ページトップ
  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第4 東京地下鉄株式会社|
  • 不当事項|
  • 工事

車両基地の侵入防止柵改良工事等の施行に当たり、フェンス設置工費の積算を誤ったため、契約額が割高となっていたもの[東京地下鉄株式会社本社](247)


科目
建設仮勘定、鉄道事業営業費
部局等
東京地下鉄株式会社本社
工事名
和光車両基地侵入防止柵改良その他工事
工事の概要
和光車両基地のセキュリティ機能強化を目的として、侵入防止柵の改良工事等を行うもの
契約額
414,063,360円(平成29、30両年度)
請負人
東光産業株式会社
契約
平成29年4月 見積合わせ競争契約
支払
平成29年5月、30年7月、31年4月
割高となっていた契約額
1710万円(平成29、30両年度)

1 工事の概要

東京地下鉄株式会社(以下「会社」という。)は、平成29、30両年度に、「和光車両基地侵入防止柵改良その他工事」を見積合わせ競争契約により、東光産業株式会社と契約額414,063,360円で締結して施行している。

本件工事は、埼玉県和光市に所在する和光車両基地(以下「車両基地」という。)のセキュリティ機能強化を目的として、車両基地の外周に昭和62年に設置された高さ1.75mから2.7mまでの侵入防止柵(以下「フェンス」という。)等延長計1,685mを撤去した後、新たに高さ3.37mから3.41mまでのフェンス等を同一箇所に設置するなどするフェンス設置工等を行うものである。

会社は、フェンス設置工で新たに設置するフェンス(延長計1,685m)のうち、延長計508.3mの部分については、車両基地が住宅地に隣接していることから、近隣住民のプライバシーの確保のために、透視性の低いブラインド構造のフェンス(以下「ブラインドフェンス」という。)を採用して、設置箇所の地盤の形状に合わせて、水平地盤用のブラインドフェンス(以下「水平用フェンス」という。)延長計492.3mと、勾配地盤用のブラインドフェンス(以下「勾配用フェンス」という。)延長計16.0mを設置している。

会社は、本件工事の予定価格の積算を、会社が定めた工務部土木工事費積算要領等(以下「積算要領等」という。)に基づき、積算要領等に示された各種算定式等を電子データ化した積算システム(以下「積算システム」という。)に、数量計算書に記載された数量を入力するなどして行っている。そして、フェンス設置工費については、水平用フェンスの延長1m当たりの単価57,360円及び勾配用フェンスの同80,304円にそれぞれの設置延長を乗じてブラインドフェンスの材料費を算出するなどして積算していた。

2 検査の結果

本院は、経済性等の観点から、予定価格の積算が適切に行われているかなどに着眼して、本件工事を対象として、会社本社において、契約書、予定価格の積算書、数量計算書、図面等の書類及び現地の状況を確認するなどして会計実地検査を行った。

検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

会社は、フェンス設置工費のうちブラインドフェンスの材料費の算出に当たり、数量計算書に記載された水平用フェンスの延長492.3mを積算システムに入力すべきところ、数量計算書の欄を見誤って1行上に記載されていたフェンスを支えるための基礎ブロック115か所の数値を用いて115.0mと入力し、また、勾配用フェンスの延長16.0mを積算システムに入力すべきところ、同様に水平用フェンスの延長492.3mの数値を用いて492.3mと入力して、フェンス設置工費を積算していた。

したがって、水平用フェンス及び勾配用フェンスの正しい設置延長を用いるなどして本件工事費を修正計算すると、他の項目において積算過小となっていた費用を考慮しても、諸経費等を含めた工事費の総額は396,864,360円となることから、本件契約額414,063,360円はこれに比べて約1710万円割高となっていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、会社において、本件工事の予定価格の積算に対する確認が十分でなかったことなどによると認められる。