(2件 不当と認める国庫補助金 74,859,053円)
子どものための教育・保育給付費国庫負担金(以下「負担金」という。)は、教育又は保育を受ける資格を有する小学校就学前の子ども(以下「支給認定子ども」という。)に対して社会福祉法人等が設置する保育所や認定こども園等(以下、これらを合わせて「民間保育所等」という。)が教育又は保育を実施する際に、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が当該民間保育所等に対して支弁する施設型給付費等の支給等に要する費用の一部について国が交付するものである。
負担金の交付額は、「平成27年度子どものための教育・保育給付費の国庫負担について」(平成27年府子本第152号。以下「交付要綱」という。)等に基づき、次のとおり算定することとなっている。
この費用の額及び利用者負担額は、それぞれ次のとおり算定することとなっている。
① 費用の額は、民間保育所等の所在地域、利用定員、支給認定子どもの年齢等の別に1人当たり月額で定められている基本分単価や各種加算の額に、各月の支給認定子ども数を乗ずるなどして算出した年間の合計額による。この基本分単価や各種加算の額は、例年、国家公務員の給与改定を踏まえて、年度途中に遡及して改定が行われている。ただし、民間保育所等による教育・保育の確保が著しく困難である離島その他の地域に居住する支給認定子どもに対して、市町村が民間保育所等において求められる職員の配置基準等の適用を受けない保育である特例保育を提供する場合の費用の額は、市町村が内閣府との間で毎年度協議を行った上で定める。また、教育を受ける資格を有する小学校就学前の子ども(以下「1号認定子ども」という。)については、費用の額に一定の率を乗じて当該合計額を減額する。
② 利用者負担額は、支給認定に係る保護者及びその配偶者の前年度分又は当年度分の市町村民税額等に応じて、階層別及び年齢区分別に各支給認定子どもにつき1人当たり月額で定められている利用者負担の上限額と内閣総理大臣が定める基準により年齢区分等別に月ごとに算定した支給認定子ども1人当たりの額のいずれか低い額により算出した年間の合計額による。
本院が、8道県の29事業主体において会計実地検査を行ったところ、2道県の2事業主体において、誤って、国家公務員の給与改定を踏まえた基本分単価等を適用した額に、更に基本分単価等の改定による増額分を重複して集計したり、特例保育を受けた1号認定子どもについて費用の額に一定の率を乗じていなかったりなどしており、費用の額を過大に算定するなどしていたため、国庫負担対象事業費が過大に精算されていて、負担金相当額計74,859,053円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、事業主体において交付要綱等についての理解が十分でなかったこと及び費用の額等を適切に集計しているかなどの調査確認が十分でなかったこと、2道県において事業実績報告書の審査が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
栃木県大田原市は、平成29年度の費用の額等の算定に当たり、同年度に行われた国家公務員の給与改定を踏まえて基本分単価等が改定されたことから、費用の額等を算定するための台帳に、改定後の基本分単価等を遡って適用するなどして費用の額等を算定していた。しかし、同市は、同台帳における費用の額が、改定後の基本分単価等を適用した額に、更に基本分単価等の改定による増額分を重複して集計するなどした額となっていたのに、この額をそのまま費用の額として事業実績報告書に記載するなどしていた。
このため、国庫負担対象事業費102,724,018円が過大に精算されていて、これに係る負担金相当額51,362,009円が過大となっていた。
以上を部局等別に示すと次のとおりである。
部局等 |
補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 |
事業費 |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(8) | 北海道 |
網走市 |
子どものための教育・保育給付費国庫負担金 |
27~29 | 1,067,661 | 533,830 | 46,994 | 23,497 |
(9) | 栃木県 |
大田原市 |
同 | 29 | 1,018,029 | 509,014 | 102,724 | 51,362 |
(8)(9)の計 | 2,085,690 | 1,042,845 | 149,718 | 74,859 |