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  • 令和元年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第5 外務省|
  • 平成30年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1) 政府開発援助の効果の発現について


(平成30年度決算検査報告2か所参照 リンク10121 20616-1)

1 本院が表示した意見

外務省及び独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)は、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保により一層積極的に貢献することを目的として、開発途上地域の政府等に対して政府開発援助を実施している。しかし、無償の資金供与による協力(以下「無償資金協力」という。)による給水設備改善計画において整備した濁度低減施設が使用されず給水水質の改善が図られていなかったり、ノン・プロジェクト無償資金協力(以下「ノン・プロ無償」という。)において事業実施機関に納入された一部の中古船が使用されていなかったり、草の根・人間の安全保障無償資金協力(以下「草の根無償」という。)による地域病院改善計画において病棟の建築工事が中断して完成していなかったり、有償の資金供与による協力(以下「有償資金協力」という。)による下水道整備事業において汚水処理後の水質が目標値を達成しておらず悪化傾向となっていたりしていて援助の効果が十分に発現していない事態が見受けられた。

したがって、外務大臣及び独立行政法人国際協力機構理事長に対して令和元年10月に、会計検査院法第36条の規定により、次のような措置を講ずるよう意見を表示した。

  • ア 無償資金協力
    • (ア) 給水設備改善計画については、機構において、当該計画における事態を踏まえて、今後、無償資金協力により、給水事業において濁度低減施設等を整備する場合、事業設計時に、既存の送水管の漏水等の影響を考慮して配水池への送水量の検討を十分に行うこと
    • (イ) ノン・プロ無償については、外務省において、当該事業における事態を踏まえて、今後、ノン・プロ無償に代わり新たに実施することとなった無償資金協力(経済社会開発計画)により、調達された中古船等に関して相手国の負担により実施される事業が進捗していないことを把握した場合、中古船等の活用について申入れを行った後も、適時に現地に赴くなどして事業の進捗を適切に把握すること
    • (ウ) 地域病院改善計画については、外務省において、事業実施機関に対して、中断している工事を再開して病棟を完成させるよう働きかけるとともに、当該計画における事態を踏まえて、今後、草の根無償を実施するに当たって、建物の建築工事を行う事業を実施する場合、事業実施機関からの申請書類等を基に事業実施機関が施工業者の技術的能力を適切に把握しているかについて十分に確認したり、工事が中断等した際には、その状況を速やかに報告することについて事業実施機関に周知したりすること
  • イ 有償資金協力
    • 下水道整備事業については、機構において、当該事業における事態を踏まえて、今後、有償資金協力を実施するに当たって、事業実施機関等から汚水処理後の水質の悪化が生じているとの報告を受けて改善のための助言を行った場合、その後の汚水処理後の水質の改善状況を十分に把握した上で、現状を踏まえた適切な維持管理が行われるよう事業実施機関等と十分に協議・検討を行うこと

2 当局が講じた措置

本院は、外務本省及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、外務省及び機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

  • ア 無償資金協力

    (ア) 給水設備改善計画については、機構において、2年6月に関係部署に対して通知を発して、今後、無償資金協力により、給水事業において濁度低減施設等を整備する場合、事業設計時に、既存の送水管の漏水等の影響を考慮して配水池への送水量の検討を十分に行うこととした。

    (イ) ノン・プロ無償については、外務省において、2年2月に在外公館に対して通知を発して、今後、ノン・プロ無償に代わり新たに実施することとなった無償資金協力(経済社会開発計画)により、調達された中古船等に関して相手国の負担により実施される事業が進捗していないことを把握した場合、中古船等の活用について申入れを行った後も、適時に現地に赴くなどして事業の進捗を適切に把握することとした。

    (ウ) 地域病院改善計画については、外務省において、事業実施機関等に対して、病棟建設のための経費を予算に計上するなどして、中断している工事を再開して病棟を完成させるよう働きかけを行った。その結果、病棟建設のための経費の一部が2020年度の州政府の予算に計上されるなどした。また、外務省は、2年6月に在外公館に対して通知を発して、今後、草の根無償を実施するに当たって、建物の建築工事を行う事業を実施する場合、事業実施機関からの申請書類等を基に事業実施機関が施工業者の技術的能力を適切に把握しているかについて十分に確認したり、工事が中断等した際には、その状況を速やかに報告することについて事業実施機関に周知したりすることとした。

  • イ 有償資金協力

    下水道整備事業については、機構において、2年6月に関係部署に対して通知を発して、今後、有償資金協力を実施するに当たって、事業実施機関等から汚水処理後の水質の悪化が生じているとの報告を受けて改善のための助言を行った場合、その後の汚水処理後の水質の改善状況を十分に把握した上で、現状を踏まえた適切な維持管理が行われるよう事業実施機関等と十分に協議・検討を行うこととした。