1件 不当と認める国庫補助金 6,950,000円
へき地児童生徒援助費等補助金(以下「補助金」という。)は、へき地児童生徒援助費等補助金交付要綱(昭和53年文部大臣裁定。以下「交付要綱」という。)等に基づき、へき地等における初等中等教育の円滑な実施に資することを目的として、都道府県又は市町村が負担する遠距離通学費等について、国がその一部を補助するものである。
補助金の交付額は、交付要綱等によれば、遠距離通学費を補助する事業については、補助対象経費の2分の1を限度とすることとされている。また、その補助対象経費は、学校統合に伴って児童・生徒の住居から学校所在地までの通常の通学経路による片道の通学距離が児童にあっては4km以上、生徒にあっては6km以上等となる小学校又は中学校の遠距離通学児童・生徒の通学に要する交通費について、市町村が負担した額とされている。そして、この交通費については、児童・生徒の通学の用に供するために運行するスクールバスに係るバス会社等との運行委託契約に基づく委託料(以下「委託料」という。)等とされており、補助対象とならない児童・生徒に係る経費が委託料に含まれている場合は、委託料に、スクールバスを利用する児童・生徒の総数に対する補助対象となる児童・生徒数の割合(以下「利用人数割合」という。)を乗じて補助対象経費を算定することとされている。また、通常の通学経路については、市町村が最適であると設定した通学路を徒歩等で通学した場合の経路とすることになっている。
本院が、1県の1町において会計実地検査を行ったところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
部局等 |
補助事業者 (事業主体) |
補助事業 |
年度 |
補助対象経費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金交付額 | 摘要 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(28) | 宮城県 |
遠田郡涌谷町 |
遠距離通学費 |
27~30 | 79,753 | 39,876 | 13,896 | 6,950 | 遠距離通学児童に該当しない児童を補助対象に含めるなどしていたもの |
涌谷町は、町内の学校を統合し、統合後の小学校2校及び中学校1校に通う遠距離通学児童・生徒の通学の用に供するなどのために、バス会社との間で契約を締結して、スクールバスの運行を委託していた。そして、同町は、スクールバスの運行に係る補助対象経費を、平成27年度38,964,078円、28年度23,378,268円、29年度7,728,853円、30年度9,682,773円、計79,753,972円と算定して、27年度19,482,000円、28年度11,689,000円、29年度3,864,000円、30年度4,841,000円、計39,876,000円の補助金の交付を受けていた。
しかし、同町は、補助対象経費の算定に当たり、児童の住居から学校所在地までの通常の通学経路による通学距離ではなく、児童が乗車する停留所から学校所在地までのスクールバスの運行距離を基に遠距離通学児童に該当するかを判断して通常の通学経路による通学距離が4km未満である児童を補助対象に含めるなどしていたため、利用人数割合を過大に算出するなどしていた。
したがって、適正な利用人数割合に基づくなどして各年度の補助対象経費を算定すると、計65,857,293円となり、これに対する補助金額は、計32,926,000円となることから、前記の補助金交付額39,876,000円との差額6,950,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同町において補助対象経費の算定についての理解が十分でなかったこと、宮城県において同町から提出された実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。