ページトップ
  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 国土交通省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • (3) 工事費の積算が過大となっていたもの

地方創生推進交付金事業等において、下水道施設の電気設備工事に係る一般管理費等の積算が過大となっていたもの[香川県](210)


(1件 不当と認める国庫補助金 9,984,544円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(210)
香川県
木田郡三木町 地域再生基盤強化交付金、地方創生推進交付金 26~29 2,106,552
(1,184,240)
638,520 33,000
(18,511)
9,984

この交付金事業は、三木町が、大字池戸(いけのべ)地内において、同町の国土交通省所管の下水道事業及び農林水産省所管の農業集落排水事業に係る汚水処理施設の整備を一体的に行うことを目的として、町内の公共下水道認可区域で生ずる汚水及び農業集落排水区域で生ずる汚水の双方を処理する下水道施設である三木浄化センターを建設するために、両省から交付金の交付を受けて、同センターに係る土木工事、建築工事、電気設備工事等を契約額2,106,552,960円(交付対象事業費2,060,546,000円)で実施したものである。この交付金は、予算が内閣府に一括計上された後に、国土交通省及び農林水産省に移し替えられてそれぞれ執行されるものとなっており、交付対象事業費は、上記の両区域で発生する汚水量の比率等で案分することにより、国土交通省所管分が1,184,240,000円、農林水産省所管分が876,306,000円となっていた。そして、同町は、国土交通省所管分638,520,000円及び農林水産省所管分438,153,000円の計1,076,673,000円の交付金の交付を受けていた。

本件交付金事業のうち電気設備工事は、管理棟、水処理施設等に受変電設備、自家発電設備等を設置するものであり、同町は、電気設備工事費の積算を国土交通省制定の「下水道用電気設備請負工事工事費積算要領並びに同積算基準」(以下「積算基準」という。)等に基づき行っている。積算基準等によれば、電気設備工事費は、据付工事原価に設計技術費を加えた工事原価のほかに、受変電設備、自家発電設備等の機器費、一般管理費等及び消費税等相当額で構成することとされており(図参照)、このうち一般管理費等は、請負業者の経営管理等に必要な本店・支店の経常的な費用等を計上するもので、工事原価を対象額として、当該対象額に一般管理費等率を乗ずるなどして算定することとされている。

図 電気設備工事費の積算体系図

図 電気設備工事費の積算体系図 画像

同町は、電気設備工事に係る一般管理費等について、工事原価69,606,097円及び機器費217,294,000円を対象額として、これに一般管理費等率を乗ずることにより53,420,797円と算定していた。そして、当該一般管理費等を含めた電気設備工事費を367,545,600円、工事費の総額を2,116,713,600円と積算していた。

しかし、積算基準等によれば、電気設備工事に係る一般管理費等の対象額は工事原価とされていることから、機器費を一般管理費等の対象額に含めていたことは適切とは認められない。

したがって、機器費を一般管理費等の対象額から控除して修正計算すると、電気設備工事に係る一般管理費等は13,420,054円となり、これを含めた電気設備工事費は324,345,763円、工事費の総額は2,073,513,763円となることから、本件契約額2,106,552,960円はこれと比べて約3300万円割高となっていて、これに係る交付金相当額計16,868,676円(うち、国土交通省所管分9,984,544円、農林水産省所管分6,884,132円)が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同町において、積算基準等に対する理解が十分でなかったことなどによると認められる。

(「地方創生推進交付金事業等において、下水道施設の電気設備工事に係る一般管理費等の積算が過大となっていたもの」参照)