1件 不当と認める国庫補助金 24,741,000円
認定こども園施設整備交付金(以下「交付金」という。)は、認定こども園施設整備交付金交付要綱(平成27年文部科学大臣裁定)及び認定こども園施設整備交付金実施要領(平成27年初等中等教育局長裁定。以下「実施要領」という。)に基づき、認定こども園の設置促進のため、都道府県等が行う認定こども園の施設整備事業(以下「交付対象事業」という。)に係る経費に充てるために、国が都道府県に対して交付するものである。そして、交付対象事業は、学校法人等が設置する認定こども園への移行を予定する幼稚園(既に認定こども園に移行した場合を含む。)の耐震化を促進するための改造を行う事業等となっている。
実施要領によれば、交付金の対象経費は、本体工事費、解体撤去工事費等とすることとされている。そして、交付金の交付額は、交付対象事業の対象経費の実支出額と、総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定し、当該選定された額に補助率2分の1を乗じて得た額の合計額と、所定の方法により算定した基準額(以下「交付基準額」という。)の合計額とを比較して、いずれか少ない方の額の範囲内の額とすることとされている。
交付基準額のうち、幼保連携型認定こども園への移行を予定する幼稚園に係る本体工事等の交付基準額は、実施要領において、移行後の幼保連携型認定こども園において教育を実施する部分(以下「幼稚園部分」という。)の定員数や設置する地域に応じて一定の額が定められるなどしている。
また、交付対象事業が予定の期間内に完了することができないと見込まれる場合等においては、学校法人等は都道府県知事等に報告してその指示を受けることとなっている。そして、交付対象事業が2か年度にわたって実施される場合は、進捗率に応じて各年度の交付金の交付額を算定することになっている。
本院が、7府県の16学校法人等において会計実地検査を行ったところ、1学校法人において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
部局等 |
補助事業者等
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間接補助事業者等
(事業主体) |
交付対象事業の種別 |
年度 |
交付金の交付額 |
不当と認める交付金の交付額 |
摘要 |
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千円 | 千円 | |||||||
(29) | 文部科学本省 |
新潟県 |
学校法人恵愛学園 |
幼稚園耐震化整備 |
28 | 193,732 | 24,741 | 誤った定員数に応じた交付基準額で算定していたなどのもの(愛泉こども園) |
学校法人恵愛学園は、平成28年度に、同法人が設置する幼保連携型認定こども園である愛泉こども園の園舎の耐震化のための改造を行う事業を実施して、交付金193,732,000円の交付を受けていた。
同法人は、事業の実施に当たり、同園の幼稚園部分の定員数225名に応じて定められた本体工事の交付基準額等の合計額を193,732,000円と算定し、新園舎の建築等工事、旧園舎の解体撤去工事等を28年度内に実施したとして、新潟県に実績報告書を提出していた。
しかし、同法人は、本体工事の交付基準額の算定に当たり、同園の幼稚園部分の定員数について、上記のとおり225名としていたが、本院が同園の幼保連携型認定こども園認可申請書等を確認したところ、実際の定員数は210名となっていた。また、同法人は、旧園舎の解体撤去工事を29年7月までの2か年度にわたり実施していて、予定の期間内に完了することができなかったのに、同県知事に報告していなかった。そして、実績報告書において、解体撤去工事に係る交付基準額の算定に当たり、29年度に実施した解体撤去工事に係る分を含めたものとしていて、28年度における進捗率に応じたものとしていなかった。
したがって、同園の幼稚園部分の定員数210名に応じて定められた本体工事の交付基準額、進捗率に応じた解体撤去工事の交付基準額等により適正な交付金の交付額を算定すると168,991,000円となることから、前記の交付額193,732,000円との差額24,741,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同法人において交付金の交付額の算定についての確認や理解が十分でなかったこと、同県において同法人から提出された実績報告書等の審査及び同法人に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。