(1件 不当と認める国庫補助金 27,486,900円)
部局等 |
補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 |
事業費
国庫補助対象事業費
|
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(205) | 鳥取県 |
鳥取県 |
防災・安全交付金
(道路) |
27、28 | 44,033 (44,033) |
30,823 | 39,267 (39,267) |
27,486 |
この交付金事業は、鳥取県が、日野郡日南町福万来地区において、県道横田伯南線の防災対策として、落石防護柵を設置するなどの工事を実施したものである。このうち落石防護柵は、支柱(高さ2.5m又は3.0m)を約10m間隔で設置した上で、ワイヤロープを隣接する支柱に巻き付けるなどした高エネルギー吸収落石防護柵(延長91.2m)となっている。
同県は、本件落石防護柵の設計を「落石対策便覧」(公益社団法人日本道路協会編)、「道路土工 切土工・斜面安定工指針」(公益社団法人日本道路協会編)等(以下、これらを合わせて「便覧等」という。)に基づき行うこととしている。
便覧等によれば、落石防護柵の必要な高さは、想定する落石の跳躍高等によって決定され、一般的に落石の跳躍高は斜面から直角に測った高さ2.0m以下であるといわれていることから、斜面から直角に測った高さが2.0mとなるよう最低柵高を設定することとされている。また、落石防護柵の必要な高さの決定に当たり、落石が柵の天端に衝突して柵を越える可能性等も考慮して、最低柵高に余裕高を加えることがよいとされていることなどから、同県は、高エネルギー吸収落石防護柵については想定される最大の落石の半径を余裕高として加えることにしている。
そして、同県は、本件落石防護柵の設計に当たり、落石の跳躍高を2.0mと想定して最低柵高を2,000mmと設定した上で、想定される最大の落石の半径360mmを余裕高として加えるなどして落石防護柵の必要な高さを決定し、本件落石防護柵の高さを2,500mm又は3,000mmと設計し、これにより施工していた。
しかし、同県は、最低柵高の設定に必要な落石の跳躍高について、便覧等に基づき斜面から直角に測った高さとする必要があったのに、誤って鉛直方向に測った高さとしていた(参考図1参照)。
そこで、便覧等に基づき、落石の跳躍高を斜面から直角に測った高さ2.0mとして、改めて本件落石防護柵の最低柵高を算出すると、2,658mmから3,374mmとなる。そして、同柵高に余裕高360mmを加えた3,018mmから3,734mmが落石防護柵の必要な高さとなることから、本件落石防護柵の高さは全延長91.2mにおいて282mmから1,234mm不足していた(参考図2参照)。
したがって、本件落石防護柵(工事費相当額39,267,000円)は、設計が適切でなかったため、落石を防ぐための所要の高さが確保されていない状態となっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る交付金相当額27,486,900円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、便覧等についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図1)
跳躍高を鉛直方向に測った場合の落石防護柵等の概念図
(参考図2)
便覧等に基づき跳躍高を斜面から直角に測って設計した場合の落石防護柵等の概念図