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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 経済産業省|
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  • (1) 工事の設計が適切でなかったもの

照明設備工の設計が適切でなかったもの[近畿経済産業局](179)


(1件 不当と認める国庫補助金 4,800,000円)

 
部局等
補助事業者等
(所在地)
間接補助事業者等
(所在地)
補助事業等
年度
事業費
補助対象事業費等
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める補助対象事業費等 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(179) 近畿経済産業局
京都府
舞鶴市
〈事業主体〉
電源立地地域対策交付金 25 5,469
(5,469)
4,800 5,469 4,800

この交付金事業は、舞鶴市が、前島みなと公園において、同公園内の緑地護岸の通路における夜間の歩行者の安全確保や防犯等のために、LED照明灯7基及び当該LED照明灯に配電線を通じて電気を供給するための引込柱(ポールの全長6.3m)1基を設置するなどの照明設備工を実施したものである。

電気設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第52号。以下「省令」という。)等によれば、引込柱等の架空電線路の支持物の構造は、その支持物が支持する電線等による引張荷重、風速40m/sの風圧荷重等を考慮し、倒壊のおそれがないよう、安全なものでなければならないとされ、支持物の基礎に作用する風圧荷重等により算出される安全率が2以上であることとされている。そして、人家が多く連なっている場所に設置する架空電線路の支持物にあっては、人家等により風の遮へい効果を期待できるようその設置場所を考慮して設置する場合、風速40m/sの風圧荷重の1/2の風圧荷重を考慮して設置することができることとなっている。

同市は、本件照明設備工の設計に当たり、上記の人家が多く連なっている場所に設置する場合に適用できる風圧荷重に基づいて引込柱の基礎の設計を行い、これに基づき施工していた(参考図参照)。

しかし、本件引込柱の設置場所は入り江に面した公園内であり、人家等により風の遮へい効果を期待できる場所ではないことから、風速40m/sの風圧荷重の1/2の風圧荷重に基づいて引込柱の基礎の設計を行っていたことは適切ではなく、風速40m/sの風圧荷重に基づいて行う必要があったと認められる。

そこで、風速40m/sの風圧荷重に基づいて改めて安全率を算出したところ、本件引込柱の基礎の安全率は1となり、必要とされる安全率2を大幅に下回っていた。

したがって、本件照明設備(工事費5,469,450円)は、引込柱の基礎の設計が適切でなかったため、強風時における機能の維持が確保されていない状態となっており、これに係る交付金4,800,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において省令等に対する理解が十分でなかったこと、京都府において同市に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

(参考図)

引込柱の概念図

引込柱の概念図 画像