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  • 平成30年度|
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  • (9) 工事の施工が適切でなかったもの

護床工の施工が適切でなかったもの[関東農政局](174)


(1件 不当と認める国庫補助金 26,509,511円)

 
部局等
補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等
年度
事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(174)
関東農政局
栃木県
鹿沼市
(事業主体)
農業用施設災害復旧 27、28 27,105 26,509 27,105 26,509

この補助事業は、鹿沼市が鹿沼市富岡地区において、豪雨により被災した岩渕堰(ぜき)の機能回復を図るために、護床工(延長348.0m)、固定堰工等を実施したものである。このうち護床工は、河床の洗掘を防止するために固定堰の上流側及び下流側に割栗石を詰めたふとんかご(長さ2.0m、幅1.2m、高さ0.5m)を1段積みで又は2段から3段に積み重ねて設置したものである(参考図参照)。

同市は、本件工事の施工を「土木工事共通仕様書」(平成27年版栃木県農政部。以下「仕様書」という。)等に基づいて行うこととしていた。仕様書等によれば、ふとんかごに詰める石(以下「詰石」という。)は、ふとんかごの高さが0.5mの場合は粒径が15cmから20cmまでの大きさとし、ふとんかごの網目(15cm×15cm)より大きなものを使用しなければならないなどとされていることから、同市は、詰石については粒径が15cmから20cmまでの割栗石を使用することとし、また、ふとんかごの施工については、割栗石をバックホウでふとんかご付近に降ろして人力でふとんかご先端から詰め込み、外回りに大きな石を配置するとともに、ふとんかご内の空隙を少なくするようにすることなどとしていた。

しかし、本件工事の請負人は、ふとんかごの施工に当たり、割栗石を直接河床に降ろし、これをバックホウですくい取って直接ふとんかご内に投入していたため、本件ふとんかごには仕様書等で定める規格を満たさない河床の玉石、砂利等が混入していた。この結果、詰石として使用された割栗石の総量は、設計上必要とされた数量を約3割下回っていた。さらに、割栗石は、納入業者が誤って粒径が15cm未満のものを混入させた状態で納品され、これが使用されていたため、本件ふとんかごには仕様書等で使用することとしていた規格を満たさない粒径の割栗石が相当量混入するなどしていた。

このため、本件ふとんかごは、詰石が流出するおそれがあるなどの状況となっており、現に、下流側のふとんかごの一部では、河川の流水により詰石の一部が流出し、ふとんかご内に大きな空隙が生ずるなどしていた。

したがって、本件工事(工事費計27,105,840円)は、護床工の施工が適切でなかったため、詰石がふとんかごから流出するなどして河床の洗掘が進行し、固定堰等に損傷が生ずるおそれがある状態となっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金26,509,511円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において、請負人が粗雑な施工を行うなどしていたのに、これに対する監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。

(参考図)

護床工及び固定堰の概念図

護床工及び固定堰の概念図 画像