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(3) 情報通信技術利活用事業費補助金(一般会計)により実施した事業において、事業が年度内に完了しておらず補助の対象とならないもの[総務本省](17)


1件 不当と認める国庫補助金 16,000,000円

情報通信技術利活用事業費補助金(一般会計)(以下「補助金」という。)は、情報通信技術利活用事業費補助金(一般会計)交付要綱(平成27年総国政第30号。以下「交付要綱」という。)等に基づき、医療、健康等データの利活用の促進に向けた医療情報連携基盤の高度化支援により、健康寿命増進、医療費適正化等に寄与することを目的とした事業を実施する事業主体に対して、必要な経費の全部又は一部を国が補助するものである。

本院が、1県、4市及び1一般社団法人において会計実地検査を行ったところ、1一般社団法人において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

 
部局等
補助事業者
(事業主体)
補助事業
年度
補助対象事業費 左に対する国庫補助金交付額 不当と認める補助対象事業費 不当と認める国庫補助金相当額
摘要
          千円 千円 千円 千円  
(17)
総務本省
一般社団法人みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会
クラウド型
EHR高度
化事業
29 182,956 182,956 16,000 16,000 補助の対象外

この補助事業は、一般社団法人みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会(以下「協議会」という。)が、平成29年度に、クラウド型EHR高度化事業として、宮城県内の医療情報連携基盤の高度化の実現を図るために、利用頻度の低いシステムの廃止、ハードウェア構成の見直し、異なる地域の医療情報ネットワークとの情報連携システムの構築等を行う事業(以下「システム構築等事業」という。)を実施したものである。

交付要綱によると、補助事業者は、補助金の交付申請に当たり、事業の完了予定日を設定するなどすることとなっている。そして、総務省によると、補助事業は、当該完了予定日の属する事業年度内に終えることが必要であるとしている。また、「平成28年度第2次補正予算クラウド型EHR高度化事業 情報通信技術利活用事業費補助金(一般会計)経理処理解説 総論編」(平成28年12月総務省作成)によると、補助事業期間中に完了していない業務に係る経費等は補助の対象として認められないことなどとなっている。

協議会は、システム構築等事業の実施に当たり、交付申請書において完了予定日を30年3月31日と設定し、請負契約計5件を締結していた。そして、協議会は、上記完了予定日の属する事業年度である29年度内にシステム構築等事業を終えたとして、上記の5契約に要した費用に一般管理費を加えるなどした額を補助対象事業費に含めて総務本省に実績報告書を提出し、額の確定を受けた上で補助金182,956,000円(補助対象事業費同額)の交付を受けていた。

しかし、上記5契約のうち、異なる地域の医療情報ネットワークとの情報連携システムの構築等を行う1契約(事業費14,814,815円、補助対象事業費同額)について、同システムの仕様の決定が遅延したことなどから、契約上実施することとなっているシステム開発、試験等の業務が29年度内に完了しておらず、実際にこれらの業務が完了したのは令和2年6月であったにもかかわらず、協議会は、平成29年度内にシステム構築等事業が完了したとして、虚偽の実績報告書を提出していた。

したがって、上記の1契約における事業費及びこれに係る一般管理費相当額の合計16,000,000円は補助の対象とは認められず、これに係る国庫補助金同額が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、協議会において補助事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、総務本省において本件補助事業に係る実績報告書等の審査及び協議会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。