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  • 令和元年度|
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  • (1) 補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

特定有人国境離島地域社会維持推進交付金を過大に交付していたもの[内閣府本府](4)


(1件 不当と認める国庫補助金 17,174,834円)

 
部局等
補助事業者等
間接補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(4)
内閣府本府
長崎県五島市
株式会社鯛福
特定有人国境離島地域社会維持推進交付金
29、30 50,124 30,074 28,624 17,174

この交付金事業は、「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法」(平成28年法律第33号)に基づき、特定有人国境離島地域の地域社会の維持を図るために、都道県が定める計画に基づき都道県、市町村等が実施する事業に要する経費の一部について、内閣府本府が特定有人国境離島地域社会維持推進交付金(以下「交付金」という。)を交付するものである。そして、特定有人国境離島地域社会維持推進交付金交付要綱(平成29年府海事第7号。以下「交付要綱」という。)等によれば、市町村に対して交付金を直接交付する場合における交付金の交付決定等に関する事務は、都道県を経由して行うとされており、交付金の交付対象事業のうち、輸送コスト支援事業については、交付対象経費の10分の6以内等の額の交付金を民間事業者等の事業実施者に交付することとされている。

輸送コスト支援事業は、交付要綱等によれば、特定有人国境離島地域で生産された農水産物(生鮮品に限る。以下同じ。)を本土に運搬する際等の輸送費を低廉化するものとされている。そして、輸送コスト支援事業の交付対象経費は、特定有人国境離島地域内において生産された農水産物を本土に運搬する際等に必要な経費であって、事業実施者が実際に支出した海上輸送費又は航空輸送費及びこれらと一体的に行われる役務費とされており、フェリー会社等の第三者に対して支払った経費が対象となるとされている。ただし、漁業協同組合のように自らが保有する船舶で運搬する場合には、事業実施者内の部門間において支払うなどした経費が対象となるとされている。

株式会社鯛福(以下「会社」という。)は、長崎県五島市内で買い付けた海産物を本土で販売する仲買業を営むほか、海産物を本土に運搬する輸送業も営んでいる。会社は、平成29、30両年度において、事業実施者内の部門間において支払うなどした海産物の本土への運搬に係る経費が交付金の交付対象となるという五島市の説明を踏まえて、社内の輸送部門から仲買部門に請求した運搬に係る経費計50,124,080円を輸送コスト支援事業の交付対象経費とする実績報告書を同市に提出していた。そして、同市は、これを審査した上で長崎県を経由して内閣府本府に提出し、これにより、会社は、交付金計30,074,448円の交付を受けていた。

しかし、会社は、船舶を保有しておらず、フェリーで海産物を本土に運搬していたことから、社内の輸送部門から仲買部門に請求した運搬に係る経費ではなく、フェリー会社に支払った経費に基づき交付対象経費を算定すべきであったと認められた。

したがって、フェリー会社に支払った経費により適正な交付対象経費を算定すると計21,499,358円となり、前記の交付対象経費50,124,080円との差額28,624,722円が過大になっており、これに係る交付金相当額17,174,834円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、会社及び同市において交付対象経費に対する理解が十分でなかったこと、長崎県及び内閣府本府において同市に対する指導等が十分でなかったことなどによると認められる。