3件 不当と認める国庫補助金 12,647,000円
私立高等学校等経常費助成費補助金(教育改革推進特別経費)(以下「教育改革補助金」という。)は、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)等に基づき、私立学校の健全な発達に資することを目的として、都道府県が私立学校における教育に必要な経常的経費について補助する場合に国がその一部を補助するものである。
私立高等学校等経常費助成費補助金(幼稚園等特別支援教育経費・過疎高等学校特別経費・教育改革推進特別経費・授業料減免事業等支援特別経費)交付要綱(平成11年文部大臣裁定。以下「交付要綱」という。)等によれば、教育改革補助金の対象となる事業には、預かり保育推進事業、幼稚園の子育て支援活動の推進に係る事業(以下「子育て支援事業」という。)等がある。
このうち、預かり保育推進事業については、交付要綱等によれば、私立の幼稚園又は幼保連携型認定こども園(以下、これらを合わせて「私立幼稚園等」という。)において、教育課程に係る教育時間の終了後等に希望する者を対象に行う教育活動(以下「預かり保育」という。)の実態があり、都道府県がその状況を確認した上で、私立幼稚園等に対して預かり保育に係る補助を実施していることが、教育改革補助金の補助対象となる要件とされている。
また、子育て支援事業については、交付要綱等によれば、私立幼稚園等において、施設又は教育機能を広く開放することを積極的に推進するため、保護者に対する教育相談事業等の取組(以下「子育て支援の取組」という。)の実態があり、都道府県がその状況を確認した上で、私立幼稚園等に対して子育て支援の取組に係る補助を実施していることが、教育改革補助金の補助対象となる要件とされている。
そして、平成27年度から待機児童の解消等の子育てをめぐる課題の解決を目指すことを目的とした子ども・子育て支援新制度(以下「新制度」という。)が実施されたことに伴い、新制度へ移行するなどした私立幼稚園等(以下「新制度園」という。)は、預かり保育については原則として内閣府等が所管する一時預かり事業(幼稚園型)を、子育て支援の取組については原則として内閣府等が所管する地域子育て支援拠点事業(以下「拠点事業」という。)を、市町村(特別区及び一部事務組合を含む。以下同じ。)から受託するなどして実施することとなっている。一方、市町村が一時預かり事業(幼稚園型)や拠点事業を実施しない場合等、上記の事業への円滑な移行が困難な新制度園については、経過措置として、預かり保育推進事業及び子育て支援事業のいずれか又は両方に係る教育改革補助金の補助対象とすることができることとなっている。
そのため、補助対象となる新制度園は、新制度が始まる前年度である26年度の預かり保育推進事業及び子育て支援事業のいずれか又は両方に係る教育改革補助金の補助対象となった実績がある私立の幼稚園又はこれらの私立の幼稚園から移行した幼保連携型認定こども園とされている。
さらに、交付要綱等によれば、内閣府等所管の子ども・子育て支援交付金が充てられる拠点事業を市町村から受託するなどしている私立幼稚園等は、子育て支援事業に係る教育改革補助金の補助対象とならないとされている。
教育改革補助金の交付額は、交付要綱等によれば、預かり保育推進事業、子育て支援事業等の各事業ごとに都道府県が私立幼稚園等に対する補助に要した経費(以下「補助対象経費」という。)の2分の1の額を限度として、各事業の国庫補助単価に都道府県が教育改革補助金の補助対象とした私立幼稚園等の数を乗ずるなどして算定した額とするとされている。
本院が、12道県において会計実地検査を行ったところ、3道県において、預かり保育推進事業に係る教育改革補助金の補助対象に、26年度の預かり保育推進事業に係る教育改革補助金の補助対象となった実績がなく補助の対象とならない新制度園を含めていたり、子育て支援事業に係る教育改革補助金の補助対象に、26年度の子育て支援事業に係る教育改革補助金の補助対象となった実績がなく補助の対象とならない新制度園や、拠点事業を市町村から受託するなどしていて補助の対象とならない私立幼稚園等を含めていたりなどしたため、国庫補助金計12,647,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、3道県において、教育改革補助金の補助対象となる私立幼稚園等の範囲についての理解及び補助対象経費の確認が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
北海道は、補助対象経費を平成27年度665,896,240円、28年度606,198,658円、29年度678,773,528円、30年度614,858,068円、計2,565,726,494円とする実績報告書を各年度に提出し、27年度332,706,000円、28年度302,778,000円、29年度339,383,000円、30年度307,426,000円、計1,282,293,000円の教育改革補助金の交付を受けていた。
しかし、道は、子育て支援事業に係る補助対象経費を算定するに当たり、子育て支援事業に係る教育改革補助金の補助対象とした私立幼稚園等(27年度391校、28年度391校、29年度380校、30年度377校、計1,539校)の中に、26年度の子育て支援事業に係る教育改革補助金の補助対象となった実績がなく補助の対象とならない新制度園(28年度5校、30年度11校、計16校)や、拠点事業を市町村から受託するなどしていて補助の対象とならない私立幼稚園等(27年度4校、28年度5校、29年度3校、30年度2校、計14校)を含めるなどしたため、子育て支援事業等に係る補助対象経費が27年度4,275,767円、28年度5,777,878円、29年度2,242,080円、30年度7,632,560円、計19,928,285円過大に計上されていた。
したがって、補助の対象とならない私立幼稚園等を除くなどして各年度の適正な補助対象経費を算定すると、計2,545,798,209円となり、これに対する教育改革補助金の交付額を算定すると、計1,272,786,000円となることから、前記教育改革補助金の交付額1,282,293,000円との差額9,507,000円が過大に交付されていた。
以上を部局等別に示すと次のとおりである。
部局等 |
補助事業者
(事業主体) |
補助事業 |
年度 |
補助対象経費
|
左に対する国庫補助金交付額 |
不当と認める補助対象経費 |
不当と認める国庫補助金 |
摘要 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(30) | 北海道 |
北海道 |
私立高等学校等経常費助成費補助 (教育改革 推進特別経費) |
27~30 | 2,565,726 | 1,282,293 | 19,928 | 9,507 | 26年度の子育て支援事業に係る教育改革補助金の補助対象となった実績がなく補助の対象とならない新制度園や、拠点事業を市町村から受託するなどしていて補助の対象とならない私立幼稚園等を含めていたものなど |
(31) | 愛知県 |
愛知県 |
同 | 29 | 1,087,070 | 543,535 | 2,280 | 1,140 | 26年度の預かり保育推進事業に係る教育改革補助金の補助対象となった実績がなく補助の対象とならない新制度園を含めていたものなど |
(32) | 広島県 |
広島県 |
同 | 29 | 648,296 | 294,140 | 4,000 | 2,000 | 26年度の子育て支援事業に係る教育改革補助金の補助対象となった実績がなく補助の対象とならない新制度園を含めていたもの |
(30)―(32)の計 | 4,301,092 | 2,119,968 | 26,208 | 12,647 |