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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 令和元年7月|

独立行政法人改革等による制度の見直しに係る主務省及び独立行政法人の対応状況について


2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

基本的な方針によれば、独立行政法人改革等の目的は、独立行政法人制度を導入した本来の趣旨にのっとり、主務大臣から与えられた明確なミッションの下で、法人の長のリーダーシップに基づく自主的・戦略的な運営、適切なガバナンスにより、国民に対する説明責任を果たしつつ、独立行政法人の政策実施機能の最大化を図ることなどであるとされている。

上記の目的を達成するために、独立行政法人改革等においては、独立行政法人を事務及び事業の特性に応じて分類した上で主務大臣が中期目標等を策定し、自ら評価を行うこと、中期目標等に定められた「一定の事業等のまとまり」ごとの区分に基づくセグメント情報を作成して評価にセグメント情報を活用すること、運営費交付金の収益化基準を原則、業務達成基準として経営努力の促進を図ること、内部統制・ガバナンスの強化等の業務運営を改善する仕組みを構築することなどとされた。

そして、独立行政法人改革等を進めるために、通則法が改正されるとともに、会計基準等が改訂されている。

そこで、会計検査院は、独立行政法人改革等による制度の見直しに係る主務省及び独立行政法人の対応状況について、正確性、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、次の点に着眼して検査した。

ア 独立行政法人が政策実施機能を発揮する上で、主務大臣の下での政策のPDCAサイクルを機能させるための主務大臣の目標策定及び評価の状況並びにセグメント情報等の評価への活用状況はどのようになっているか。

イ 独立行政法人の自律的なマネジメントの実現を図るための管理会計の考え方がどのように取り入れられているか、経営努力の促進等に係る取組はどのようになっているか。

ウ 内部統制システムの整備等及び主務大臣による監事の任命、監事の機能強化等による独立行政法人の内部統制・ガバナンスの強化の状況等はどのようになっているか。

(2) 検査の対象及び方法

29事業年度末現在における各独立行政法人の主務省11府省(注4)及び全87独立行政法人(29事業年度の経常費用の額計16兆4628億余円及び87法人のうち29事業年度に運営費交付金が交付されている74法人に対する運営費交付金交付額計1兆5230億余円)を対象として、計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)に基づき独立行政法人から提出された財務諸表等のほか、独立行政法人改革等に伴う業務の実施状況等に係る調書等の提出を求めて、これらを分析するとともに、11府省のうち総務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省及び87法人のうち39法人(注5)において会計実地検査を行った。

(注4)
11府省  内閣府、総務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省
(注5)
39法人  国立公文書館、日本医療研究開発機構、国民生活センター、情報通信研究機構、国際交流基金、酒類総合研究所、国立印刷局、国立特別支援教育総合研究所、国立青少年教育振興機構、物質・材料研究機構、量子科学技術研究開発機構、国立美術館、国立文化財機構、教職員支援機構、日本スポーツ振興センター、日本芸術文化振興会、国立高等専門学校機構、日本原子力研究開発機構、労働政策研究・研修機構、国立病院機構、医薬品医療機器総合機構、医薬基盤・健康・栄養研究所、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、農林水産消費安全技術センター、農業・食品産業技術総合研究機構、森林研究・整備機構、水産研究・教育機構、工業所有権情報・研修館、製品評価技術基盤機構、海技教育機構、航空大学校、自動車技術総合機構、国際観光振興機構、水資源機構、国立環境研究所、駐留軍等労働者労務管理機構