会計検査院の検査を必要とするものは、会計検査院法第22条の規定により、次のとおりとされている。
このほか、会計検査院は、必要と認めるとき又は内閣の請求があるときは、会計検査院法第23条第1項の規定により、次に掲げる会計経理の検査をすることができることとされている。
令和2年次の検査(検査実施期間 元年10月から2年9月まで)において検査の対象となったもののうち、⑤は政府関係機関、事業団、独立行政法人等212法人の会計、⑥は日本放送協会の会計、⑨は3,435の団体等の会計、⑩は8法人の会計、⑪は40法人の会計、⑫は3法人の会計、⑬は27法人等の契約に関する会計である。
上記検査の対象のうち主なものの令和元年度決算等の概要は、第6章の「歳入歳出決算その他検査対象の概要」に記載したとおりである。
検査対象機関に対する検査の主な方法は、書面検査及び実地検査である。
書面検査は、検査対象となる会計を取り扱う機関から、会計検査院の定める計算証明規則により、当該機関で行った会計経理の実績を計数的に表示した計算書、その裏付けとなる各種の契約書、請求書、領収証書等の証拠書類等を提出させ、これらの書類等について在庁して常時行う検査である。
会計検査院は、元年度分の計算書12万5千余冊を受領するとともに、それらの証拠書類として、紙媒体3892万余枚を受領したほか、電子情報処理組織の使用又は電磁的記録媒体により受領しており、これらの書類等について書面検査を実施した。
また、実地検査は、検査対象機関である省庁等の官署、事務所、国が補助金その他の財政援助を与えた団体等に職員を派遣して、実地に、関係帳簿や事務・事業の実態を調査したり、関係者から説明を聴取したりなどして行う検査である。
会計検査院が2年次に省庁等の官署、事務所等において実施した実地検査の実施率を検査上の重要性に応じて区分してみると、次のとおり、①本省、本社等の中央機関、地方ブロックごとに設置されている主要な地方出先機関等の検査上重要な箇所4,461か所についての実施率は24.3%、②地方出先機関等であって検査上の重要性が①に準ずる箇所6,624か所についての実施率は9.6%となっており、これらを合わせた計11,085か所についての実施率は15.5%となっている。
区分 |
左の箇所数
(A) |
左のうち検査を実施した箇所数(B) | 実施率
(%) |
---|---|---|---|
① 検査上重要な箇所(本省、本社、主要な地方出先機関等) |
4,461 | 1,088 | 24.3 |
② 上記の①に準ずる箇所(その他の地方出先機関等) |
6,624 | 638 | 9.6 |
計 | 11,085 | 1,726 | 15.5 |
(注) ①及び②以外の箇所(郵便局、駅等)は20,422か所のうち24か所において実地検査を実施しており、これらを含めた実施率は5.5%となっている。
上記のほか、国が補助金その他の財政援助を与えた前記3,435の団体等について実地検査を実施した。
なお、2年次においては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止への対応等として、2年4月及び5月は全ての実地検査を中止し、6月以降についても同感染症による検査対象機関への影響等に配慮しつつ、検査対象機関等を一部に限定するなどして実施した。
そして、これらの実地検査に要した人日数は、1万7千6百余人日となっている。
また、検査の進行に伴い、疑義のある事態について、疑問点をただしたり見解を求めたりなどするために、関係者に対して書面をもって質問を発しており、2年次の検査において発した質問は4百余事項となっている。