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直接事業運営の用に供せられていない事業外用地について、調査により、現に利用していない全ての土地を未利用地として適切に把握するとともに、把握した未利用地について、利用計画を策定したり、売却等の処分方針を策定したりするための体制を整備することにより、未利用地の利用又は処分が図られるよう改善の処置を要求したもの


科目
有形固定資産 土地
部局等
日本中央競馬会本部
事業外用地の概要
競馬場のスタンド用地、馬場用地等の直接事業運営の用に供している土地以外の舎宅用地、寮用地等の土地
日本中央競馬会が保有する事業外用地の平成30事業年度末現在の敷地面積及び30年度の固定資産税評価額(1)
852,617.03m2 291億6065万余円
(1)のうち未利用地として把握していたが、利用計画又は処分方針を策定していなかった土地の敷地面積及び固定資産税評価額(2)
6,612.99m2 1億5803万円
(1)のうち未利用地として把握しておらず、利用計画又は処分方針を策定していなかった土地の敷地面積及び固定資産税評価額(3)
23,785.95m2 13億8681万円
(2)及び(3)の計
30,398.94m2 15億4484万円

【改善の処置を要求したものの全文】

事業外用地の有効利用及び処分について

(令和元年10月21日付け 日本中央競馬会理事長宛て)

標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり改善の処置を要求する。

1 貴会が保有する土地の概要等

(1) 貴会が保有する土地

貴会は、日本中央競馬会法(昭和29年法律第205号)等に基づき、競馬の健全な発展を図って馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与することを目的として設立された特殊法人であり、中央競馬の開催等の業務を実施するなどのために、平成30事業年度末現在で国内に10競馬場、7附属機関(注1)等を設置している。

そして、貴会は、競馬場のスタンド用地、馬場用地等の直接事業運営の用に供している土地(以下「事業用地」という。)計24,952,437.17m2及び舎宅用地、寮用地等の事業用地以外の土地(以下「事業外用地」という。)計852,617.03m2(固定資産税評価額計291億6065万余円(30年度。以下同じ。))を保有している。

(注1)
10競馬場、7附属機関  札幌、函館、福島、新潟、中山、東京、中京、京都、阪神、小倉各競馬場、馬事公苑、競馬学校、競走馬総合研究所、日高、宮崎両育成牧場、栗東、美浦両トレーニング・センター

(2) 貴会が保有する土地の管理、処分等

貴会本部は、毎事業年度、所有地の現況を把握し適切な資産管理がされるよう、土地の利用状況に関する調査(以下「調査」という。)を実施している。調査では、10競馬場、7附属機関等が貴会本部に対して、保有する事業用地及び事業外用地の面積並びに利用状況について、報告することになっている。

また、貴会は、毎事業年度作成する事業計画書において、将来にわたる経費負担を抑制する取組を継続的に実施するなど、業務運営の効率化を図ることとしている。

そして、同法第26条の規定によれば、貴会は、農林水産大臣の許可を受けなければ、その所有する不動産を譲渡し、交換し、又は担保に供してはならないとされており、貴会は、25年8月及び28年8月に事業の用に供することが見込めない土地を処分する際に農林水産大臣に対して提出した許可申請書において、保有する土地等の不動産のうち、当初の利用目的を達成し、今後とも事業の用に供することが見込めないものについては、維持保全経費の負担もあることから、逐次売却等の処分を進めることとする指針を示している。

なお、土地の処分により売却益が生じたときは、他の損益と合算して、各事業年度の決算において損益計算上の剰余金が生じた場合、同法第27条の規定により、その2分の1に相当する金額を国庫に納付しなければならないこととなっている。

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、経済性、効率性、有効性等の観点から、直接事業運営の用に供せられていない事業外用地は有効に利用されているか、利用されていない事業外用地(以下「未利用地」という。)は適切に把握され、利用計画や売却等の処分方針が策定されているかなどに着眼して、貴会が30事業年度末現在で保有している事業外用地を対象として、4競馬場及び3附属機関(注2)において土地の現況を確認するなどしたり、貴会本部において10競馬場、7附属機関等の土地家屋課税台帳兼名寄帳、固定資産台帳等の関係書類及び調査に係る報告内容を確認するなどしたりして会計実地検査を行った。

(注2)
4競馬場及び3附属機関  札幌、福島、中山、阪神各競馬場、日高、宮崎両育成牧場、栗東トレーニング・センター

(検査の結果)

貴会本部の調査に係る報告内容を確認したところ、未利用地として報告された土地は、表1のとおり、30事業年度末現在で計19,931.42m2(固定資産税評価額計3億0532万余円)であった。このうち、地方公共団体から買取り等の要望があり、処分が決まっている土地計13,318.43m2(固定資産税評価額計1億4729万余円)を除いた未利用地は、1競馬場及び2附属機関(注3)が管理する土地計6,612.99m2(固定資産税評価額計1億5803万余円)であった。

(注3)
1競馬場及び2附属機関  東京競馬場、宮崎育成牧場、美浦トレーニング・センター

表1 調査において未利用地として報告された土地

区分
名称
土地名称
所在地
敷地面積
平成30年度
固定資産税評価額
取得時期
利用しなくなった時期 平成30事業年度維持保全経費
処分が決まっている土地 東京競馬場 是政
周辺飛地
東京都
府中市
125.43m2 2262万余円 昭和42年 詳細不明  
馬事公苑 鶴田町
周辺飛地
栃木県
宇都宮市
13,193.00m2 1億2467万余円 昭和29年 平成12年  
13,318.43m2 1億4729万余円      
利用計画又は処分方針が策定されていない土地 東京競馬場 是政
周辺飛地
東京都
府中市
636.00m2 9228万余円 昭和29年 詳細不明 94万余円
日吉町
周辺飛地
55.00m2 742万余円 昭和29年 詳細不明 7万余円
八幡町
周辺飛地
256.30m2 4083万余円 昭和29年 詳細不明 40万余円
小計
947.30m2 1億4054万余円     142万余円
宮崎育成牧場 十文字
周辺飛地
宮崎県
宮崎市
384.69m2 1731万余円 昭和29年 詳細不明 22万余円
美浦トレーニング・センター 大清水
周辺飛地
茨城県
稲敷郡美浦村
5,281.00m2 17万余円 昭和50年 詳細不明 111万余円
6,612.99m2 1億5803万余円     276万余円
合計
19,931.42m2 3億0532万余円      

