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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • (1) 工事の設計が適切でなかったもの

農道横断工の設計が適切でなかったもの[東北経済産業局](180)


(1件 不当と認める国庫補助金 1,052,855円)

 
部局等
補助事業者等
(所在地)
間接補助事業者等
(所在地)
補助事業等
年度
事業費
補助対象事業費等
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める補助対象事業費等 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(180) 東北経済産業局
新潟県刈羽郡刈羽村
〈事業主体〉
電源立地地域対策交付金 28 13,677
(13,677)
10,000 1,440 1,052

この交付金事業は、刈羽村が、昭和61年度から63年度にかけて整備した滝谷地区の農業用排水路を更新するために、既設の排水路を撤去して、開渠(きょ)工、農道横断工等を実施したものである。このうち農道横断工は、農業用排水路が農道の下部を横断する箇所にプレキャスト製ボックスカルバート(以下「カルバート」という。)を3基(内空幅1.8m、内空高1.5m、延長計4.5m)設置するものである(参考図参照)。

同村は、本件カルバートを設置するに当たり、「土地改良事業計画設計基準及び運用・解説 設計「水路工」」(農林水産省農村振興局整備部設計課監修。以下「設計基準」という。)等に基づき、カルバートの基礎を直接基礎によることとし、既設のカルバートを撤去した地盤の上に均(なら)しコンクリートを打設して本件カルバートを設置することとして設計していた。

設計基準等によれば、水路の基礎の設計に当たっては、計画路線について資料収集を行い、踏査、試験等の地盤調査により現地の地質構造、土質等を把握して、地盤反力度(注)が基礎地盤の許容支持力度を上回っていないかを確認することとされ、上回っている場合には、地盤改良や杭基礎等の対策を行うこととされている。

しかし、同村は、本件カルバートの設計に当たり、上記の確認を行っていなかった。

そこで、本院の検査を踏まえて、同村が地盤調査を行って基礎の安定計算を行ったところ、本件カルバートの重量や自動車荷重等に基づき算定した地盤反力度59.86kN/m2は、当該地盤の許容支持力度23.80kN/m2を大幅に上回っていて、安定計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。

したがって、本件農道横断工等(工事費相当額1,440,003円)は、カルバート3基の基礎の設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額1,052,855円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同村において、設計基準等の理解が十分でなかったことなどによると認められる。

(注)
地盤反力度  構造物を介して地盤に力を加えたとき、地盤に発生する単位面積当たりの抵抗力をいう。この地盤反力度がその地盤の許容支持力度を上回っていなければ、構造物は基礎地盤の支持力に対して安定した状態にあるとされる。

(参考図)

農道横断工の概念図

農道横断工の概念図 画像