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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第11 国土交通省|
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  • (3) 工事費の積算が過大となっていたもの

浚渫(しゅんせつ)工事に係る土運船運搬工費の積算が過大となっていたもの[中部地方整備局](211)


(1件 不当と認める国庫補助金 1,000,000円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(211) 中部地方整備局
愛知県
防災・安全交付金(港湾改修) 29 20,628
(20,628)
6,876 3,000
(3,000)
1,000

この交付金事業は、愛知県が、福江港において、同港を利用する船舶の航行に支障が生じないよう同港内の福江航路の計画水深2.5mを確保するために、海底に堆積した土砂をバックホウ浚渫船により浚渫し、土砂(設計土量3,900m3)を土運船に積み込み、これを引船によりえい航して、土砂を土捨場に処分する浚渫工事を実施したものである。

同県は、バックホウ浚渫(しゅんせつ)船による浚渫工事に係る費用について、国土交通省港湾局制定の港湾請負工事積算基準に基づくなどして積算している。同積算基準によれば、浚渫土砂の運搬及び処分(以下「土運船運搬工」という。)の積算については、引船及び土運船のそれぞれの1日当たり所要隻数を算出するなどして行うこととされている。そして、引船の1日当たり所要隻数については、浚渫現場と土捨場との間をえい航する往路の距離と復路の距離の平均である往復平均えい航距離等から算出することとなっている。また、土運船の1日当たり所要隻数については、引船が土運船をえい航して浚渫現場と土捨場を往復している間も浚渫現場において浚渫した土砂の積込作業を連続して行うため、引船の所要隻数に1を加えて算出することとなっている。

同県は、土運船運搬工の積算に当たり、浚渫現場と土捨場との間をえい航する往路と復路が同じであることから、片道分のえい航距離17.1kmを2倍して、往復平均えい航距離を34.2kmとし、これに基づき引船の1日当たり所要隻数を2隻、土運船の1日当たり所要隻数を3隻と算出するなどして、土運船運搬工に係る直接工事費を7,651,800円としていた。

しかし、前記のとおり、往復平均えい航距離は、浚渫現場と土捨場との間をえい航する往路の距離と復路の距離の平均であることから、本件工事においては、片道分のえい航距離を用いる必要があった。

したがって、実際には地元調整により漁場等を回避してえい航する必要があったことを考慮しても、片道分のえい航距離は23.2kmとなり、引船の1日当たり所要隻数は1隻、土運船の1日当たり所要隻数は2隻となる。そして、これに基づき修正計算すると、土運船運搬工に係る直接工事費は4,707,300円となり、工事費は、他の項目において積算過小となっていた費用を考慮しても17,542,440円となることから、本件工事費20,628,000円はこれに比べて約300万円割高となっていて、これに係る交付金相当額1,000,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同県において、土運船運搬工費の算定についての理解が十分でなかったこと及び本件工事の工事費の積算内容に対する確認が十分でなかったことによると認められる。