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  • 平成30年度|
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  • (8) 工事の施工が適切でなかったもの

付帯道路工等の施工が適切でなかったもの[東北経済産業局](191)


(1件 不当と認める国庫補助金 1,018,770円)

 
部局等
補助事業者等(所在地)
間接補助事業者等
(所在地)
補助事業等
年度
事業費
補助対象事業費等
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める補助対象事業費等 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(191) 東北経済産業局
福島県双葉郡広野町
〈事業主体〉
電源立地地域対策交付金 28、29 137,489
(137,489)
137,000 1,022 1,018

この交付金事業は、広野町が、広野町大字上浅見川地内において、浅見川に架かる既設の橋りょうを幅員の広い橋りょうに架け替えるために、橋台工、河川土工、法覆護岸工、付帯道路工等を実施したものである。

同町は、設計図書等に基づき、河川土工において管理用通路を護岸の背後に設けることとしており、管理用通路から車両が転落するのを防止するために、付帯道路工として、護岸の天端に鉄筋コンクリート造の基礎ブロック(高さ0.48m、底版幅0.8m、長さ2.0m。以下「基礎ブロック」という。)を相互にボルトで連結する形で延長23mにわたって設置して、これに支柱を埋め込んでガードレールを設置することとしていた。そして、管理用通路を利用する自動車の荷重等の影響により基礎ブロックが滑動することがないように、護岸の天端に敷モルタルを厚さ30mmで施工し、その上に基礎ブロックを設置することとし、また、管理用通路の路面を基礎ブロックの天端と同じ高さにすることとしていた。

しかし、施工写真を確認したところ、基礎ブロックを設置した延長23mの全区間にわたって、護岸の天端と基礎ブロックの底版との間の敷モルタルの施工が粗雑であったため、空隙が生じていたり、厚さが十分でなかったりしていて、摩擦抵抗が十分に確保されていない状態となっていた。また、現地の状況を確認したところ、設計と異なり、基礎ブロックの天端を越える高さ(基礎ブロックの天端からの高さが0.1m~0.7m)の盛土が護岸の背後に行われ、その上に管理用通路が設けられていて、設計では想定していなかった盛土による土圧等が、基礎ブロックに作用する状況となっていた。

これらのため、基礎ブロックが管理用道路を利用する自動車の荷重や護岸の背後に施工された盛土による土圧等に対して十分に抵抗できず滑動しやすい状態となっていた。

現に、延長23mのうち17mの区間において、基礎ブロックが同町による完成検査時と比べて最小で0.8cm、最大で7.5cm(平均3.2cm)前面に滑動するなどしていた(参考図参照)。

したがって、本件付帯道路工等(工事費相当額1,022,410円)は、施工が粗雑であったり、施工が設計と相違していたりしたため、ガードレールを設置した基礎ブロックが滑動しやすい状態となっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る交付金相当額1,018,770円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同町において、請負人の施工が粗雑であったり、施工が設計と相違したりしていたのに、これに対する監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。

(参考図)

付帯道路工等の概念図

付帯道路工等の概念図 画像