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  • 平成30年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第3節 不当事項に係る是正措置等の検査の結果

第2 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項に係る処置の履行状況について


検査対象
32省庁等
検査の概要
本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項として検査報告に掲記したものについて、当該処置が履行されるまでその履行状況を継続して検査するもの
改善の処置の履行状況を検査した本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項の件数
59件(検査報告 平成25年度~29年度)

1 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項に関する検査の概要

(1) 検査の概要

本院は、検査の過程において会計検査院法第34条又は第36条の規定による意見表示又は処置要求を必要とする事態として指摘したところ、その指摘を契機として省庁及び団体(以下「省庁等」という。)において改善の処置を講じたものを、検査報告に本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項(以下「処置済事項」という。)として掲記している。

一方、本院は、毎年次策定している会計検査の基本方針にのっとり、検査の結果が予算の編成・執行や事業運営等に的確に反映され実効あるものとなるように、その後の是正改善等の状況を継続して検査することとしている。検査報告に掲記した処置済事項についても、省庁等が制度を改めるなどの改善の処置が履行されること(改善の処置に基づき、その後の会計経理等が適切に行われることをいう。以下同じ。)により初めて実効あるものとなることから、当該改善の処置が履行されるまでその履行状況を継続して検査している。

(2) 平成29年度決算検査報告に掲記した改善の処置の履行状況

本院は、平成29年度決算検査報告に、平成24年度から28年度までの検査報告に掲記した処置済事項のうち、平成28年度決算検査報告において改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととしていたもの73件から、検査報告掲記時点で既に履行済であったため検査の必要がなかったもの1件及び30年次(29年10月から30年9月まで)は履行状況の検査の対象となる会計経理等の実績がなかったことから検査を実施しなかったもの(以下「検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの」という。)8件を除いた64件についての検査の結果を掲記した。

その内訳は、改善の処置が履行されていたもの(以下「履行済」という。)が45件、検査した範囲では改善の処置が履行されていたもの(以下「検査分履行済」という。)が19件、改善の処置が一部履行されていなかったもの(以下「一部不履行」という。)及び改善の処置が全く履行されていなかったもの(以下「不履行」という。)はそれぞれ0件となっていた。

そして、上記の検査分履行済19件及び30年次は検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの8件の計27件並びに平成29年度決算検査報告に新たに掲記した処置済事項39件の合計66件について、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととした。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、合規性等の観点から、改善の処置が履行されているかなどに着眼して、上記66件のうち、検査報告掲記時点で既に履行済であったなどのため検査の必要がなかったもの(以下「検査の必要がなかったもの」という。)2件及び今年次は検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの5件を除いた59件について、30年8月から令和元年7月までの間に、関係する32省庁等において会計実地検査を行った。

(検査の結果)

上記の59件について改善の処置の履行状況を検査したところ、履行済が46件、検査分履行済が13件、一部不履行及び不履行がそれぞれ0件となっていた。これを、平成29年度決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況と、平成25年度から28年度までの検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況とに分けて記述すると、次のとおりである。

(1) 平成29年度決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況

平成29年度決算検査報告に掲記した処置済事項39件のうち、検査の必要がなかったもの2件及び検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの3件を除いた34件について検査したところ、履行済が31件、検査分履行済が3件となっていた。

(2) 25年度から28年度までの検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況

25年度から28年度までの検査報告に掲記した処置済事項のうち、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととしていたもの27件のうち、検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの2件を除いた25件について検査したところ、履行済が15件、検査分履行済が10件となっていた。

(1)及び(2)において記述した改善の処置の履行状況を検査報告年度別及び省庁等別に示すと、表1及び表2のとおりである。

表1 検査報告年度別の改善の処置の履行状況

(単位:件)
検査報告年度 改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととした処置済事項  
検査の必要がなかったもの 検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの 検査対象の処置済事項  
改善の処置の履行状況
(A) (B) (C) (A)-(B)-(C) 履行済 検査分履行済 一部不履行 不履行
平成
25年度
3 3 3
26年度 5 5 4 1
27年度 9 1 8 2 6
28年度 10 1 9 6 3
27 2 25 15 10
29年度 39 2 3 34 31 3
合計 66 2 5 59 46 13

表2 省庁等別の改善の処置の履行状況

(単位:件)
省庁等名 検査対象の処置済事項 改善の処置の履行状況
履行済 検査分履行済 一部不履行 不履行
内閣府(内閣府本府) 1 1
同(警察庁) 4 1 3
総務省 1 1
法務省 2 1 1
財務省 1 1
文部科学省 2 2
厚生労働省 注(2)
2
注(2)
2
農林水産省 9 9
国土交通省 11 7 4
環境省 1 1
防衛省 4 3 1
沖縄振興開発金融公庫 1 1
日本私立学校振興・共済事業団 1 1
中間貯蔵・環境安全事業株式会社 1 1
東日本高速道路株式会社 1 1
西日本高速道路株式会社 2 2
本州四国連絡高速道路株式会社 1 1
日本年金機構 注(2)
1
注(2)
1
独立行政法人国立青少年教育振興機構 1 1
国立研究開発法人防災科学技術研究所 1 1
独立行政法人国際協力機構 1 1
国立研究開発法人理化学研究所 1 1
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 1 1
独立行政法人情報処理推進機構 1 1
独立行政法人住宅金融支援機構 1 1
独立行政法人勤労者退職金共済機構 1 1
日本放送協会 1 1
株式会社商工組合中央金庫 1 1
北海道旅客鉄道株式会社 1 1
四国旅客鉄道株式会社 1 1
東日本電信電話株式会社 1 1
西日本電信電話株式会社 1 1
59 46 13
  • 注(1) 省庁等名は、令和元年7月31日現在の名称としている。
  • 注(2) 厚生労働省及び日本年金機構のうち各1件は、厚生労働省及び日本年金機構の両方に係る処置済事項であり、件数の合計に当たっては、その重複分を控除している。

3 本院の所見

処置済事項については、省庁等において改善の処置を講じた事項に係る処置が確実に履行されることが肝要である。

本院は、前記の検査分履行済13件、検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの5件及び平成30年度決算検査報告に掲記した処置済事項44件の計62件について、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととする。