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コンテナ集貨事業の業務委託料について、取扱個数の増加分の算出を誤ったため支払額が過大となっていたもの[阪神国際港湾株式会社](254)


科目
営業費用
部局等
阪神国際港湾株式会社
契約名
(1) 海外フィーダー貨物等誘致事業(平成27年度)
(2) 海外フィーダー等貨物誘致事業(平成29年度)
契約の概要
西日本等諸港のコンテナ貨物を新規に又は他港から転換して阪神港に集貨する事業を外航コンテナ船社等に委託するもの
契約の相手方
(1) オリエントオーバーシーズコンテナラインリミテッド日本支社
(2) NYK Container Line株式会社
契約
(1) 平成27年8月 随意契約
(2) 平成29年4月 随意契約
契約額
(1) 301,820,000円(平成27年度)
(2) 486,605,000円(平成29年度)
計 788,425,000円
過大となっていた支払額
(1) 12,010,000円(平成27年度)
(2) 188,640,000円(平成29年度)
計 200,650,000円

1 コンテナ集貨事業の概要

阪神国際港湾株式会社(以下「会社」という。)は、港湾法(昭和25年法律第218号)等の規定により大阪、神戸両港(以下「阪神港」という。)の港湾運営会社として指定されている。

会社は、平成26年度から、阪神港におけるコンテナ貨物の取扱個数の増大及び外航コンテナ航路の維持・拡大を図ることを目的として、西日本等諸港のコンテナ貨物を新規に又は他港から転換して阪神港に集貨する事業(以下「コンテナ集貨事業」という。)を外航コンテナ船社等(以下「事業者」という。)に委託して実施している。そして、コンテナ集貨事業の実施に当たり、国際戦略港湾競争力強化対策事業費補助金交付要綱(平成26年国港総第184号)に基づき、国土交通省から国際戦略港湾競争力強化対策事業費補助金の交付を受けている。

会社は、毎年度、「阪神港の集貨事業募集実施要領(共通事項)」等を策定して、26、27両年度のコンテナ集貨事業についてはそれぞれ前年度、28年度以降のコンテナ集貨事業については26年度から前年度までの各年度のうちコンテナ貨物の取扱個数(1TEU(注)当たりに換算した個数。以下同じ。)が最も多い年度(以下、これらを「比較対象年度」という。)と比べて、取扱個数が増加することが見込まれるものを委託の対象として募集することとしている。業務委託料は、比較対象年度からの取扱個数の増加分に1TEU当たりの契約単価を乗じた額とされており、会社は、応募する事業者から事業計画提案書を提出させ、これを審査して委託するコンテナ集貨事業を決定し、事業者と契約単価について協議して合意した上で業務委託契約を締結することとしている。そして、当該委託業務の完了時に、会社は、比較対象年度からの取扱個数の増加分に契約単価を乗じて算定した業務委託料等を記載した事業実績報告書を事業者から提出させ、これを確認して業務委託料を支払うこととしている。

会社は、コンテナ集貨事業として、(1)27年度にオリエントオーバーシーズコンテナラインリミテッド日本支社(以下「OOCL」という。)に1契約40事業を契約金額301,820,000円(国庫補助金交付額150,909,560円)で、また、(2)29年度にNYK Container Line株式会社(以下「NYK」という。)に1契約8事業を契約金額486,605,000円(国庫補助金交付額242,269,106円)でそれぞれ委託して実施しており、契約金額は計788,425,000円(国庫補助金交付額計393,178,666円)となっている。

(注)
TEU  Twenty‐foot Equivalent Unit(20フィート換算数量)。長さの異なるコンテナの合計取扱量を計算するため、長さ6.058m(20フィート)のコンテナに換算した場合のコンテナ個数の単位

2 検査の結果

本院は、合規性等の観点から、業務委託料は適切に算定されているかなどに着眼して、会社において、事業者から提出された事業実績報告書等を確認するなどして会計実地検査を行った。

検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

会社は、OOCLから(1)の委託業務の完了時に、40事業における取扱個数の増加分計45,661TEUに契約単価(5,000円から10,000円)を乗じて業務委託料を301,820,000円とした事業実績報告書が提出されたことから、これを確認して同額をOOCLに支払っていた。また、会社は、NYKから(2)の委託業務の完了時に、8事業における取扱個数の増加分計18,596TEUに契約単価(10,000円から30,000円)を乗じて業務委託料を486,605,000円とした事業実績報告書が提出されたことから、これを確認して同額をNYKに支払っていた。

しかし、上記取扱個数の増加分の算出方法についてみたところ、のとおり、OOCLは、27年度の取扱個数から比較対象年度である26年度の取扱個数を差し引くべきであるのに、誤って27年度の取扱個数から比較対象年度である26年度における取扱個数の増加分を差し引くなどしていたことから、40事業のうち7事業で取扱個数の増加分を計1,479TEU過大に算出していた。また、NYKは、29年度の取扱個数から比較対象年度である28年度の取扱個数を差し引くべきであるのに、誤って29年度の取扱個数から比較対象年度である28年度における取扱個数の増加分を差し引いていたことから、8事業のうち3事業で取扱個数の増加分を計7,382TEU過大に算出していた。

表 事業実績報告書に記載された取扱個数の増加分と適正に算出した取扱個数の増加分

(単位:TEU)
業務委託実施年度 事業者名 該当事業数 比較対象年度における前年度からの取扱個数の増加分
(A)
比較対象年度の取扱個数
(B)
当該年度の取扱個数
(C)
事業実績報告書に記載された取扱個数の増加分
(D)=(C)-(A)
適正に算出した取扱個数の増加分
(E)=(C)-(B)
過大となっていた取扱個数の増加分
(D)-(E)
平成27 OOCL 7 15,027 16,503 30,795 (注) 15,771 14,292 1,479
29 NYK 3 8,768 16,150 26,167 17,399 10,017 7,382

(注) 誤って計算している事業があるため、(C)-(A)の値が(D)と一致していない。

そこで、上記表の適正に算出した取扱個数の増加分により適正な業務委託料を算定すると、(1)は289,810,000円(国庫補助金相当額144,904,577円)、(2)は297,965,000円(同148,349,717円)となり、(1)の業務委託料301,820,000円(国庫補助金交付額150,909,560円)及び(2)の業務委託料486,605,000円(同242,269,106円)は、これに比べて、それぞれ(1)12,010,000円(国庫補助金相当額6,004,983円)及び(2)188,640,000円(同93,919,389円)、計200,650,000円(同99,924,372円)過大となっていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、会社において、事業者から提出された事業実績報告書の確認が十分でなかったことなどによると認められる。

(「交付額の算定が適切でなかったため、補助金が過大に交付されていたもの」参照)