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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 国土交通省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • (1) 補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

機械設備の移転に係る補償費の算定が適切でなかったもの[滋賀県](204)


(1件 不当と認める国庫補助金 1,721,209円)

 
部局等
補助事業者等 間接補助事業者
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(204)
滋賀県
草津市
北中西・栄町地区市街地再開発組合 社会資本整備総合交付金
(市街地再開発)
28 36,538
(36,538)
13,395 4,695
(4,695)
1,721

この交付金事業は、北中西・栄町地区市街地再開発組合が、市街地再開発事業を行う上で支障となる建物の借家人に対し、その移転に要する工作物移転料等の費用(以下「移転補償費」という。)として、36,538,000円(交付対象事業費同額、交付金交付額13,395,000円)の補償を、草津市を通じて交付された社会資本整備総合交付金により行ったものである。

同組合は、移転補償費の算定を「国土交通省の公共用地の取得に伴う損失補償基準」(平成13年国土交通省訓令第76号)等に準じて同組合が定めた「北中西・栄町地区第一種市街地再開発事業評価・損失補償基準」(平成28年7月策定。以下「組合補償基準」という。)等に基づいて行うこととしており、組合補償基準によれば、補償費の算定に当たっては、「損失補償標準書」(近畿地区用地対策連絡協議会。以下「標準書」という。)等に基づくこととされている。

そして、機械設備等の工作物移転料は、移転しても従前の機能を確保することが可能な工作物の場合、原則として、再利用するための撤去、据付等に要する費用(以下「移転費用」という。)を算定することとなっている。

同組合は、移転補償費のうち業務用冷蔵庫等計22台の移転費用の算定に当たり、標準書等には冷蔵庫等に係る移転費用の算定方法等が示されていないと認識して、「公共建築工事標準単価積算基準(平成22年度版)」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修。以下「積算基準」という。)等に基づき、本件冷蔵庫等の移転費用を9,244,000円と算定していた。

しかし、本件冷蔵庫等は、建物と一体となっていないことから、その移転は積算基準等が適用となる建築工事として実施されるものではない。そして、標準書等には、機械設備に係る移転費用の算定方法等が示されており、本件冷蔵庫等は機械設備に該当することから、これにより移転費用を算定すべきであった。

したがって、本件冷蔵庫等の機械設備について、標準書等に基づき移転費用を算定すると4,549,000円となり、これにより適正な移転補償費を算定すると31,843,000円となることから、本件移転補償費36,538,000円はこれに比べて4,695,000円過大となっており、これに係る交付金相当額1,721,209円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同組合において機械設備の移転に係る補償費の算定についての理解が十分でなかったこと、草津市において本件交付金事業の審査及び同組合に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。