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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • (4) 補助事業により取得した財産を無断で処分していたもの

地域・まちなか商業活性化支援事業費補助金の交付を受けて実施した事業により整備した施設を無断で取り壊すなどしていたもの[中国経済産業局](187)


(1件 不当と認める国庫補助金 7,633,851円)

 
部局等
補助事業者等(所在地)
間接補助事業者等
(所在地)
補助事業等
年度
事業費
補助対象事業費等
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める補助対象事業費等 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(187) 中国経済産業局
星プラザテナント会 
下松商業開発株式会社(山口県下松市)
〈事業主体〉
地域・まちなか商業活性化支援 28 32,292
(28,267)
18,844 11,450 7,633

この補助事業は、商店街等の中長期的発展及び自立化の促進に寄与し、商店街等が有する地域コミュニティ機能、買物機能の維持・強化を図ることを目的として、地域・まちなか商業活性化支援事業費補助金(地域商業自立促進事業)交付要綱(20160323財中第7号)等に基づき、少子・高齢化、地域交流等の分野に係る公共性の高い取組を行う商店街組織等に対して、これに要する経費の一部を補助するものである。

上記の交付要綱等によれば、不動産、取得価格が50万円以上の機械、器具、備品等は処分を制限する財産(以下「処分制限財産」という。)とされており、補助事業者は、処分制限財産を、経済産業大臣が定めた処分制限期間内に処分しようとするときは、あらかじめ所轄の経済産業局長の承認を受けなければならないこととされている。また、「補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて」(平成16年会課第5号経済産業省大臣官房会計課)によれば、経済産業局長は、補助事業者等からの財産処分の申請を承認する場合には、所定の金額を国庫に納付する旨の条件を付さなければならないこととされており、転用、取壊し又は廃棄等の財産処分を行う場合の金額は、残存簿価相当額に補助率を乗じて得た額とされている。

事業主体のうち、星プラザテナント会は、テナント間の連絡調整や補助事業の企画補助を行う役割を担い、下松商業開発株式会社は、補助事業の企画や実施状況の管理・監督等を行う役割を担っている。そして、事業主体は、子育て・コミュニティ機能を強化し、地域に必要とされるショッピングモールの実現を図るため、平成28年11月にショッピングモールにキッズスペース、カルチャーセンター等を整備する事業を実施し、これに要した事業費を32,292,000円(補助対象事業費28,267,141円)とする実績報告書を中国経済産業局に提出して、国庫補助金18,844,760円の交付を受けていた。

しかし、事業主体は、カルチャーセンターとして整備した建物の一区画、建物附属設備並びに器具及び備品(以下、これらの整備した財産を「施設」という。)について、新たなテナントを誘致するため、処分制限期間(建物は令和37年10月までの39年、建物附属設備は13年10月までの15年、器具及び備品は3年10月までの5年)内であったにもかかわらず、事業実施から約2年後の平成30年10月に、中国経済産業局長の承認を受けずに無断で取り壊し、廃棄するなどしていた。

したがって、中国経済産業局長の承認を受けずに無断で取り壊すなどした施設の残存簿価相当額計11,450,777円に係る国庫補助金相当額計7,633,851円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、事業主体において補助事業により取得した財産の適正な処分についての認識が欠けていたこと、中国経済産業局において事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。