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  • 平成30年度|
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  • (2) 補助の対象とならないもの

中小企業組合等共同施設等災害復旧費補助金の補助対象事業費に、補助の対象とならない経費を含めるなどしていたもの[東北経済産業局](181)


(1件 不当と認める国庫補助金 9,447,333円)

 
部局等
補助事業者等(所在地)
間接補助事業者等
(所在地)
補助事業等
年度
事業費
補助対象事業費等
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める補助対象事業費等 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(181) 東北経済産業局
福島県
INTELLIGENT株式会社
(福島県いわき市)
〈事業主体〉
中小企業組合等共同施設等災害復旧 25~27 73,086
(73,086)
36,542 18,894 9,447

この補助事業は、東日本大震災に係る被災地域の復旧及び復興を促進することを目的として、中小企業組合等共同施設等災害復旧費補助金の交付を受けた福島県が、施設及び設備の復旧・整備を行う中小企業等グループ又はその構成員に対して、これに要する経費の一部を補助するものである。

本件補助事業に係る交付要綱等によれば、補助の対象となるのは、中小企業等グループ又はその構成員の施設及び設備であって、東日本大震災により損壊等したもののうち、中小企業等グループが復興事業計画に基づき事業を行うのに不可欠な施設及び設備の復旧・整備に要する経費とされている。また、復旧に際しては、被災した施設及び設備と同等の水準等のものに修繕等をした場合の費用を補助の対象とすることとされており、施設の面積の増加は、復旧の範囲を超えることになり、当該増加分については補助の対象とはならないこととされている。そして、同県は、修繕により面積が増加した場合、補助対象事業費の算定に当たっては、施設の修繕に係る経費に、修繕後の延床面積に対する修繕前の延床面積の割合を乗じて面積案分を行うことにしている。

中小企業等グループの構成員である事業主体は、東日本大震災で損壊した工場等の施設の修繕及び設備の取替えによる復旧に要したとする事業費73,086,150円(補助対象事業費同額)に対して国庫補助金36,542,666円の交付を受けていた。

しかし、事業主体は、同県に実績報告書を提出する際に、支払っていない経費を含めた領収書の写しを添付して、施設の修繕に係る経費を実際に支払った額より過大に補助対象事業費に計上していた。

また、修繕前の施設の延床面積は263.16m2であり、修繕後の施設の延床面積は347.20m2と84.04m2増加していて復旧の範囲を超えていたことから、事業主体は面積の増加を考慮した面積案分により補助対象事業費の算定を行うなどすべきであった。

したがって、支払っていない経費を除外した適正な施設の修繕に係る経費59,890,391円に、修繕後の延床面積に対する修繕前の延床面積の割合75.7%を乗じて面積案分を行うなどして適正な補助対象事業費を算定すると54,191,381円となり、前記の補助対象事業費73,086,150円との差額18,894,769円が過大となっていて、これに係る国庫補助金相当額9,447,333円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、事業主体において補助事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、同県において本件補助事業の審査及び確認並びに事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。