(1件 不当と認める国庫補助金 3,815,994円)
部局等 |
補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 |
事業費
国庫補助対象事業費
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左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(212) | 国土交通本省 | 北海道 |
空港整備 | 21、27 | 176,484 (176,484) |
105,890 | 6,359 (6,359) |
3,815 |
この補助事業は、北海道が、平成21年度に、女満別空港の管制塔(以下「旧管制塔」という。)において、飛行場灯火を操作するための灯火運用卓を製作するなどの工事(以下「製作工事」という。)を、また、27年度に、上記の灯火運用卓を、旧管制塔から新設した管制塔(以下「新管制塔」という。)に移設し、据え付ける工事(以下「移設工事」という。)を、それぞれ実施したものである。
北海道は、移設工事を「航空灯火・電気施設工事共通仕様書」(国土交通省航空局監修。以下「共通仕様書」という。)等に基づいて施工することとしている。
共通仕様書によれば、機器をフリーアクセス床(注)に据え付ける場合は、床パネルの下部に架台を設け、機器と架台をボルト等により結合した上で、架台をボルト等により床コンクリートに直接固定することとされている。そして、地震による水平移動、転倒等の事故が防止できるよう「建築設備耐震設計・施工指針」(独立行政法人建築研究所監修。以下「耐震設計指針」という。)に基づいて耐震処理を行うこととされている。
耐震設計指針によれば、架台と床コンクリートとの固定にアンカーボルトを使用する場合は、地震時に機器に作用する水平力や鉛直力に対して安全となるようアンカーボルトの設計計算を行うこととされている。
また、移設工事の契約書によれば、設計図書の表示が明確でないときなどには、請負人は北海道が定めた監督員に直ちにその旨を通知し、その確認を請求しなければならないこと、監督員は契約の履行について請負人に指示し、又は承諾を与えるなどすることとされている。
しかし、北海道は、移設工事において、灯火運用卓の据付けに当たり、前記アンカーボルトの設計計算等を行っておらず、設計図書において明示していたのは新管制塔の管制室内における据付位置のみで、据付方法は明示していなかった。
また、旧管制塔では、架台をアンカーボルトにより床コンクリートに固定して、その架台の上に灯火運用卓を据え付けていたことから、請負人は、設計図書に据付方法が明示されていなかったにもかかわらず、契約書に定められた監督員への通知及び確認の請求を行わず、監督員の承諾のないまま、旧管制塔の架台を再利用して灯火運用卓を新管制塔へ据え付けていた。
そして、再利用した旧管制塔の架台の高さが、新管制塔の床コンクリートと床パネルとの間の高さより低かったことから、架台が床コンクリートから約3.5cm浮いた状態のままアンカーボルトで固定され、架台と床コンクリートの間においてアンカーボルトが露出するなどしていて、架台は床コンクリートに十分に固定されていなかった(参考図参照)。このため、地震時に灯火運用卓に作用する水平力等によりアンカーボルト等が損傷し灯火運用卓は転倒するなどのおそれがある状態となっていた。
したがって、製作工事で取得した灯火運用卓(28年3月末時点における残存価格6,180,883円、国庫補助金相当額3,708,529円)は、移設工事のうち据付けに係る工事(工事費相当額179,109円、国庫補助金相当額107,465円)の設計及び施工が適切でなかったため、地震時における所定の機能が維持できないおそれのある状態となっていて、これらに係る国庫補助金相当額計3,815,994円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、北海道において、灯火運用卓の据付けに当たり、耐震設計指針に基づき耐震処理を行うことについての理解が十分でなかったこと、請負人が監督員の承諾のないまま灯火運用卓を据え付けていたのに、これに対する監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
灯火運用卓の概念図