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(1) 学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金が過大に交付されていたもの[文部科学本省](23)―(27)


5件 不当と認める国庫補助金 27,525,000円

学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金(以下「補助金」という。)は、学校、家庭及び地域住民相互の連携・協働を推進するため、学校を核として地域住民等の参画や地域の特色を生かした事業を展開し、もって、まち全体で地域の将来を担う子供たちを育成するとともに地域のコミュニティの活性化を図ることなどを目的として、都道府県、政令指定都市、中核市又は市町村が行う地域学校協働活動推進事業(平成28年度以前は学校・家庭・地域の連携協力推進事業又は地域の豊かな社会資源を活用した土曜日の教育支援体制等構築事業)等について、その事業に要する費用の一部を都道府県、政令指定都市及び中核市に対しては直接、市町村に対しては直接又は都道府県を経由して、それぞれ国が補助するものである。

学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金交付要綱(平成21年文部科学大臣決定。以下「交付要綱」という。)によれば、補助対象事業は、地域学校協働活動推進事業、放課後子供教室一体型の推進に係る設備整備事業(以下「一体型設備整備事業」という。)等とされている。

地域学校協働活動推進事業は、幅広い地域住民等の参画により、子供たちの成長を支え、地域を創生する地域学校協働活動を推進する事業とされており、具体的には、民間企業等を中心として多様な経験や技能を持つ外部人材等の参画により特色・魅力のある教育プログラムを企画し実施する取組(以下「外部人材教育支援活動」という。)や、放課後や週末等において、全ての子供たちの安全・安心な活動場所を確保し、学習や体験・交流活動の機会を定期的・継続的に提供する取組(以下「放課後子供教室」という。)等がある。また、地域学校協働活動の実施に当たっては、教育支援活動を中心的に行う者として教育活動推進員等を配置することとなっている。そして、交付要綱等によれば、地域学校協働活動推進事業に係る補助金の交付額は、教育活動推進員等の同事業の実施・運営を担う者に対する謝金、保険料等を補助対象経費として、これに補助率を乗ずるなどして算定することとされている。補助対象経費のうち謝金については、実際に補助事業に従事した時間数に謝金単価を乗ずる方法により算定することとされている。また、保険料については、地域学校協働活動に参加する子供等に係る保険料は受益者負担の観点から補助の対象外とされている。

一体型設備整備事業は、放課後児童クラブと一体型の放課後子供教室の整備に必要な活動環境の充実に係る設備備品やICT機器等を活用した学習支援を実施するための備品の購入に係る補助を行うこととなっている。そして、交付要綱等によれば、市町村に対して都道府県を経由して補助する場合の一体型設備整備事業に係る補助金の交付額は、タブレット端末、パソコン等のICT機器等を活用した学習支援を実施するための備品等の購入費用を補助対象経費として都道府県が補助する額とされている。

本院が、13府県の83市町村において会計実地検査を行ったところ、5市町において、地域学校協働活動推進事業について、補助の対象とならない地域学校協働活動に参加する子供等に係る保険料を補助対象経費に含めていたり、教育活動推進員等が補助事業に従事した時間数に、これらの者が他の業務に従事していた時間数を含めるなどしていたり、一体型設備整備事業について、備品等の購入費用以外の費用を補助対象経費に含めたりしていたため、補助金計27,525,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、5市町において補助対象経費の算定方法についての理解及び補助対象経費の確認が十分でなかったこと、文部科学省及び2県において実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例

京都市は、平成29年度に同市が設置する小学校、中学校、特別支援学校等で地域学校協働活動推進事業等を実施し、補助対象経費249,424,476円に補助率を乗ずるなどして、国庫補助金83,135,000円の交付を受けていた。そして、地域学校協働活動推進事業に係る補助対象経費のうち外部人材教育支援活動に係る保険料については、外部人材教育支援活動に参加する者が参加中に負った傷害等について補償するための傷害保険料等として、7,964,600円と算定していた。

しかし、同市は、上記保険料の算定に当たり、外部人材教育支援活動の実施・運営を担う者に係る保険料だけでなく、補助の対象とならない子供等に係る保険料6,496,399円を含めていた。

したがって、上記補助の対象とならない保険料を除いて算定した適正な補助対象経費242,928,077円に対する国庫補助金は80,970,000円となり、国庫補助金2,165,000円が過大に交付されていた。

また、26、27、28、30各年度においても同様の事態が見受けられた。

以上を事業主体別に示すと次のとおりである。

 
部局等
補助事業者
間接補助事業者
補助事業
年度
補助対象経費 左に対する国庫補助金交付額 不当と認める補助対象経費 不当と認める国庫補助金交付額
摘要
            千円 千円 千円 千円  
(23) 文部科学本省
名古屋市
(事業主体)
学校・家庭・地域の連携協力推進事業
27 1,573,225 524,406 13,778 4,593 他の業務に従事していた時間数を含めるなどして補助対象経費を算定していたもの
(24)
愛知県
春日井市
(事業主体)
地域学校協働活動推進事業
27~29 181,196 60,397 12,051 4,017 休暇を取得していた時間数を含めるなどして補助対象経費を算定していたもの
(25)
京都市
(事業主体)
地域学校協働活動推進事業
26~30 1,250,295 416,743 27,091 9,029 補助の対象とならない保険料を含めて補助対象経費を算定していたもの
(26)
福岡県
大野城市
(事業主体)
放課後子供教室一体型の推進に係る設備整備
29 31,081 31,081 8,795 8,795 備品等の購入費用以外の費用を含めて補助対象経費を算定していたもの
(27) 文部科学本省
筑紫郡那珂川町
(事業主体)
放課後子供教室一体型の推進に係る設備整備
28 7,389 7,389 1,090 1,091
(23)―(27)の計 3,043,188 1,040,016 62,807 27,525  
  • (注1) 平成28年度以前は学校・家庭・地域の連携協力推進事業
  • (注2) 平成28年度以前は地域の豊かな社会資源を活用した土曜日の教育支援体制等構築事業
  • (注3) 平成30年10月1日以降は那珂川市