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管理が適切でなかったため、国有財産である土地が権原を有していない者により使用許可されていたもの[近畿財務局神戸財務事務所](22)


会計名
一般会計
部局等
近畿財務局神戸財務事務所
国有財産の分類
(分類)普通財産 (区分)土地
本件土地の概要
港湾法に基づき、国有港湾施設のうち運輸省(平成13年1月6日以降は国土交通省)から引き継いだ普通財産である土地であって、港湾管理者に貸し付けた後、貸付契約が解除され、利用されていないこととなっていたもの
管理が適切でなかった土地の面積
2,207.41m2
上記土地の国有財産台帳価格
167,763,160円(令和元年度末)

1 国有財産の管理等の概要

国有財産法(昭和23年法律第73号)によれば、国有財産は、直接公共の用に供し、又は供するものと決定したものなどである行政財産と、行政財産以外の一切の国有財産である普通財産とに分類されており、普通財産は、特別会計に属するもの等を除いて、原則として財務大臣が管理し、又は処分しなければならないこととされている。また、各省各庁の長は、その所管に属する国有財産について、良好な状態での維持及び保存、用途又は目的に応じた効率的な運用その他の適正な方法による管理等を行わなければならないこととされている。財務省は、所管する普通財産の管理等に関して、普通財産取扱規則(昭和40年大蔵省訓令第2号)等(以下「規則等」という。)を定めており、規則等によれば、財務事務所長等は、管轄区域内の普通財産について、常にその現状を適確に把握し、地域や社会の要請及び国の財政事情を踏まえつつ、その特性に応じた有効活用を図るための措置を講じることにより、効率的かつ適正に管理及び処分しなければならないこととされている。

上記普通財産のうち、港湾工事によって生じた国有港湾施設(港湾の管理運営に必要な土地を含む。)については、港湾法(昭和25年法律第218号)において、財務大臣(平成13年1月5日以前は大蔵大臣)が港湾管理者に貸し付け、又は管理を委託しなければならないこととなっている。そして、その貸付方法は、「国有港湾施設のうち国土交通省から引き継がれた普通財産の取扱いについて」(昭和33年蔵管第3444号大蔵省管財局長通達)により、港湾管理者に対して貸し付け、港湾管理者から民間業者等に転貸させることとなっている。

近畿財務局神戸財務事務所(以下「事務所」という。)は、港湾法等に基づいて、神戸市中央区小野浜町の臨港地区に所在する国有港湾施設のうち、運輸省(13年1月6日以降は国土交通省。以下同じ。)から大蔵省(13年1月6日以降は財務省。以下同じ。)に引き継がれた一般会計所属普通財産である土地2,207.41m2(令和元年度末の国有財産台帳価格167,763,160円。以下「本件土地」という。)を管理している。本件土地は、昭和33年7月に同省が運輸省から引継ぎを受けて大蔵省所管の普通財産とし、以後、事務所が港湾管理者である神戸市に有償で貸し付け、同市が倉庫会社に倉庫敷地として転貸していたものである。

その後、当該倉庫会社が本件土地に設置した倉庫が、平成7年1月の阪神・淡路大震災で被災したことから撤去され、9年6月に、本件土地に係る同市と同倉庫会社との貸付契約及び事務所と同市との貸付契約が解除された。そして、事務所は、これ以後本件土地を未利用地として管理している。

2 検査の結果

本院は、合規性等の観点から、未利用地の管理は法令等に従って適切に行われているかなどに着眼して、本件土地を対象として、事務所等において、管理状況に関する資料等の書類及び現地を確認するなどして、会計実地検査を行った。

検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

本件土地は未利用地として管理されていたのに、同市が民間業者に貸し付けて使用させていた。

そこで、その経緯を調査したところ、前記のとおり、本件土地に係る事務所と同市との貸付契約は9年6月に解除されていて、それ以後同市は、本件土地を管理する権原がなかったのに、書類で確認することができた17年8月以降、本件土地及びその周囲の土地を取り囲む形のネットフェンスを取り付ける工事に係る申請等を上記の民間業者から受理し、本件土地を含む土地の使用許可を行うなどして、本件土地を使用させ、使用料を徴収していた。

一方、事務所では、管内の未利用地について、処分等が行われるまでの間、処分等に支障がないよう、必要に応じて、委託業者による巡回業務の対象としたり、事務所の職員による現況確認を行ったりするなどして、適切に管理していたとしている。

しかし、事務所は、本件土地について、その隣接地が全て港湾施設であり、同市において適正に管理がなされると認識していたことに加え、草刈り等が必要となる土地ではないとして、委託業者による巡回業務の対象とはせず、事務所の職員による現況確認も行っていなかった。その結果、事務所は、少なくとも書類により確認することができた17年8月以降、同市が本件土地の使用許可を行って、民間業者に使用させていた事実を全く把握していなかった。

したがって、本件土地は、法令等に従った管理が適切に行われておらず、権原を有していない者により使用許可が行われていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において本件土地を管理する権原がないのに使用許可を行うなどしていたことにもよるが、事務所において法令等に従って未利用地の現状を適確に把握することの重要性についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。