とされている。また、同通知において、国際農業問題検討等補助金交付要綱(平成23年22国際第1130号農林水産事務次官依命通知)等が示されており、これらによれば、事業従事者が正職員である場合の人件費については、原則として、事業従事者ごとに、給与等の前年支給実績等に基づき算定した時間単価に補助事業に従事した実績時間を乗じて算定することとされている。

会社は、平成26、27両年度とも正職員2名及び業務提携契約を締結している契約先(以下「業務提携先」という。)の職員1名を事業従事者としており、これらの者に係る人件費を含めて、本件補助事業を事業費計15,317,658円(補助対象事業費計13,460,516円)で実施したとして、農林水産本省に実績報告書等を提出して、これにより国庫補助金計13,460,516円の交付を受けていた。

しかし、会社は、正職員に係る人件費の算定に当たり、事業従事者ごとの給与等の前年支給実績等に基づく単価ではなく、会社が業務を受託する場合等に適用する単価を用いるなどしていた。また、業務提携先に係る人件費として補助対象事業費に計上していた額は、会社が業務提携先に実際に支払った額を上回っていた。

したがって、正職員2名に係る人件費については給与等の前年支給実績等に基づき算定した適正な時間単価等により、業務提携先の職員1名に係る人件費については業務提携先への実際の支払額により算定して、配分経費ごとの実支出額と国庫補助金の交付決定額のいずれか低い額を採用するなどして適正な補助対象事業費を算定すると計8,540,146円となり、前記の補助対象事業費13,460,516円との差額4,920,370円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金相当額計4,920,370円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、会社において交付決定通知等についての理解が十分でなかったこと、農林水産本省において実績報告書の審査及び確認並びに会社に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。