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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
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  • (2) 工事の設計が適切でなかったもの

根固工の設計が適切でなかったもの[沖縄県](206)


(1件 不当と認める国庫補助金 18,447,300円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(206)
沖縄県
沖縄県
沖縄振興公共投資交付金 28、29 91,296
(91,296)
82,167 20,497
(20,497)
18,447

この交付金事業は、沖縄県が、那覇市首里末吉町地内の二級河川安謝川において、河川改修に伴い既設護岸を補強するために根継工の築造、根固工の敷設等を実施したものである。このうち、根継工(延長158.4m)は、計画河床高から護岸の基礎の天端までの深さが不足している既設護岸を補強するために築造したものであり、根固工(延長78.5m、敷設幅3.07m)は、水衝部となる河道湾曲部の外岸側における急激な洗掘を緩和し、護岸の基礎を保護するために、コンクリート製ブロック(以下「根固ブロック」という。)を根継工又は既設護岸(以下「根継工等」という。)の前面の河床に敷設したものである。

同県は、根固工等の設計を「建設省河川砂防技術基準(案)同解説」(社団法人日本河川協会編。以下「技術基準」という。)等に基づいて行っており、根固ブロックの天端を計画河床高に合わせ、根固ブロックの河川横断方向の敷設開始位置については、同ブロックを湾曲した河道に沿って設置することを踏まえて根継工等より0.4m離れた位置とすることとして設計し、これにより施工していた(参考図参照)。

しかし、技術基準等によれば、根固工は、河床の変動等を考慮して、護岸の基礎が安全となる構造とすることとされており、河床を直接覆うことにより急激な洗掘を緩和する目的で設置されることから、根固工と護岸等との間に間隙が生ずる場合には、間詰工を施工することとされている。そして、本件根固工の場合、上記の設計では、根固ブロックの天端の高さにおいて根固ブロックの敷設開始位置と根継工等の前面との間に0.4mの間隙が生ずることとなるのに、技術基準等により必要とされる間詰工を施工することとしていなかった。

このため、本件根固工は、間詰工が施工されておらず、間隙に流水による渦が発生するなどして、河床の洗掘が進行すると既設護岸の基礎等に損傷が生ずるおそれがある状況となっていた。

したがって、本件根固工は、設計が適切でなかったため、既設護岸の基礎等を洗掘から保護できない構造となっていて、本件根継工(延長47.7m)、根固工(延長78.5m)等(これらの工事費相当額20,497,000円)は、工事の目的を達しておらず、これに係る交付金相当額18,447,300円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。

(参考図)

根固工及び根継工の断面概念図

根固工及び根継工の断面概念図 画像