注 「利用しなくなった時期」欄の「詳細不明」は、資料等により、当該土地を平成30事業年度末現在で少なくとも3年以上利用していないことを確認できたが、当該土地を利用しなくなった時期は確認できなかったことを示す。

他方、貴会本部の調査において未利用地として報告されていなかった事業外用地の利用状況を確認したところ、表2のとおり、30事業年度末現在で3競馬場及び1附属機関(注4)が管理する土地計23,785.95m2(固定資産税評価額計13億8681万余円)が現に利用されていない状況となっており、未利用地が適切に把握されていなかった。これは、調査において、競馬場、附属機関等の利用意向の有無にかかわらず、事業外用地のうち現に利用されていない全ての土地を未利用地として報告することとされていなかったり、一筆の土地の中で利用されている部分と利用されていない部分が混在する場合の報告上の取扱いを定めていなかったりなどしていて、未利用地が適切に把握できるものとなっていなかったことによると認められる。

(注4)
3競馬場及び1附属機関  中山、東京、阪神各競馬場、競走馬総合研究所

表2 調査において報告されていなかった未利用地

名称
土地名称
所在地
敷地面積
平成30年度
固定資産税評価額
取得時期
利用しなくなった時期 平成30事業年度維持保全経費
中山競馬場 古作舎宅
跡地
千葉県
船橋市
2,035.49m2 2億1562万余円 昭和32年 昭和56年 284万余円
さつき寮
跡地
千葉県
市川市
1,606.00m2 1億0356万余円 昭和39年 平成27年 126万余円
3,641.49m2 3億1918万余円     410万余円
東京競馬場 是政
周辺飛地
東京都
府中市
607.00m2 8909万余円 昭和29年 詳細不明 89万余円
清水が丘
周辺飛地
751.00m2 1億3650万余円 昭和29年 詳細不明 133万余円
本町
周辺飛地
3,425.24m2 3億3884万余円 昭和48年から61年の間に複数回にわたり取得 平成18年 339万余円
4,783.24m2 5億6443万余円     563万余円
阪神競馬場 甲武寮
敷地
注(1)
兵庫県
西宮市
5,722.22m2 5億0280万余円 昭和39年 平成23年 274万余円
競走馬総合研究所 後山
周辺飛地
福島県
いわき市
9,639.00m2 39万余円 平成2年 詳細不明 1万余円
合計
23,785.95m2 13億8681万余円     1249万余円
  • 注(1) 敷地面積等は、土地の固定資産台帳等の計数を、当該土地に所在する全建物の建築面積に対する有効に利用していない建物の建築面積の割合で案分するなどした計数である。
  • 注(2) 「利用しなくなった時期」欄の「詳細不明」は、資料等により、当該土地を平成30事業年度末現在で少なくとも3年以上利用していないことを確認できたが、当該土地を利用しなくなった時期は確認できなかったことを示す。

そして、前記の調査において報告された未利用地計6,612.99m2と上記の調査において報告されていなかった未利用地計23,785.95m2を合わせた未利用地は、合計30,398.94m2(固定資産税評価額計15億4484万余円。以下「30事業年度末現在の未利用地」という。)であり、舎宅等を取り壊した後に更地のまま保有されるなどしていて、30事業年度末現在で少なくとも3年以上にわたり利用されていなかった。

また、30事業年度末現在の未利用地に係る利用計画又は処分方針の策定状況を確認したところ、未利用地として報告されていた土地を含め、利用計画又は処分方針が策定されていなかった。

上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

中山競馬場は、昭和56年に古作舎宅を解体したが、その跡地(四筆計2,035.49m2、固定資産税評価額計2億1562万余円)については、今後の舎宅等の需給状況に応じて舎宅等を建てるための候補地と想定していたため、更地のまま保有し続けていた。このため、調査において、現に利用されていない土地であるが、当該土地を未利用地として報告していなかった。また、舎宅等としての利用計画も策定していなかった。

そして、30事業年度末現在の未利用地については、毎事業年度、維持保全経費として、固定資産税、都市計画税及び管理費(除草作業に要する費用)を支払っていて、30事業年度の実績は計1525万余円となっている。

(改善を必要とする事態)

貴会において、未利用地を適切に把握していない事態及び利用計画又は処分方針を策定しないまま未利用地を保有し続けている事態は適切ではなく、改善を図る要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、貴会において、事業外用地のうち現に利用していない全ての土地を未利用地として把握するための調査を実施する必要性についての検討が十分でなかったこと、未利用地の利用計画及び処分方針を策定するための体制が整備されていなかったことなどによると認められる。

3 本院が要求する改善の処置

貴会は、今後も、将来にわたる経費負担を抑制する取組を継続的に実施するなど、業務運営の効率化を図ることとしている。

ついては、貴会において、調査により、事業外用地のうち現に利用していない全ての土地を未利用地として適切に把握するとともに、把握した未利用地について、利用計画を策定したり、売却等の処分方針を策定したりするための体制を整備することにより、未利用地の利用又は処分が図られるよう改善の処置を要求する。