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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第14 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構|
  • 不当事項|
  • 役務

職員宿舎修繕業務において、入居停止の措置や職員宿舎の入居状況を考慮して業務を見直すことについての検討が十分でなかったなどのため、必要のない修繕業務を実施していたもの[独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構福岡支部](250)


科目
経常費用
部局等
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構福岡支部
契約名
水巻第二職員宿舎修繕業務請負契約
契約の概要
水巻第二職員宿舎20戸のうち10戸の浴室等の修繕を行うもの
契約の相手方
株式会社北九州総建
契約
平成30年2月 一般競争契約
支払
平成30年4月
支払額
4,190,400円(平成30年度)
不当と認める支払額
3,532,350円(平成30年度)

1 職員宿舎の運営方針の概要等

(1) 職員宿舎の運営方針の概要

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」という。)は、会計規程(平成15年規程第14号)等に基づき、収入、支出、契約その他の会計に関する事務を執行させるため、都道府県支部(以下「支部」という。)の契約担当役及び不動産管理役を支部長とし、併せて、分任不動産管理者を支部の下に置かれた職業能力開発促進センター所長等としている。そして、不動産管理規程(平成23年規程第28号)によれば、不動産管理役及び分任不動産管理者は、管理する建物等の点検、必要な補修等を適切に行わなければならないこととされている。

機構本部は、「職員用宿舎の運営方針等について」(平成25年2月1日付け24高障求総発第194号。以下「運営方針等」という。)を定めており、運営方針等によれば、鉄筋コンクリート造の職員宿舎のうち、老朽化等により入居率が著しく低下し、今後の活用が見込まれない職員宿舎及び敷地全体の利用率が著しく低い職員宿舎については、耐用年数にかかわらず廃止することなどとされている。そして、継続して運営する職員宿舎については、毎年11月頃に翌年度の職員宿舎運営管理経費を把握するために、支部等に対して職員宿舎修繕等希望調査を行い、その調査結果を踏まえて、翌年3月末に該当する支部等に対して翌年度の修繕に係る予算を承認している。

(2) 契約の概要

機構の福岡支部は、福岡支部福岡職業能力開発センター(以下「福岡センター」という。)が管理する水巻第二職員宿舎(以下「水巻宿舎」という。)全20戸のうち10戸の浴室等の修繕を請け負わせる契約を、平成30年2月に、一般競争により契約額4,190,400円で株式会社北九州総建と締結して、同年4月に同額を支払っている。

2 検査の結果

本院は、経済性等の観点から、職員宿舎の見直しに応じた修繕業務が適切に実施されているかなどに着眼して、本件契約を対象として、福岡支部において、契約書等の関係書類を確認するとともに、本部において、職員宿舎の見直し状況等について聴取するなどして会計実地検査を行った。

検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

福岡センターは、水巻宿舎について、老朽化による浴室等の修繕を行う必要があることを平成29年度職員宿舎修繕等希望調査票に記載して28年12月に本部に提出し、福岡センター及び福岡支部は、29年3月に本部から水巻宿舎の修繕に係る29年度予算額456万円の承認を受けていた。

その後、本部は、同年12月に福岡センターから提出を受けた平成30年度職員宿舎修繕等希望調査票により、水巻宿舎について、①同年12月時点の入居戸数が20戸のうち6戸であること、②築43年と老朽化していること、③今後、給排水設備等の大規模改修に多額を要することなどを把握したことなどから、水巻宿舎の用途廃止に向けて、30年2月14日付けで福岡センター所長に対して事務連絡を発し、水巻宿舎について、新たな入居を停止することとしていた。

一方、福岡支部は、同年2月26日に、水巻宿舎全20戸のうち10戸の浴室等の修繕に係る契約を締結して、修繕業務完了後の同年4月26日に契約金額と同額を同社に支払っていた。

しかし、水巻宿舎の新たな入居を停止することとした前記の事務連絡が本部から発出された同年2月14日時点において、上記修繕の対象とした10戸のうち職員が入居していたのは3戸のみとなっており、残りの7戸については入居者がいない状況となっていた。そして、前記の事務連絡は福岡支部に対しても情報提供され、福岡支部は、水巻宿舎の修繕業務の実施の必要性について検討して、新規採用職員等が福岡センター等に配置された場合を想定し、同年3月に本部に入居停止の措置の解除を申し入れることを前提として水巻宿舎の修繕を行うことを決定していたが、その後も福岡支部は、本部に対して入居停止の措置の解除を申し入れていなかった。

したがって、前記10戸のうち7戸については修繕を行う必要はなく、これに係る支払額3,532,350円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、福岡支部において水巻宿舎に対する入居停止の措置や水巻宿舎の入居状況を考慮して修繕業務を見直すことについての検討が十分でなかったこと、本部において福岡支部に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。